コバピーハザード!
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第四章「反撃…できるか…?」
時は夕暮れ。
「あぁ…もう夜になるなぁ…。」
「なに一人で黄昏てんだっての!さっさと手伝えっ!」
けぃ君は僕に言ってるのかな?この不器用極まりないコバピー様に向かって言ってるのかなぁ~?
「いいよ!さっさと…」
「ダメだっ!そいつに機械的なもんをやらせちゃまずい!」
みほ殿が油塗れで言ってきた。そりゃもう真っ青な顔して叫んでる。ってか失礼ちゃいますにょ?
「なんでだよ!こいつだけ楽させて…」
「違うっ!そいつにドライバー持たせたら最後、全てぶち壊されちまう!」
みほ殿のあまりの剣幕に、けぃはジトッと僕を見た。そんなけぃに僕はニタッと笑い、手にしたドライバーを見せ付けて言った。
「手伝い…したげる」
「ウギャ~!お前はそこらで黄昏てろっ!その手にしてる物騒なもん早くそこ置けよっ!」
「おやおや?これは失礼なこと言われてますにゃ。ここは一つ、腕の見せどころ…」
「やめろ!!」
と、何だが外へと叩き出されてしまいました。仕方ないので、僕は少し散歩でもしようと表へと出てみたのでした。
「ブンブンブン、ハエが飛ぶ♪…ん?」
歌なんて歌いながら散歩してると、その途中で何かが蠢いているのを見掛けた。何かゴソゴソと群がっているみたいで、こっちの方へと近付いてくるんだけど…。
「…ウッハ!」
僕は慌てて身を翻し、きた道を全力疾走した。
「なんでここまで来てるんじゃ!」
どう見てもどうやって見ても…あいつら擬きじゃんか!それもユラユラ群がって…。
「気色悪っ!」
僕は何とか擬きを振り切って、みんなのいる研究所へと戻ってきた。が、未だ機械の完成は程遠いようで、部品ですら一部が組上がってるだけの状況だった。これはかなぁりやぶぁい。
「みんな大変だ!もうコピー達がそこまで来てるぞっ!」
「なんだとっ!」
全員綺麗に吠えた。もう目を見開いて、まるでそれは般若の様相と言うべきか…。
「し、仕方ねぇ…。材料だけでも分担して持って、ここはとんずらしようぜ!あとはコバピーんとこで組み立てれば…」
みほ殿がそう提案すると、徐に博士が言った。
「いや、これ全て持ってかなくても、一部だけあればどうにかなる。向こうの故障した機械を直すものだけ持って行こう。じゃ、部品A・D・F・K・O・T・W・Yの8つだな!」
「どれだか分からんっちゅうねん!」
まるでプラモデルの部品みたいな…。ま、そんなことどでもよくて、取り敢えずは言われた部品を三つの箱に入れ、みほ殿、けぃ、メラの三人が持つことになった。
「メラ、武器の準備は?」
「万端だ!」
さぁ、出発の時間だ。外に擬き軍団が待ち構えているはず…
-ドカッ!-
全員で出ようと構えた途端、玄関の扉がぶち壊された。
「僕達の出番まだかよ!」
擬き達は一斉にそう叫ぶと、ぶち壊した扉からワラワラと湧き出してきた。
「オマージュかよっ!」
溢れでる擬きをかわしつつ逃げようとしたとき、メラの目がキラリと光り、そして…
「ハハハハハハハハ…!」
なぜか高笑いをしながら、自慢の水鉄砲を乱射し始めた。よっぽどこれが遣りたかったんだろうなぁ…。
その乱射された水にやられたコピー達は、ある擬きは真の姿に、またある擬きは「ウッキョ!」と叫びながらにげだした。
「さすがに…いつ見ても気味悪ぃなぁ…。」
「けぃ…それをお前が言うな…。」
僕はけぃをジトッと睨み付けて言った。ま、確かに気味悪い光景だけど、取り敢えず自分の姿なわけ
だし…そこだけは擁護せねばなるまい。
「よっしゃ!これで時間稼ぎになるゼッ!メラのオッサンも役に立つじゃねぇか。どっかの博士と違ってな。」
みほ殿はバカ笑いしながらそう言うと、メラと博士が同時に怒鳴った。
「オッサン言うな!」
「役立たずかよっ!」
そんな二人の怒号は右から左。その他三名はそれを無視し、すたこらさっさと目的他へと駆け出していたのだった。
「早っ!」
そりゃそうだ。そんなん聞いてても、事態はまぁったく好転しやしないしねぇ。
かくして、僕とその他の愉快痛快な仲間たちは、ダディの研究所へと急いだのだった。
だが、そう易々と通してくれる擬き達じゃあない。どっから出てきているのか、次から次に湧き出す湧き出す!
