ハイスクールD×D イッセーと小猫のグルメサバイバル
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第26話 無敵の領域を持つ男!四天王サニー登場!
前書き
原作のジュエルミート編ではGTロボはベイのを除くと大型が一体とリーガルマンモスに踏みつぶされた一体とセドルの操っていた一体とスタージュンが操っていた一体の計4体出ましたがこの二次小説ではもう一体出ますのでお願いします。
side:小猫
食事を終えた私たちは研究所の裏手にある岩場の付近にいました。リンさんが言っていたリーガルマンモスを捕獲した人はこの岩場からこっちに向かっているようです。
「皆、来たし!」
双眼鏡で遠くを見ていたリンさんがそう言った瞬間にズシン、ズシンと大きな音がしてそれが近づいてきました。
「な、何よあれ!?」
「もしかしてあれがリーガルマンモス!?すっごいスクープだわ!!」
部長が指さした方には山かと思うくらい大きな動物がいました、もしかしてあれがリーガルマンモスなんでしょうか?でも私たちが驚いたのはそこじゃありませんでした。
「片手で持ち上げている……?」
祐斗先輩の言う通りリーガルマンモスは自分で動いているのではなくその下で誰かによって運ばれていましたがその運び方が信じられない光景でした、だって山ほどの巨体を片手で持ち上げているんですもの。あんな大きな生物は私でも持てません。
「信じられませんわ、あんな巨体を片手で持ち上げているだなんて……ねえイッセーくん、リンさんのお兄さんは怪力の持ち主なんですの?」
「サニー兄は四天王の中でも腕力は非力なほうだ」
「えっ?でもサニーさんは現に片手でリーガルマンモスを持ち上げてますよ?」
朱乃先輩の質問にイッセー先輩がそう答えましたが私は信じられませんでした。先輩を疑うわけじゃないですが実際に片手で持ち上げているのをこの目で見てますからね。
「あれ、あの人の近くに何かいるよ」
祐斗先輩はこちらに向かっているサニーさんの近くに人型の獣がワラワラと現れた事に気が付きました。
「あれはギャングフッドの群れか……狂暴な上に食欲も旺盛な奴だ。リーガルマンモスを奪おうと待ち伏せしていたんだな」
「先輩!そんな呑気に説明してる場合じゃないですよ!?」
このままじゃあの人はギャングフッドの餌食になっちゃいますよ!慌てて先輩に助けにいこうと言うが先輩は首を横に振った。
「心配ねえよ、あいつらじゃサニー兄には指一本触れることはできない」
「えっ?」
私と先輩がそう話しているとギャングフッドの一匹が遂にサニーという人に襲い掛かりました。でもギャングフッドがサニーさんに近づこうとしたとき突然ギャングフッドは倒れてしまいました。
「何が起きたの?猛獣が突然倒れてしまったんだけど……」
「あれは多分ノッキングされたんですね、でも手も使わないで一体どうやってノッキングをしたんだろうか?」
部長と祐斗先輩は手も使わないでノッキングされたギャングフッド達を見て疑問に思ったようだ。
「所長、パス」
「なぬぅ!?」
その時でした、リーガルマンモスを運んでいたサニーさんが突然こちらに目掛けてリーガルマンモスを投げてきました。マンサム所長が受け止めたが改めてサニーさんを見てみるとカラフルな髪以外はいたって普通の男性だった。でもリーガルマンモスを片手で持ち上げていたしイッセー先輩やココさんみたいに何か特殊な力を持っているんでしょうか?
「あ、ゴメ。ちょ重かった?所長」
急にリーガルマンモスを投げたことに謝るサニーさん、どうやら見た目のカラフルさとは違って真面目そうな人みたい……
「けどナイスキャッチ!流石腕力はみじんも衰えていない模様……ただし!美しさが足りない……」
真面目そうな……?
「マンモスを受け止める所作に全然胸がドキュンとしないしそもそも全く感動が起きないってゆーかそもそもがに股でブサイクだし色気ないしもう死ねって感じかな……」
(((なんだこの人ーーー!?)))
な、なんでしょうか?物凄く個性的な方なんですねとしか言えないです。部長たちも顔を引きつらせてますし私と同じ気持ちなんでしょう。
「あれが四天王のサニー!!めちゃくちゃ美味しいニュースじゃない!?後で取材していいか交渉してみよっと」
ティナさんは相変わらずでした。
「こらぁ!サニー!!大切な食宝をブン投げるんじゃない!!昔とちっともかわっとらんな、お前は!!このバチ当たりが!!」
「ここまで優しく運んで来たんだからもう少し感謝してほしいなぁ。てかバチ当たりって所長に言われたくないんですけど……」
サニーさんはふわりと私たちがいる高台まで上がってきました、でも今サニーさんはジャンプをしてませんでした。なんというか無重力でふわ~っと浮かび上がったような飛び方でした。
「やあ、久しぶりだな。イッセー」
「サニー兄も相変わらずそうで安心したぜ」
「ふむ、昔より細胞が活性化している……肌の弾力性も高い。まあまだ神器とやらがグルメ細胞と上手く混じってないのは美しくないがな」
「あ、また勝手に肌を触ったな!?あれ気持ち悪いんだからやめてくれよ!!」
「いいじゃないか、久しぶりの兄弟のスキンシップだ」
イッセー先輩は何か嫌そうに肌を触っていますがサニーさんは何もしてませんでした。何を嫌がったんでしょうか?
