転生とらぶる
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ペルソナ3
1993話
美鶴の口から漏れた、制御剤という言葉。
それを聞き……だが、俺は首を傾げる事しか出来ない。
そもそも、制御剤ってのが何なのかが分からない以上、こちらとしてはどうしようもないというのが本音だ。
「悪いが、俺はその制御剤ってのが何なのかが、まず分からない。……ゆかりは?」
「私も初めて聞く名前ね。ただ、制御剤という名前である以上、何かを制御する為のものだとは思うんだけど」
そう言い、ゆかりは意味ありげに俺の方を見る。
なるほど。ゆかり達のような存在で制御する必要があるものは、そう多くはない。
そして、荒垣のペルソナはその潜在能力の高さから暴走する事が多かった。
そうなれば、制御剤で制御する必要があるのは……
「ペルソナを制御する薬、か」
「そうだ」
予想以上にあっさりと、美鶴は俺の言葉に頷く。
だが、それでも疑問はある。
「そもそも、最近の荒垣はタルタロスで鍛えた影響もあって、カストールを暴走させるような事はなかった筈だ。なのに、何で制御剤なんて薬を飲む必要がある?」
「最近は飲んじゃいねよ。これは……前に飲んでいた分の副作用だ」
「……副作用があるのか? いやまぁ、薬というのは必ず何らかの副作用があるというのは知ってるが」
この辺りの話は、レモンから聞いたものだ。
レモンはこの手の知識に関しては、他の追随を許さないだけのものを持ってるしな。
そのレモンが言うのであれば、恐らく間違いはない……筈だと思う。
「そうだ。それも市販の薬とは比べものにならない程の……それこそ、命に関わるレベルでの副作用がある」
「……ほう」
制御剤を飲んでいたというだけであれば、俺も特にそこまで気にする必要はなかっただろう。
だが、その制御剤の副作用が命に関わるとなれば、話は別だ。
「それは事実か?」
「……ああ」
俺の問いに、荒垣は若干の沈黙の後で頷いた。
「今は、飲んでないんだな?」
「そうだ。アルマーのおかげで、カストールをきちんと制御出来るようになったしな。今はもう飲んでねえ。これは本当だ」
「……馬鹿が」
荒垣の言葉に短く返したのは、真田だ。
まぁ、真田にとって荒垣というのは、幼馴染みだ。
そうである以上、真田にとっては荒垣の取った行為……命に関わりかねない副作用のある制御剤を飲んでいたというのが、許せなかったのだろう。
「そもそも、だ。制御剤はエルゴ研で作られた薬で、普通に買おうと思っても買う事は出来ない。ましてや、今のエルゴ研は昔と違って非人道的な実験の類はしていない。だというのに、お前はこの制御剤をどこから手に入れた?」
「……」
美鶴の言葉に対し、無言で返す荒垣。
もう作られていないその制御剤という薬を、何故か荒垣が持っていた。
それは不思議に思う。思うが……
「結局のところ、薬だろ? 薬剤師とかに現物を渡せば、それを分析して同じ薬を作れるんじゃないか?」
「無理だ。制御剤を作るには、シャドウや影時間を研究する事で得た技術が必要になる。例えその辺の薬剤師や研究所に持っていっても、鍵となる部分が分からなければどうしようもない」
なるほど。どうやら話を聞く限りでは、かなり厄介な薬らしい。
ともあれ、影時間関係の技術が必要になるというのであれば、美鶴が言ってるように簡単にどうにかする……という訳にはいかないだろう。
そうなると、当然のようにその薬の出所は桐条グループとかになる訳で……幾月か?
そう思うも、桐条グループの不正を全て幾月のせいにするというのは、正直どうかという思いがある。
実際、もし幾月が制御剤を作るなんて派手な動きをしていれば、それこそ武治が調べさせている部署がその辺りをしっかりと把握するだろう。
だとすれば、幾月とは別口の裏切り者がいるという事になる。
……まぁ、桐条グループの規模を考えれば、裏切り者が他にもいるというのはおかしな話ではないだろうが。
まさか、桐条グループに所属している全員が清廉潔白……などと思う程に、性善説を信じてはいない。
どのみち、武治の仕事がまた忙しくなるのは確定、か。
「シンジ、言え。制御剤なんて薬をどこで手に入れた」
「……」
真田がそう言っても、荒垣が返事をする様子はない。
この2人は幼馴染みである以上、気心も知れている筈だ。
だというのにそんな真田に何も言わないという事は、相応に根の深い話って事か?
