転生とらぶる
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ペルソナ3
1997話
天田から槍の訓練をしてくれと言われ、取りあえず本格的に訓練をするのはどうかと思ったので、軽く相手をする事にした。
もっとも、軽くではあっても、槍でのやり取りだ。
天田は一応美鶴達の仲間で、S.E.E.Sの一員なので、そんな人物に勝手に本格的な訓練を付けるのもどうかと思った為だ。
……いやまぁ、今まで順平だとか、真田だとか、有里だとかと模擬戦をやったのを思えば、今更って感じの話ではあるんだが……天田の場合、まだ小学生だというのが大きい。
そんな訳で、一旦巌戸台分寮に向かって天田の槍を手に入れてから、今まで何度か来た草原……ゆかりやコロマルとのピクニックや、意識を失ってる荒垣を一時的に連れて来た場所にやってきた。
「ここは?」
「一応、住所的には東京の筈だよ。大都会東京って言っても、少し外れた場所に行けば、こんな風に草原とかもある」
周囲に人工物とかはないから、ここで槍の訓練をしているのを見られるかもしれないと心配する場合、それこそ衛星とかを心配する必要があるだろう。
「東京……ここが……」
少し嬉しそうな様子で周囲を見ている天田だったが、やはりまだ子供だけあって、こういう場所が好きなのだろう。
いや、子供じゃなくてもこういう場所を好きな奴は多そうだけど。
「どうする? 少し遊んでから槍の訓練……って言葉は使いたくないから、練習をするか?」
訓練って言葉を使わずに練習って言葉を使うのは、正直大して変わらないような気がしないでもないのだが。
ともあれ、これは訓練ではなくお遊び的な意味の方が強い……という気持ちを込めての言葉だったのだが、天田にとってはあまり面白くなかったのだろう。
手にした槍を、しっかりと構える。
一応何かで勉強はしたのか、それなりに様になってはいるようだが……どうしても構えがどこかぎこちないように思えるのは、きっと俺のせいではない筈だ。
高価な服とかを着れば、服に着られているとかいう表現をする事もあるが、この場合は槍に構えさせられている……って表現が相応しいのか?
そんな風に思いつつ、俺は空間倉庫の中からゲイ・ボルグを取り出す。
「……」
深紅の槍を見た瞬間、天田がその槍に見惚れる。
その気持ちは分からないでもないけどな。
実際、この槍にはそれだけの魅力があるのは間違いないのだから。
芸術品。
そう表現しても、きっと誰も異論はないだろう。
勿論、このゲイ・ボルグは歴とした戦闘に使う為の槍……武器、いや寧ろ宝具として考えれば、兵器と呼ぶに相応しい代物なのだが。
「ほら、いつまで惚けているつもりだ。槍の使い方を少しは教えて欲しいんだろ?」
「いや、でも……アルマーさんの持ってる槍が凄くて」
ゲイ・ボルグの凄さに圧倒されたかのように呟く天田の気持ちは、俺も分からないではない。
実際、このゲイ・ボルグという宝具は、それだけ人の目を惹きつけるだけの魅力を持っているのだから。
特に天田の場合は、自分が槍を使うだけあって、その気持ちもより強いのだろう。
「見惚れるのはその辺にしろ。そろそろ始めるぞ。……とは言っても、どうするかな。取りあえず天田が槍で俺に攻撃してこい。俺はそれを弾くなり回避するなりして、防御に徹するから」
「え? でも……」
何故か俺の言葉に、戸惑った様子を見せる天田。
何かおかしな事を言ったか?