「ちょっとお兄ちゃん!イッセーに変な事すんなし!大体実の妹をほっぽりだしておいてスキンシップとかありえないし!!」
「ん?……リン、お前!なんだその土管みたいな足は!?皮下脂肪もハンパない!甘いモンばっか食べてるなこれぇ!!」
「うるせーし!別にお兄ちゃんには関係ねーし!」
「関係したくねーし!んな男みたいな妹と!!」
「女みたいな兄貴に言われたくねーし!」
「ねーしねーしうるせーし!!」
リンさんとサニーさんは私たちがいることも忘れたのか喧嘩を始めてしまいました。
「あの、イッセー先輩。サニーさんってリンさんに触れてないですよね?なんでリンさんの体の事に詳しいんですか?先輩もさっき嫌そうな顔をしていましたしサニーさんが何かしたんですか?」
「ああ、俺はサニー兄の触角を嫌がったんだ。もう既にここにいる奴ら全員がサニー兄の触角に触れられているんだ」
「触角……ですか?」
「まああいつだけは気が付いたみたいだけどな」
先輩が視線を向けた先にはテリーが私たちから離れた高台にいました。いつの間にあんなところにいったんでしょうか?
「……なるほど、あれがバトルウルフか。警戒心の強い猛獣でも一切気が付くことがない俺の触角に反応したとは興味深いな。味方なら頼もしいが……」
「心配いらん!そのバトルウルフはイッセーの相棒だ、これから共に仕事をしてもらう。ターゲットはリーガルマンモスだ!!」
「いやいやリーガルマンモス捕まえたじゃん」
「こいつは『子供』だ!!こいつより断然デカい『親』がまだどこかにいるはずだ!!」
「なっ……!?」
「嘘でしょ!?」
「信じられませんわ……」
「これが子供だって!?」
「はわわ~……」
マンサム所長の言葉に私たちは言葉を失いました。子供で山のような大きさなら親は一体どれだけの大きさなんでしょうか……
こうして私たちはサニーさんを仲間に加えてリーガルマンモスの親を探すために第1ビオトープを探索することになりました。
ーーーーーーーーー
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ーーー
side:??
イッセーたちがサニーと出会う少し前の時間、美食會第6支部に何者かが近づいていた。それは背中から白銀の光翼を生やした仮面を付けた人間だった。
「……着いたか」
男は第6支部に降り立つと内部に入っていった。暫く歩いていると男の目の前に緑色の体色をした男がお尻が大きい虫のような生物を追いかけまわしていた。
「ピキキキャー」
「待ぁてぇええ!その尻食わせろよぉォオ!」
男の名はベイ、先ほどイッセーに敗れたGTロボの操縦者で今は食事中のようだ。目の前の獲物に夢中なのか仮面を付けた男には気が付いていないようだ。
「ウラぁあ!」
「ギーーー!?」
「かっかっか、旨そうだぁあ~~~!こりゃあ丸焼きよりも刺身がいいなぁああ!わさび血醤油ぶっかけて食ってやるぅう!」
ベイは逃げ回っていた生物『おしり虫』を捕まえて舌なめずりをする、だがようやく傍にいた仮面の男に気が付いたベイは驚きの表情を見せた。
「は……はぁああ……こ、これはヴァーリ!?あ、様ぁ!!?」
「相変わらず食い物の趣味が悪いな、ベイ」
「い……いやぁ~~~へっへっへ……し、しかし何故副料理長の貴方様がどうしてここへ?」
「なに、ただの気まぐれだ。それよりもリーガルマンモスの捕獲に手間取っているようだが何か問題でも起きたか?」
「あ、それがそのぉ……」
ヴァーリという男にベイは丁寧な口調で喋る。さっきまでイッセーに対する憎悪を含んだ罵声を叫んでたりジョージョーに怒鳴っていた男とは思えないほどベイは委縮していた。
「まあいい、ジョージョーはどこだ?」
「ジョ、ジョージョーならこの先にいます……」
「そうか、邪魔をしたな」
ヴァーリと呼ばれた男は更に奥の部屋に向かう、するとそこにいたジョージョーがヴァーリの姿を見た瞬間先ほどのベイ同様に驚いた表情を見せた。
「こ、これはこれは副料理長ヴァーリ様!このような辺鄙な場所に来られるとは……出迎えもせずに申し訳ございません」
「かまわん。それよりセドルはどこだ?」
「セドル様はただいま7号機を操縦中でございます」
「GTロボか、この前乗ってみたが反応が鈍かったな」
