提督はBarにいる。
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親子(?)の食卓
さて、腹ペコ少女の為にも早いトコ作っちまおう。栄養のバランスも考えて、パスタをメインにサラダとスープを付けたランチにするか。
「んじゃ、2人共そこを動くなよ……っと」
いつもの如く部屋の内装を切り換えるスイッチを押し、執務室からカウンターバーへと変身させる。馴れた物である金剛は平然としていたが、初めて見たジャービスは目を丸くしている。
『お料理はmummyがするんじゃないの?』
『ん~……私よりdaddyの方が上手なんですよ』
キョトンとした顔で尋ねるジャービスに、苦笑いで応える金剛。
「ってか、そのダディって呼ぶの止めてくんない?すげぇ恥ずかしい」
『ダメなの……?』
ジャービスが目を潤ませて聞いてくる。止めろ、女の涙に弱いんだ俺は。
『……好きに呼べ』
さて、気を取り直して調理といこう。
《クリーミーなのにさっぱり!レモンクリームパスタ》※分量2人前
・パスタ:200g
・塩:20g
・しめじ:1/2袋
・ベーコン(ブロック):80g
・レモン(輪切り):2枚
・ニンニク:1片
・バター:20g
(ソース)
・生クリーム:200cc
・粉チーズ:大さじ2~3
・レモン汁:大さじ1~2
・塩:少々
・黒胡椒:少々
まずはパスタを茹でるぞ。パスタの分量の10倍のお湯を沸かし、お湯の量の1%の量の塩を入れてパスタを茹でていく。茹で時間は袋に書いてある茹で時間より1分短く茹で上げてザルにあけ、水気を切っておく。
しめじは石附を取り、小房に分ける。ベーコンは1cm角の棒状になるようにカット。ニンニクは縦半分に切って包丁の腹を使って潰し、芽を取り除いておく。
フライパンにバターとニンニクを入れて点火し、焦がさないように弱火で熱していく。ニンニクの香りが立ってきたら、しめじ、ベーコン、輪切りのレモンを加えて強火でサッと炒めていく。しめじとベーコンに軽く焼き色が付いたら、レモンを取り出しておく。取り出したレモンは仕上げにも使うので、捨てないように。
生クリーム、粉チーズ、レモンを加えて軽く煮詰めたら水気を切っておいたパスタを加えて全体をかき混ぜる。塩、胡椒で味を調えたら皿に盛り、取り出しておいたレモンを添えたら完成。
※ソースを仕上げる時、加熱しすぎると脂肪分と水分が分離するので注意!
メインのパスタは出来た。お次はサラダだ。
《芯まで食べよう!ブロッコリーのツナタマヨサラダ》※分量2人前
・ブロッコリー:1/3~1/2株
・ツナ:30g
・茹で玉子:1個
・マヨネーズ:大さじ1~2
・白ワインビネガー:小さじ1/2
・塩コショウ:少々
さて、ブロッコリーの芯は固くて食べられない、というイメージが強いが、表面の固い皮さえ取り除いてしまえばちゃんとした食材になる。ブロッコリーの先は小房に分けて、芯の部分は皮を剥いて1cm角の角切りにして茹でていく。同時進行で茹で玉子も作るぞ。
ブロッコリーが茹で上がったらザルにあけ、水気を切っておく。固さはお好みで。
茹で玉子の殻を剥き、細かく刻んだら、油を切ったツナ、マヨネーズ、白ワインビネガーと和える。ツナ、タマゴ、マヨネーズの組み合わせで『ツナタマヨサラダ』って訳だ。塩コショウで味を調えたらドレッシングは完成。
後はブロッコリーとドレッシングを和えて、盛り付ければ完成だ。今回は入れなかったが、刻んだベビーチーズなんか入れても美味いぞ!