そう思ったが、天田の表情がどこか心配そうなものだというのを理解すると、天田が何を考えているのかが分かった。
そして同時に、天田に対して呆れの溜息を吐く。
「あのな、言っておくけど俺は強い。それこそ、S.E.E.Sのメンバー全員が本気で掛かってきても、余裕で勝てるくらいにはな。だから、まだ実戦経験もない天田が幾ら本気で俺を攻撃しても、致命傷を与えられるような事はまずないから、安心しろ」
その言葉を聞いた途端、天田は見るからに面白くなさそうな表情を浮かべた。
まぁ、天田くらいの年齢の子供がお前は弱いと言われて、はいそうですかと受け入れる事が出来るかと言えば……難しいだろうし、当然か。
「口で何を言っても、お前はそれを信じる事は出来ないだろ。なら、論より証拠ってな。取りあえず俺に掛かってきてみろ。それで、もし俺に攻撃を当てる事が出来れば……そうだな、本格的にお前の師匠になってやってもいい」
そして、不愉快そうな表情はその言葉で一気に希望に変わる、と。
正直なところ、天田が本当に強くなりたいのなら、真田辺りと一緒に訓練をした方がいいと思うんだけどな。
S.E.E.Sのメンバーの中で、一番理論的に鍛えているのは真田なのだから。……まぁ、プロテイン漬けは正直どうかと思うけど。
鍛えているという意味では順平もそうだが、順平の場合は何だかんだと鍛え始めたのは最近でしかない。
つまり、付け焼き刃に近い訳だ。
そういう意味では、やっぱり真田に教えて貰うのが最善だと思うんだが。
荒垣が向こうに行ったので、料理に関しても栄養とかをきちんと考えて作るようになるだろうし。
もしくは、どうしても槍を鍛えるというのであれば……棒術とか薙刀とか、そっちだろうな。
今の世の中、本当の意味で槍を教えてくれるような道場なんて、殆どないだろうし。
あっても、それこそ本当に限られた場所で、限られた人物に……ってところか。
けど、このペルソナ世界は以前からシャドウが活動していたんだから、そう考えれば、実は本格的な武術を教えるような人がいてもおかしくないと思うんだが。
「では、行きます!」
天田はそう叫ぶと、一気に前に出る。
槍を選んだのは、その背の小ささ……リーチの短さをどうにかする為なのだろう。
そういう意味では、天田の考えは決して的外れという訳ではない。
実力が圧倒的に上の相手ならまだしも、多少上下しても自分と同じ程度の力量の敵を相手にする場合、槍というのはかなりの有利さを持つのだから。
実際、時代劇とかでも戦争の時では刀を使っている者が多いが、それはあくまでも見栄えの為で、実際には槍が殆どだったって聞くし。
だが……槍が有利なのは、あくまでも自分と同程度の敵だけでしかない。
「甘いぞ」
鋭く突き出された突き……それでいながら、俺に命中しないように寸止めをされた槍だったが、俺はあっさりとその柄の部分を掴んで動きを止める。
「なっ!?」
天田は何がおきたのか全く分からないといった様子で、大きく目を見開いていた。
「な? 取りあえず天田の攻撃で俺がどうこうなる事はないから、心配するな。さて、じゃあ次だ」
そう告げて手を離すと、天田は思ったよりも力を入れて槍を引こうとしていたのか、反射的に数歩後退る。
そのまま呆然として俺の方を見ていたが、やがて再び槍を手に俺に向かって攻撃してくる。
だが、今度の一撃は全く手を抜いておらず、寸止めは考えていない一撃だ。
その一撃を回避しながら、天田の反応を見る。
こっちに攻撃が命中するしない以前に、かすり傷すら与える事が出来ないような、そんな攻撃。
突き、突き、突き、突き……そして薙ぎ。
「薙ぎ払いは、天田の力だとまだちょっと早いな。どうしても力が不足していて一撃が遅くなるし、鈍くなる」
足下を狙って放たれた薙ぎ払いは、それこそ踏んで止めてもよかったのだが……下手に力加減を間違えれば、槍を壊してしまいかねないので、大人しく跳躍して回避する。
「うわぁっ!」
受け止められると思っていたのか、天田の口からは若干間の抜けた声が上がった。
「な?」
「っと……はい」
何とか転ぶのを避けた天田が、不承不承といった様子だが、そう頷いてくる。
そうして再び天田が連続して放つ突きを、俺は身体を少し動かすだけで回避していった。……こういう風に回避してるから、点の攻撃ではなく線の攻撃の薙ぎ払いとかをやってきたんだろうな。
そのまま5分程が経ち……
「はぁっ、はぁっ、はぁっ、はぁ……」
草原の上には、完全に息を切らせた天田が寝っ転がっていた。
たった5分という訳ではなく、この場合は5分もよく動き続けられたと言うべきだろう。
槍を突くというのは、腕だけで行う行為ではなく、身体全体を使っての行動だ。
そんな全身運動を5分……天田の年齢を考えれば、寧ろ褒められてしかるべきなのは間違いない。
鍛えている人間でも、休みなく全力の全身運動はそう続けられるものではないのだから。
「ほら、これでも飲め」
空間倉庫から取り出したペットボトルのスポーツ飲料を天田に投げ渡すと、俺はゲイ・ボルグを手にして軽く運動する。
それこそフラフープ……というのはちょっと違うが、そんな感じでゲイ・ボルグを振り回す。いや、寧ろこれは新体操のバトンとかそういうのの方が相応しいのか?