そんな疑問を抱きつつ、俺は改めて荒垣に尋ねる。
「そもそも、今のお前はもうペルソナを完全に制御出来ているだろ? なら、その制御剤はもう飲んでないんだな?」
「ああ」
こちらには、予想外にあっさりと返事をしてくる。
なるほど。今は飲んでいないのか。それなら、まだ最悪という程はない……のか?
「でも、じゃあ、何で荒垣さんが意識を失うなんて事になるの?」
「……副作用だ。薬は飲んでないが、だからって今まで飲んできた薬の副作用が消える訳じゃねえ」
「時間をおいても、その副作用は出てくるって事か。また、厄介な」
荒垣の言葉に、そう呟く。
麻薬……とまではいかないが、それでも身体にかなりの悪影響があるような薬なのは、間違いないのだ。
であれば、その副作用をどうにかする必要がある。
「この病院でどうにか出来るのか?」
美鶴に尋ねるも、返ってきたのは首を横に振るという行為。
「駄目だ。副作用の影響がかなり出ている。今の桐条グループの持つ技術では、完全に治癒するような真似は出来ない」
「……そうか」
厄介だな。
正直なところ、ホワイトスターに荒垣を連れていって、レモンに見せればどうとでもなるような気がする。
勿論シャドウや影時間、ペルソナについてはレモンも殆ど分かっていないだろうが、それでもレモンであれば魔法球を使ってどうとでもしてしまいそうな感じがするんだよな。
だが、影時間の影響なのか、ホワイトスターと行き来どころか連絡も取れない今の状況では……
「最終手段としては、俺の血を飲ませるという方法があるが……」
「血?」
何を言ってるのか分からないといった様子で、荒垣が俺に視線を向けてくるが……
「駄目に決まってるでしょ!」
即座にゆかりが突っ込む。
まぁ、俺の血を飲めば死ぬ可能性の方が強いし、もし生き残っても何らかの異形になる可能性は高い。
グリしかり、刈り取る者しかり。
それこそ、荒垣に角や羽根や尻尾が生えてきたら、色々と騒ぎになるのは確実だ。
「やっぱり駄目か。まぁ、これはあくまでも、本当の意味で最後の手段だからな。俺の血の力に耐えることが出来なければ、間違いなく死ぬし」
死ぬという言葉に、美鶴と真田が反応する。
……それでいながら肝心の荒垣の方は、そこまで反応していないのが若干気になるが。
「本当の意味で最後の手段って事は、他にも何か手段はあるのか?」
なるほど、そっちを考えていたのか。
荒垣の視線にあるのは、希望でも絶望でもなく……諦観に近い色だ。
何故そのような視線を向けているのかは分からないが、荒垣は以前からこの手の表情を浮かべている事があった。
料理を作ってる時とかは、そこまででもないんだが。
ともあれ、そんな荒垣の言葉に俺は頷く。
「俺達の間で、イクシールと呼ばれている魔法薬がある。魔法薬という意味では、タルタロスの中にも結構置いてるが、そっちだと効果は……」
「恐らく、ないだろうな。タルタロスで手に入れる事が出来る魔法薬を始めとした各種のマジックアイテムは、影時間やシャドウといった存在に由来するものだ。同じ技術であるが故に、制御剤については効果がないと思われる」
「だろうな。だが、俺が持っている魔法薬は、影時間やシャドウとは関係ない代物だ。つまり、もしかしたら……本当にもしかしたらだが、効果がある可能性がある。……まぁ、それでも無理なら、生きるか死ぬかの一発勝負。そして生き残っても、角が生えたり、羽根が生えたり、尻尾が生えたりするかもしれないが、召喚魔法の契約を結ぶか?」
「ああ? 何を冗談言ってやがる」
「いや、これが全く冗談じゃないんだよ。証拠を見せようか? きっと見たら驚くぞ」
その言葉で、俺が何をしようとしているのかを理解したのだろう。
即座にゆかりが口を出してくる。
「だから、止めなさいって言ってるでしょ! あんなの見たら、荒垣さんが制御剤だっけ? それの副作用じゃなくて、驚きで心臓止まるわよ!」
「……アルマー、お前一体何をした?」
ゆかりの言葉に、荒垣が訝しげな……いや、不審そうな視線を俺に向けてくる。
そこまで危ないと言われ、余計に荒垣の好奇心を刺激したのか。
「直接見せるとゆかりがうるさいから、説明だけな。簡単に言えば、俺には召喚魔法という魔法が使えて、それを使う為には俺の血を与えて契約する必要があるんだが、タルタロスで遭遇した刈り取る者……いや、荒垣には死神って言った方が分かりやすいか。その死神を倒したら俺に恭順してきたから、召喚魔法の契約を結んだ」