「さようでございますか……GTロボではヴァーリ様の動きを完璧に表すのは至難のようですな。改良のほうを進めておきます」
「できるといいんだがな」
ヴァーリとジョージョーは暫く歩いていたがある場所に着くと足を止めた。彼らの目の前にはガラス張りの先にある大きな空間が見下ろせるようになっておりその部屋のいたる所にドーム型のスペースがあり中で全身を何かのスーツと仮面で覆った人間が動いていた。
「メンバーはどうなっている?」
「はい、メンバーは第6支部長『セドル』様に怪人『ザイパー』、野人『ド-サ』に『ギド』、更に新人の『メザル』の計5名です」
「相手は四天王を出してくるかもしれんのだぞ?いささか不安なメンバーではあるな」
「お恥ずかしながら既にベイが四天王イッセーに敗れました……」
「四天王イッセーか……」
ヴァーリは何かを考えるように右手を顎に乗せる、しばらくするとヴァーリはジョージョーに向き話し出した。
「面白い、ならば俺も出るとしよう。ジョージョー、一機俺と交代しろ」
「ヴ、ヴァーリ様自らが!?」
「ああ、美食屋イッセー……それにその仲間たち、如何なものか久しぶりに試してみたくなった」
ヴァーリの表情は仮面で分からないが笑っているようにも見えた。
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side:小猫
研究部を後にした私たちはリーガルマンモスの親を探すため『黒草の草原』に来ていました。名前の通り辺り一面が真っ黒な草原を見て私はテンションが上がってしまいました。
「先輩、これは何ですか?」
「これは黒草っていう植物でサラダにして食べたりするんだ」
私は地面に生えていた黒草を引き抜いて食べてみました。ちょっと苦いけどフレッシュな味わいですね、触感はニラや青ネギに似ているかな……うん、美味しいです。
「ちょっと小猫、洗ってもいないのに口にいれたら駄目でしょ?」
「まあまあ、僕たちも食べてみましょうよ。部長も実は味に興味があるんですよね?」
「えっ?私は別に……」
「あら、隠していても駄目ですわ。リアスって隠し事があると直にソワソワしてしまいますもの」
「ええっ!?私ってそんなクセがあったの!?」
「ウソですわ♪」
「朱乃ーーー!!」
部長も黒草に興味があるそうです。というか前にフグ鯨を食べてからこの世界に来るのが楽しみらしいです、本人は隠したがってますけど眷属の私たちには分かります。
「……っていうかイッセー、こいつら誰?」
サニーさんが私たちを指さしてイッセー先輩にそう言いました。そういえばまだ自己紹介をしてませんでしたね。
「ご紹介が遅れてしまい申し訳ありません。私はリアス・グレモリーといいます」
「姫島朱乃ですわ」
「木場祐斗です」
「ア、アーシア・アルジェントです」
「塔城小猫といいます。サニーさん、よろしくお願いします」
「ど-でもいいけどさ、美しさ足りてなくね?」
私たちの自己紹介をぶった切ってサニーさんは美しさが足りないと言いました。
「一応肌のケアはしてるんだろうけど俺から言わせれば全然足りてねえんだよな。お前ら普段なに食ってんの?」
「なにと言われましても……普通のものしか食べてないわね」
「私は和食を好んで食べますわ」
「僕は洋食が好みかな」
「私とアーシアさんはイッセー先輩がご飯を作ってくれることもあるので色々食べてますね」
「ふーん、通りでそこのえーと……猫とアルはリーア達と比べると細胞が活性化してると思ったぜ」
……猫って略されてしまいました。アーシアさんはアルで部長はリーア、朱乃さんはヒメで祐斗先輩はユウと呼ばれました。
「でもそれじゃ全然美しさが足りてないぜ、ビタミンとかコラーゲンとかもっとハンパない食材を取らないと……よし、お前ら今度俺のフルコースをご馳走してやるよ」
「サニーさんのフルコースですか?」
「ああ、オードブルから『美肌キャビア』『カリスロブスター汁』『美白マグロ』『完美牛』『もち肌もやし』『カリスドラゴンの鱗酒』だ。主菜とデザートはまだないけどな」
「すごい!どれもこれも女性が憧れる食材ばかりじゃない!!」
ティナさんの話を聞いて私たち女性陣は目を輝かせました。それを食べていたら私もイッセー先輩が惚れ直してくれるような魅力的な女性になれるんでしょうか?