そんな風にも思うが、そのままゲイ・ボルグを構える。
それから一瞬だけ視線を天田に向け、その天田がスポーツ飲料を手に持ちながらも俺の方を見ているのを確認し……そのまま、ゲイ・ボルグで突きを放つ。
空中を貫く槍は、放った俺が見ても満足出来る鋭いものだった。
だが、鋭いからこそ、それで満足してはいけないというのも、また事実なのだ。
再度放たれる一撃は、今の突きよりも少し……ほんの少しだが、鋭い。
身体の捻り、腕の使い方、足からの力を可能な限りロスなく放つ。
そんな行動を意識しながら放つ突きは……気が付けば、100回近くなっていた。
その事に気が付いて突きを止めると、改めて視線を天田の方に向ける。
そこでは、天田が俺の方に視線を向け、ただじっと……それでいながら目を輝かせている。
槍の訓練はしてやらないと言ったが、取り合えずここまで来たんだからって事でちょっと突きを見せたんだが……もしかして、少しやりすぎたか?
「さて、どうする? もう少し俺と遊んでいくか?」
「はい!」
即座に返事をすると、再び天田は俺に向かって突きを放ってくる。
その突きは最初に俺に放った突きよりも、どこかぎこちない。
俺がやっていたように、きちんと動けるかどうかを考えながら突きを放っているのだろう。
今はまだぎこちないが、それでも繰り返していけばこれがスムーズになっていくのは間違いない。
……問題なのは、そうしてスムーズになっていった天田の槍の穂先が向けられるのが、荒垣だって事だろうな。
訓練をしながら、どうにか天田に仇討ちさせないように……もしくは、仇討ちをするにしても荒垣の命を取るのではなく、何か別の方法で償わせるといった方向に話を持っていく必要がある。
もっとも、そのような真似が簡単に出来るのであれば、それこそここで悩むような必要はないのだが。
そうして再び時間が経ち……全力で行動しては休んで、そしてまた全力で行動して……といった事を繰り返している間に、気が付けば草原は夕日によって赤く染められていた、
「うわぁ……」
真っ赤に染まった草原を見ながら、天田の口からは感嘆の声が出る。
小学生なら夕日とかは見慣れていてもおかしくはないが、東京に住んでいる天田にしてみれば、これだけ広大な草原は初めて見るのは当然だろう。
これがもっと田舎に住んでいるのであれば、草原が赤く染まっている光景を見ても、ここまで驚いたりといった真似はしないのだろうが。
「いい景色だ。こういうのをカメラとかで撮っておけば、もしかしたら写真のコンクールで優勝したり出来るかもな」
「え? ……あはは。アルマーさんでもそんな冗談を言うんですね」
天田にあっさりと笑って流された。
いや、別に冗談とかそういうつもりはなく、普通に本気で言ったんだが。
「そうか? まぁ、そうかもしれないな。……ただ、こういう景色を見ているのと、自分の中にある鬱々とした何かとかは、どうでもよくなるよな」
「……え?」
天田の口から出た驚きの言葉は、先程と同じ。
ただし、先程と違うのは完全に意表を突かれたといったものだった事だろう。
「どうした?」
「いえ、その……何でもないです」
やっぱり天田の中には、荒垣に対する復讐心は残っているか。
今はまだ荒垣が復讐の対象だと分かってはいないようだが、それがいつまで続くのかというのは、正直なところ分からない。
それこそ、明日にでも荒垣が自分の復讐相手だと、そう認識してしまってもおかしくはないのだから。
『……』
そのまま、俺と天田は黙って草原を赤く染めている太陽が沈んでいくのを眺める。
ここで何か言えば良かったのかもしれないが、ここで何かを言うと、それが妙な方向に行きかねないような気がしたのも事実だ。
なので、結局俺は天田と共に黙って夕日が沈むのを眺めるしかなかった。
後書き
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1435
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.10
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1389
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