最後はカレー風味のスープだな。
《簡単あったか!鶏肉のカレースープ》※分量2人前
・鶏モモ肉:1/3枚(60g位)
・玉ねぎ:1/4個
・ニンジン:3cm
(スープ)
・水:200cc
・牛乳:200cc
・カレー粉:小さじ1
・顆粒コンソメ:小さじ1
・塩コショウ:少々
・バター:5g
・ドライパセリ:適量
さて、作っていこう。鶏肉は一口大よりも小さくカットし、玉ねぎとニンジンは粗みじん切りにしておく。
鍋でバターを中火で熱し、鶏肉を炒めていく。肉が白っぽくなったら玉ねぎとニンジンを加え、更に炒めていく。
野菜がしんなりしてきたら、水、牛乳、顆粒コンソメ、カレー粉を加えてニンジンが柔らかくなるまで煮る。塩コショウで味を調えたら器に盛ってドライパセリを散らせば完成だ。
『さぁ、出来たぞ。食べようぜ』
カウンター席ではなく、テーブル席に料理を配膳していく。ジャービスと金剛が隣り合って座り、対面に俺が腰掛ける。
「「いただきます」」
俺と金剛が合掌して挨拶したのをジャービスが不思議そうに眺めている。
『日本の風習でな。食事というのは他の命を頂いて自分の糧にする事だ。だから、これから頂く命と、作ってくれた人に感謝していただきますと言うんだ』
その説明で納得したのか、ジャービスも見よう見まねで「いただきます」をした。
『こう?』
『あぁ、偉いぞ』
そう言って頭を撫でてやる。
「ン~!いつもながらdarlingのご飯は最高デース!」
「そっか、なら作った甲斐があったってモンだ」
ジャービスも器用にフォークでパスタを巻き取り、大きな口を開けて頬張る。
『美味しい!』
顔を輝かせて更に頬張るジャービス。しかしがっつきすぎたのか、口の周りがクリームソースだらけだ。
『あぁもう……美人が台無しですよ?』
そう言いながらナプキンでジャービスの口を拭ってやる金剛は、とても母性愛に溢れて見えて、うっかりまた惚れ直しそうになった。艦娘であるが故に子供が出来ない事を金剛は悩んでいたようだが、思い切って養子という選択肢もアリなんじゃないか。目の前の光景を見ていると、何だかそんな気さえしてくる。
それから英国大使館からの迎えが来るまで1週間、ジャービスはウチの鎮守府で過ごした。よく食べ、よく遊び、よく笑っていた。そんな楽しい時間を過ごしていれば、
「イ~ヤ~だ~!」
帰りたく無くなるのは当然な訳で。大使館の職員の方々に必死の抵抗を見せている。でも、金剛のスカートの裾を掴んで引っ張るのは止めてやって欲しい。パンツ見えちゃうから。余談だが、駆逐艦達と話している内にジャービスは自然と日本語を覚えていた。
「ジャービス帰らないもん!」
「いや、そうは言ってもなぁ」
泣きながら帰りたくないとごねるジャービス。
「提督、こんなに嫌がっているジャービスたんを無理矢理返還しようというのか!?」
「はいはい、姉さんはあっちで大人しくしてましょうねー」
「あっ、こら、陸奥!耳を引っ張るな!取れる!取れてしまうぞ!」
やっぱり沸いて来やがったかながもん。そして陸奥がちょっと怖い。
「申し訳無い、まさかこんな事態になるとは……」
「いえ、何となくこうなるのでは、と予想はしていました」
大使館の職員に頭を下げると、苦笑いを浮かべながら1枚の書類を取り出して来た。目を通すと、それはジャービスをウチに正式に着任させる為の書類。
「カネシロ提督のお噂はかねがね。ジャービスがこの鎮守府を離れ難くなる事も予想して、本国とも話を着けておきました」
「こりゃまた、根回しのいい事で」
「いやいや、この程度。カネシロ提督と知り合えたこの縁が
収穫と思えば」
要するに、何かあったら今後ともよろしく……と言う事だ。ジャービスはその手付金のつもりだろう。多少胸糞の悪い物を感じるが、まぁそれくらいは飲み下してやろう。
「ってな訳で、改めてよろしくな?ジャービス」
「じゃあパパとママの側にこれからも居られるの!?」
「That's right!そう言う事デース!」
この母娘の笑顔には、替え難い。
後書き
次回から、ホワイトデー企画始まります。
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