4ヶ月で世界最強
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ほっほっほ、私のレベルは『 』です
前書き
一発ネタ
今此処にとある異世界にて帝王として頂上の力を有した存在の力を偶然にもその身に宿した存在がこの世界にて生を受けた。
その名を帝王冷凍
─神は言っている。フリーザ様になれと─
「おいおい、ハジメー?またお前昨日の夜もまたエロゲーでもしてたのかよー?」
「たくよー、そんな奴が学校に来てんじゃねーよ。」
檜山大介は今日もオタクである南雲ハジメを数人の取り巻きと共に陰湿な苛めを行う。もはやこの教室では見慣れた光景だ。
南雲ハジメは所謂オタクと呼ばれる人種である。本来ならばそんな一介の男子生徒である彼が虐められる原因はないのだが、残念なことにとある一人の少女の存在が彼に対する苛めを助長させていた。
当の本人は不幸なことにそのことに一切気付かない始末。ハジメに今なお笑顔を振りまき続けているのだ。そんな彼女の行動がハジメに対する苛めを増長させ、精神的にも身体的にも彼を追い詰めているのである。
そんなカオスと化した教室内へと独特的な笑い声を上げ、入ってくる人物が─
「ほっほっほ、感心しませんね。多勢に無勢で一人の生徒をいじめるのは。」
「おっ…お前は帝王冷凍!?」
途端檜山大介は先程までの表情を一変させ、目に見えて狼狽え始める。
それもそうだ。
今自身の目の前に発っているのはあの帝王冷凍だ。
アルビノと呼ばれる特異な白髪と紅き瞳を持つ美少年。
容姿端麗・眉目秀麗・文武両道・圧倒的カリスマを有する学校的アイドル的存在である坂上龍太郎と対を成す1人。
天之河光輝を太陽の如き人物と形容するならば帝王冷凍は言わば月という対称的な人物として学園内では認知されている。
総合的な人気具合では天之河光輝が勝っているが、学園の裏側では冷凍ファンクラブと呼ばれる熱狂的信者が存在していることも有名な話である。
いついかなる時でも冷静沈着、誰に対しても敬語を用いる年長的雰囲気を醸し出す男子生徒。
それが帝王冷凍なのだ。
無論、そんな彼に反感を持ち過去に学園内で大規模な苛めが起きたこともある。
最初は下駄箱のゴミ入れという小さな規模であった苛めが日に日にエスカレート。気付けば苛めを行う生徒の数は軽く3桁を越え、収拾がつかない程の規模に膨れ上がっていた。
冷凍が何の反応も示さないことに業を煮やした彼らは遂に実力行使に移ることになる。真夜中の公園に件の冷凍を一人呼び出し、集団暴行を加えようとしたのだ。
だが冷凍はそんな彼らを前にその場から一歩も動くことなく片腕のみで一掃したと噂されている。その噂の真偽は未だに分かりかねているのが現状であるが。
正に圧倒的。時代が違えば英雄に至る可能性を秘めた傑物である。
故に檜山大介は目の前の人物が恐ろしくて仕方がない。彼に残された道はすぐさまその場から逃げ出すことであった。
「ほっほっほ、無事ですか、ハジメさん?」
「う…うん、大丈夫だよ、冷凍くん。その…助けてくれてありがとう。」
気まずげにお礼を述べるハジメ。
「ほっほっほ、構いませんよ。友達を助けるのに理由なんていりませんからねぇ。……それよりも例のモノは約束通り持ってきて頂けましたか?」
「も…勿論だよ!今回のゲームは凄いよ!」
「ほう、それはとても期待できますね。」
先程までの殺伐とした空気を霧散させ、彼らは仲良さげに話を進める。
そんな2人へ軽快な様子で話しかけるとある1人の女子生徒の姿が─
「おはよう、ハジメ君、冷凍君!今日も仲良いね!」
そう、ハジメの苛めを無意識に加速させるこの学園のマドンナ的存在である白崎香織、その人だ。
彼女の後ろには八重樫雫、天之河光輝、坂上龍太郎と教室内でもトップカースト的存在である3人が立っていた。