「バッハを聞くんだったらオルガン曲からだ!」
「いんや!バッハならカンタータからだって!」
「音楽の前に、ダヴィンチの岩窟の聖母を鑑賞し…」
「絵画はやっぱりモネだ!」
「詩はゲーテに限る。あの…」
「いいや!詩はシラーっしょ?」
「ホームズ読まなきゃミステリ好きとは言えないね!」
「何言ってんだ?楽器の一つも出来なきゃ、音楽好きとは言えないね!」
「スコーンにはやっぱりママレードが一番!」
「ベリーやチェリーのジャムも捨てがたい!」
「あ、いい句が浮かんだ。古池や 露に濡れつつ 雀の子!」
ウザさ大爆発ッ!!僕達はそんな擬き達をすり抜け、何とか脱出を試みた。だがその途中、ぼんくら博士を見失ってしまったのでした。
「博士はどこいったんだ!?」
呼べど叫べど姿は見えない。どうやら、例によって擬きに噛まれたようですね…。ま、一回噛まれた者は平気らしいけど。だって…
「痛ぇじゃねぇかっ!このクソ三頭身!」
「痛ぇってんだよっ!このガキ擬きが!」
けぃとみほ殿が歯形だらけになりつつ走ってるので…。
その前を走るメラは、水鉄砲を嬉々としながら射ちまくってるしぃ。ってか、こいつだけは擬き達は噛み付きたくないらしい…。だって、メラだもんね。
「そりゃちょっと酷くね?」
そんなことより、僕達は見失った博士を仕方なく…本当に真実にどう仕様もなく放置し、トットとダディの研究所へと向かったのでありましたとさ。
ま、どうせ擬き達は全員して追ってくるだろうし、そん中に博士の擬きも混じってるだろうしね。
「ウッホォ!オリジナルを逃すな!」
「アイアイサッ♪」
逃げるはいいけど、後方より擬き軍団接近!あんなワラワラと群がって追ってこんでもよかろうに!
「いつ見ても気色悪っ!」
みほ殿がそう言ったとき、軍団の中から数匹の擬きが急接近し、珍しく攻撃をかました!
「バッハ最高パ~ンチ!」
「やっぱり絵画はダヴィンチだキィ~ック!」
「シュークリームはフランスだビィ~ム!」
「ビームは出ねぇよっ!」
走る全員からツッコミが入った!しかし、やつらにはどうでもいいようで、勢いよく攻撃が入ってきた。やっぱりビームは出ないけど。
いつもはメニョんとしてる擬き達だが、今回は違った。これがまたミラクルヒットするしっ!
「グフォッ!」
「ゲフォッ!」
「ムヒョ!」
何か違うのが一つ混じってるけど、それはきっと聞き間違いだからスルーするとして…。
珍しく派手にやられた僕達は、それでもやつらを振り切って全力で駆けた。
暫く走ると、いきなりメラが僕を背中へと背負って言った。
「君は俺が背負ってく!」
「まだまだ走れるゾ!」
僕がそう言って降りようとしたら、メラがこう言ったのでした。
「君は足が短すぎるっての!」
グサッ!ザクッ!ゲロッ!僕は果しなく傷付いた…。確かに三頭身。どう見ても三頭身。なんたって三頭身…!現実ってほんと、厳しいもんですねぇ…。
ま、そうして擬き軍団から逃げ延びた僕達は、やっとこさダディの研究所のある元の町まで帰ってきたのでした。
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