「死神とっ!?」
驚愕の表情で叫ぶ荒垣。
そこには、先程までの諦観の表情は一切ない。
まぁ、ゆかりの次に刈り取る者と遭遇した回数が多いのが荒垣なんだし、そう思えばこの反応も理解出来る。
「……そうだな。刈り取る者、か。あの存在を見れば、荒垣がこうして騒ぐのも理解出来る。正直、よくもあのような存在をアクセルは倒したものだ」
荒垣の反応に、美鶴が頷きながらそう呟く。
美鶴にとっても、やはりあの刈り取る者は色々と規格外に感じる存在……といったところか。
ただ、強敵を相手にしての戦闘という意味では、刈り取る者はかなりいい相手だと思うけどな。
勿論模擬戦としてだが。
俺が相手をしてもいいが、俺の場合は結局ペルソナ世界での戦闘方法という訳ではない。
それに比べると、刈り取る者の戦闘方法はまさにこのペルソナ世界特有のものの筈……だ。
まぁ、俺の血の魔力で変質している以上、もしかしたらペルソナ世界の戦い方とは違う戦い方をする、という可能性も否定は出来ないのだが。
「ともあれ、だ。刈り取る者に関しては荒垣の身体が治ったら見せてやるとして……今の荒垣に関しては、ともかくこっちの方が先だろ」
そう言いながら俺が空間倉庫から取り出したのは、ネギま世界でも非常に高価で強力な回復力を持つ魔法薬イクシール。
「ただ、これは非常に貴重だ。それこそ、高価だなんだって言っておいてなんだが、金を出せば買えるって代物ではない。……俺とお前達は仲間だし、荒垣は俺達のパーティだ。それを承知の上で尋ねるぞ? それこそ金にならないこの魔法薬を使うという事は、俺に限りなく大きい貸しを作るという事を意味している。それを承知の上で、このイクシールを使いたいか? 当然ながら、このイクシールはシャドウとか影時間関連とは全く違う理で生み出された物の以上、タルタロスの中で手に入れた物に比べれば効果は期待出来るが、それも絶対ではない。……それでも、これを欲するか?」
じっと荒垣に視線を向け、そう尋ねる。
実際、このイクシールは魔法薬が頻繁に見つかるこの世界においても、非常に希少価値を持っているのは明らかだ。
それを使うのだから、説明した通り、荒垣は俺に対して非常に大きな貸しを作る事になるだろう。
それをこうしてきちんと口に出しておくという事は、細かいようにも思えるが……荒垣の性格を考えれば、寧ろこっちの方がいいだろう。
だが、寧ろ荒垣の性格を考えると、俺に借りを作るような真似をしてまで生き延びたいのかと言えば、どうだろうな。
「分かった。この借りは何があっても返す。だから、そのイクシールだったか? それを俺にくれ」
「……へぇ」
てっきり断るものだとばかり思っていたし、もしどうしてもイクシールを使うにしても、ある程度悩んでから受け取るのだと思っていたが……
「どうした?」
荒垣の言葉に、俺は首を横に振る。
「いや、まさかこうもあっさりと俺から魔法薬を貰うとは思っていなかったからな。言っておくが、仲間だからってこれだけの貴重な、そして稀少な魔法薬を使わせても、なあなあで済ませるという事はないぞ?」
俺と荒垣は仲間だが、そこに妙な甘えを持ってくるというのは、俺だけではなく荒垣の為にもならない。
だが、荒垣の様子を見る限りでは、それを承知の上であっさりとこっちの思惑に乗ってきたように思える。
「ふんっ、そうだな。少し前までなら、俺もアルマーの言葉に頷くような事はなかっただろうよ。だが……今はそうも言ってられなくなった。死ねなくなったんだよ、今の俺は」
その目にあるのは、諦観ではなく強い決意。
……俺とゆかりが来るまでの短い時間に何かあったのか? それとも、意識不明にか?
ともあれ、そんな荒垣の様子を見れば、俺もその意思を尊重せざるを得ない。
「……飲め。一気にだ」
そう告げ、荒垣にイクシールの入っている瓶を渡す。
それを見た荒垣は、一瞬の躊躇いもなくイクシールを口に運ぶのだった。
後書き
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1435
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.10
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1389
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