意外なことに冷凍は天之河光輝と坂上龍太郎の2人を快く思ってはいない。天之河光輝は独善的な正義を振りかざす偽善者、坂上龍太郎は脳筋馬鹿と本能的に相容れない存在であるからだ。
「フ…冷凍君、おはよう。」
「ええ、おはようございます、雫さん。今日も貴方のポニーテール似合っていますよ。」
「あ…ありがとう。その…」
口ごもる雫。
「どうかなさいましたか?」
「今日は弁当を多く作ってきてしまって…、良ければ一緒に食べるのを手伝ってくれないだろうか?」
「おや、それは嬉しい申し出ですね。喜んで頂きましょう。」
「そ…そうか。じゃあまた今日の昼休みに一緒に食べてくれ。」
「ええ、喜んで。ときに雫さん、以前話した将来私が運営する予定である貿易会社へのスカウトの件考えて頂けましたか?」
「その、すまない…。その申し出はまだ考えさせてほしい。実家との兼ね合いもあることだし……。」
「ほっほっほ、構いませんよ。いつまでもお待ちしていますとも。」
だが以外にも白崎香織と同じく学園のマドンナとして名高い八重樫雫とは親し気に会話をしていた。
何気ない日常、学友との何気ない遣り取り。
彼らは個人に差はあれど充実した日々を過ごしていた。
だがそんな日常も突如終わりを迎えることになる。
突如教室内に浮かび上がる奇抜な模様が記された魔法陣
異世界トータスへの強制召喚
イシュタルと名乗る人物から説明されたこの世界の実態
自分たちは勇者という存在であり、神であるエヒトからのお導きを受けたこと
それに続く坂上龍太郎の決意に触発された生徒たちの奮起
イシュタル含む奴らの思惑に嵌められるクラスメイト達
実に許しがたい身勝手な奴らの企てである。
そんな凄惨な現状を誰よりも深く理解していた帝王冷凍の内心は当然荒れに荒れていた。
(ほっほっほ。どうやらそのエヒト神とやらはどうしても私の怒りを買いたいようですねぇ。良いでしょう、世にも残酷な殺伐ショーを貴方にお届けいたしますよ。)
エヒト神は神知れず自身の生命のカウントダウンのボタンを押していた。
▲▼▲▼
後日メルド団長と呼ばれる人物から各自ステータスプレートというアーティファクトが配布される。自身の現時点でのステータスを確認することができる代物だ。
自身のステータスに騒ぎ立てるクラスメイト達。
冷凍も同じように自身のステータスを確認する。そこには……
ステータス
=========================================
帝王冷凍 17歳 男 レベル:530000
天職:帝王
筋力:ERROR
体力:ERROR
耐性:ERROR
敏捷:ERROR
魔力:ERROR
魔耐:ERROR
技能:言語理解・舞空術・高速移動・気功波・気感知・レベル調整・カリスマ・限界突破
スーパーノヴァ・デスボール・デスビーム・光線眼・爆発波・超能力・バニシングブラスター・クレイジーフィンガービーム・サイコビーム・大地裂斬・サイコキネシスボム・バリア―・デスソーサー・エネルギーバスター
進化適性
=========================================
正に帝王と呼ぶに相応しいこの世界の常識を軽く凌駕した内容が記載されていた。
周囲を見れば坂上龍太郎が勇者としてもてはやされている。そのことに然程驚きはしない。あのイシュタルの老害は最初から坂上龍太郎以外には興味を示していなかったことには冷凍は気付いていたからだ。
続けて周囲を見渡せば南雲ハジメが低ステータスであることを馬鹿にする檜山大介達がいた。
冷凍は何時ものように悠々と歩を進め、ハジメの元へと向かっていった。
▲▼
「ほっほっほ!実にくだらない戯言を述べていますね、檜山大介さん?」
「っ!?冷凍、てめえか。へっ、へへへっ。何だよ、俺に指図するつもりか?」
少し力を手に入れただけで調子に乗る雑魚。
それが冷凍の眼前の青年の印象だ。
そんな檜山を取り巻く数人も冷凍にとってミジンコと然程変わらない。
