レーヴァティン
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第四十五話 傾奇者その十
「先手必勝じゃ」
「わかっている相手はな」
「わかってないなら調べることも必要じゃ」
「そのこともわかっているか」
「少なくともそのつもりぜよ」
「だから生きられたな」
「今までのう」
そうだったとだ、当季はこうも話した。見れば巨人達はもう全て倒されてしまっていて山の様な金や銀の棒が遺されている。
「一人でやってこられたぜよ」
「そういうことだな、俺の見た通りだ」
「わしは強いか」
「俺達と同じだけな」
こう当季に述べた。
「充分だ」
「ならええがのう」
「巨人は確かに強い、しかしな」
「こいつ等を倒せんとな」
「どうにもならない」
それだけの強さがなければというのだ。
「俺はそう思う」
「こいつ等は何時出て来るかわからんぜよ」
「そして街や田畑も荒らす」
「民も襲うぜよ」
「その連中を倒せずしてだ」
民を困らせる巨人達をというのだ。
「どうしてこの島、この世界が救える」
「そういうことじゃな」
「御前はそれが出来る」
その巨人達を一人で倒す、そのことがというのだ。
「だからだ」
「ええんじゃな」
「これからも頼む」
仲間としてというのだ。
「そしてこの島も世界を救う」
「わかった、じゃあまた巨人達が出て来てもじゃな」
当季は英雄に明るい声で応えて言った。
「わしも戦うぜよ」
「そうしてくれ、ではあらためてだ」
「甲賀にじゃな」
「進むぞ」
こう言ってだった、英雄は当季そして彼の他の仲間達と共に巨人達が残していった夥しい量の金や銀を収めそうして旅を再開した。その時も左手には琵琶湖があるが。
その琵琶湖を見てだ、当季は槍を左肩に担いだ姿勢で道を進みつつ仲間達に対して笑ってこんなことを言った。
「泳ぎたいのう」
「今は寒いですよ」
その当季に良太が突っ込みを入れた。
「泳ぐにしては。それに」
「魔物もおるぜよ」
「はい、ですから迂闊に泳ぎますと」
「魔物に襲われるぜよ」
「蛟もいます」
龍よりは格下だが強いことは事実のこの魔物のことも話した。
「ですから」
「下手に泳ぐとじゃな」
「あまりにも危険です、ですから」
「今は泳がないべきじゃな」
「はい、魔物自体は少ない湖ですが」
それでもというのだ。
「いることはいます」
「蛟は特に危ないのう」
「龍の一段下です、龍よりは弱くとも」
良太もこのことについて話した、蛟のその格について。
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