「ふふっ、ふふふっ、ほーっほっほ!中途半端な力を身につけた者はかえって早死にしますよ。それを私が優しく教えてさしあげましょうか?」
煽ることを止めない冷凍。
檜山達を取り巻く空気も徐々に緊迫したものになっていく。
「私からすればレベルが1である時点で誰もが平等です。少しだけ自分の方がステータスプレートに記された数値が上だからっといって調子に乗るのも大概にしなさい。」
「ハジメさん一人を大勢で馬鹿にすることしかできない貴方方には心底呆れさせられますねぇ。正に貴方達は路上の石ころ、ゴミ同然です。」
「冷凍ァー!!そこまで言うならお前のステータスプレートを見せやがれェ!!」
青筋を浮かべ叫び声を上げる檜山。
「ほっほっほ、見ず知らずのメルド団長にまで見せるつもりはありませんでしたが…、まあ良いでしょう。」
「……参考程度に私のレベルを皆さんに教えてさしあげましょう。私のレベルは
『530000』です。
…ですが、もちろんフルパワーをまだ出すつもりはありませんからご心配なく……」
「「「!?」」」
途端凍り付くその場の雰囲気。
誰もが冷凍から目を離せない。
そんな中メルド団長は事の真実を確かめるべく冷凍へと勢い良く近付いた。
まるでひったくる様に彼のステータスプレートを奪い取る。
次の瞬間彼の目は大きく見開かれた。
間違いない。
何度見返してもこの手に握り締めているステータスプレートには『530000』と記載されている。
「うっ、嘘ではない…。ならば君は一体?こんなレベルなど聞いたことも見たこともないぞ!?」
年甲斐もなく動揺を表すことしかできないメルド団長。
「ほっほっほ。それは私が生まれながらの『天才』だからではないでしょうか?」
その場に冷凍の声が高らかに響き渡ることになった。
─今此処に勇者とはかけ離れた存在である帝王がこの世界に降臨した─
▲▼▲▼
それから4ヶ月後。
クラスメイト達はオルクス大迷宮に足を踏み入れていた。
だが想定外の非常事態が発生。
グランツ鉱石につられた檜山がトラップを発生させてしまったのである。
途端眩いまでの魔法陣の光が目の前に現れ、最強にして、最凶な魔物が姿を現した。
その名を"ベヒモス"
かつて最強と名高い勇者でさえ歯が立たなかったとされる正真正銘の化け物である。
「グルァァァァァアアア!!」
「メルドさん!やはり俺たちも何とかしてあいつをっ!」
「馬鹿野郎!言ったはずだ!あのベヒモスは正真正銘の化け物だ!今のお前たちが敵う相手ではない!」
「ですがっ!?」
勇者である天之河光輝はメルド団長に何度も諫言する。
だがどうあがいたところで眼前の化け物に敵う道理など存在しないのも事実。
「もうダメだ…おしまいだぁ…」
「逃げろ!敵うわけがない!」
「嫌ああぁぁァー!!」
辺りは瞬く間に阿鼻叫喚の図へと変わり、誰もが絶望の声を上げた刹那─
─後方から一条の紅き光線が天之河光輝の頬をかすめベヒモスへと直撃した─
「失礼、やはり手が滑ってしまいました。ですが、これは迷宮に入って早々随分とした挨拶ですねぇ。」
後ろを振り返れば4ヶ月もの間行方をくらましていた冷凍の姿があった。
ベヒモスは冷凍の攻撃を受け、此方に向けていた敵意を霧散させる。
「ほーっほっほ、お怒りの所失礼しますよ。」
冷凍は右手の人差し指を前方へと掲げ、不可視の攻撃を放った。
ベヒモスは反応することもできずにその巨体を揺らす。
何が起きたのか理解できていない表情だ。
「ほぉ、流石は最強の勇者を打ち破った怪物です。なかなか頑張りますねぇ。ご立派ですよ。」
「そんな貴方に敬意を表しまして─」
その一方的な攻撃はなおも続く。
冷凍の独壇場という形で。
「ほっほっほっほ。そろそろ貴方の怒りとやらを私にぶつけてみせてください。─出来るものならねー!ほーっほっほ!!」
「グァッ!?ゴッ!?」
冷凍は幾度もその指先から凝縮されたエネルギーを放ちに放つ。
それらは全て一つの例外もなくベヒモスの胸・腹・腕。足と体の至る箇所に直撃した。
その度に目の前の怪物は悲鳴を上げ、為す術無く紅き光線をその身に受けざるを得ない。
遂にベヒモスはその巨体を崩し、膝を地につけた。
既に満身創痍の状態と言っても過言ではない。
「反撃が無くては面白みもありませんね。」
そんなベヒモスの様子に嘆息した冷凍は前方へと手をかざし─
「─そろそろ止めといきましょうか?殺さない程度にね?」
このフロアとクラスメイト達を巻き込まないレベルに調整したエネルギーの塊を─
「さようなら、ベヒモスさん?はァ!!」
─解き放った。
「グゴァアアァーーー!?」
途端前方のベヒモスが踏みしめていた大地を巻き込む大爆発が起きる。
誰もがその異様な光景に言葉が出てこない。
彼らにはあのベヒモスよりも眼前の冷凍の方が余程恐ろしい存在に感じた。
そんな誰もが困惑を隠せない混沌とした中でメルド団長は指揮を執り、この場からの脱出を試みる。
「撤収だ!ベヒモスが動けない今の内にこの場から撤収するんだ!!」
メルド団長の指示を受け、我先にとその場から逃げ出すクラスメイト達。
無論、メルド団長を含む騎士団も例外ではない。
「グ…グァ、グァアアアァーーーー!!」
爆炎の中から文字通り満身創痍の状態でベヒモスが姿を現した。
身体の至る箇所は傷だらけであり、立ってるいるのもやっとの状態にも関わらず奴は生きていたのだ。
「クソッ!あれ程のダメージを受けてなお奴は健在なのか!?」
「何て奴だよ!」
クラスメイト達を守るように後方へと下がり、ベヒモスと遭対する。
だが今のベヒモスならば全員怪我無く逃げ切る腹積もりなのか彼らは徐々に後退していった。
「おや、逃げるおつもりですか?」
「当たり前だ!相手はあのベヒモスなんだぞ!?」
ただ一人冷凍だけはその場から動こうとはしなかった。
「今は一分でも時間が惜しい状況だ!お前達の命が最優先事項であることは分かっているだろう!?」
「……だったら、時間を掛けなければいいんじゃありませんか?」
途端冷凍の身体から眩いまでの黄金の光が迸る。
視認できる程の膨大なエネルギーが放出され、辺りを幻想的に照らし出した。
「鈍りに鈍ったこの体をちょうどほぐしたかったところでしてねぇ。」
「その肩慣らしの相手は貴方に決めましたよ、ベヒモスさん。」
ベヒモスは突如死刑宣告にも等しい言葉を告げられる。
「なに……、ちょっとしたウォーミング・アップですよ!!」
冷凍は天を仰ぎ、両腕を左右へと伸ばした。
黄金の輝きが周囲へとドーム状に溢れ出し、ハジメ達とメルド団長を含む全員を包み込んだ。
全ての光が収まった瞬間─
─全ての終わりであるのと同時に、全ての始まりである時の鐘の警鐘が鳴った─
瞳はより深き紅き冷徹な光を宿し
身体の至る箇所は全てが黄金の鎧が包み込み
髪の色は白から深き青へ
瞳からは涙が垂れ堕ちるように紫のタトゥーが如き一本の線が流れ
胸の中央には青き正六角形の模様が現れ
両手や両足の先は紫へと変貌を遂げていた。
「ベヒモスさん、どうやら時間が余りないそうなのでサービスは無しでいきますが、恨まないでくださいね?」
最早ベヒモスに戦闘の意思は存在せず、ただこの場から─、いや、眼前の化け物から逃げ延びることだけを考えていた。
だが自身の意志に反して体は動かない。
いや、動くこともできなかった。
その後の両者の激突の結果は語るまでもない。
「エヒト神、いずれ貴方のそのふざけた思想そのものを破壊してさしあげますよ。」
無論、貴方の存在そのものもね─
天上の神々よ、戦慄するが良い
今此処に、この世界に帝王が顕現した
お前達の時代は終わりの刻を迎える
全ての事象の訣別と創生を此処に
今此処で全ての歴史が塗り替わる
後書き
もうこれじゃどっちが悪かわけわかんねぇな
<変更点>
オルクス大迷宮へ足を踏み入れるのは4ヶ月後
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