「サニー兄は四天王一の偏食だから効果はともかく味は保証できないぜ」
「うっせーよ、イッセー。大体お前はどうなんだよ?」
「フルコースか?まだデザートしか決まってないぞ」
「はぁ?あんだけ食材とっておいて優柔不断かよ……てかやっぱお前、『アレ』をメインディッシュに狙ってんの?」
「当然だろう、俺のメインディッシュは『アレ』しかないからな」
二人が言っているアレとは何でしょうか?先輩に聞いてみようと思いましたが突然先輩に手を握られました。せ、先輩……大胆です……
「小猫ちゃん、見ろよ!あそこに『ココマヨの樹』があるぜ。早速行かなくちゃな!」
「わわっ、待ってくださいよ」
先輩に連れられて私はココマヨの樹まで来ました。
「見てろよ、ここを押すと……おっ、出てきた♪」
ココマヨの樹に吊らされていた実のようなものを先輩が押すと中からマヨネーズが出てきました。私はそれを黒草にかけて食べてみます……ココアの苦みとマヨネーズの酸味がいい具合に混ざってますね、黒草とも相性抜群です。
「美味しいです、ココアマヨネーズって野菜以外の食材とも会いそうですね」
「あ、小猫ちゃん。口にマヨネーズが付いてるぞ」
「えっ、本当ですか?」
「俺が取るよ」
イッセー先輩はそう言って私の前に屈むとそっと顔を近づけて……って近い……っん!?
チュッ
先輩は私の唇にキスをしてマヨネーズを舐め取りました。皆とは距離があるから見られてはいないでしょうが先輩がこんな行動をとったことに驚きました。
「せ、先輩!?」
「ん、いつも小猫ちゃんにされてたし偶には俺から攻めてみたくなってな。嫌だったか?」
「もう、嫌な訳がないじゃないですか。すっごく嬉しいです♡」
こういう事されちゃうと胸がキュンッてしちゃうじゃないですか……♡帰ったらもっと一杯キスしてもらう事にしましょう。
「おいイッセー、いきなり走り出すのは止めろよ」
「お兄ちゃん、体力なさすぎだし……」
「うっせ!俺はスマートで繊細なんだよ!」
「おーい、テリー!!お前もこっちにこいよ!」
「お、無視か?」
サニーさんがイッセー先輩に文句を言いましたが先輩は遠くにいるテリーに声をかけました。でもテリーは先輩が呼び掛けてもこちらには来ませんでした。
「やっぱりサニー兄の触角を警戒してるんだな、サニー兄も触角引っ込めたらどうだ?ずっと出してるのも疲れるだろう」
「なんで俺の方が気ィ遣わなきゃなんねーの?意地でも引っ込めねーし」
(……ああ言ってるが実際は美食會を警戒してやってるんだろうな。相変わらず不器用と言うか素直じゃないというか……)
「あん?なんだよイッセー?」
「いや、何でもないさ」
イッセー先輩がサニーさんを微笑ましいものを見るような眼差しで見ていました。こうしてみるとサニーさんもココさんと同じでイッセー先輩が心許せる存在なんだなって思います。
「ねえイッセー。こんな風にのんびりしていてもいいの?マンサム所長が敵はもうこの島に上陸しているって言っていたけど……」
部長はコロシアムで出会ったGTロボが先にマンモスを捕獲してしまうんじゃないかと心配していた。そういわれるとマズいんじゃないかと焦ってしまいます。
「そう簡単にはいきませんよ、この島は『危険度A』のビオトープですからね」
「危険度……?」
「IGOは世界中に庭を保有していてそれぞれが気候や環境が異なっています、そしてその全てが危険区域として指定されていますがこの第1ビオトープは捕獲レベルアベレージ27という群を抜いてヤバい場所なんですよ、まさしく地獄の島ですね」
「27って……どれだけ危険な島なのよここは……」
部長は先輩の話を聞いて顔が青ざめてしまいました。捕獲レベル27なんて今まで出会ってきた猛獣の中でもかなり高いですよね。それが島中にいると聞いたら私も怖くなってきました。
「研究所の話ではリーガルマンモスの親がいるのは『リーガル高原』と呼ばれるこの島の奥地にある高原に向かわなくちゃなりません。以下にGTロボであろうと簡単にはたどり着ける場所ではありません」
「でもそれって私たちも同じ事よね?」
「勿論です」
どうやら私たちが思っていた以上にヤバい場所なんですね、この第1ビオトープは……
「ヴァウ!!ヴォウ!!」
その時でした、遠くにいたテリーが突然吠え出したんです。何かあったのかと警戒をしましたがどこからか地響きがしてそれが徐々に近づいてきました。
「あれを見て!」
部長が示した方向には岩の鎧を纏った巨人のような生き物が草原に住んでいる他の動物たちに襲い掛かっている光景でした。
「あれはロックドラム!捕獲レベル27の巨大甲殻獣類よ!元々生息地は海岸付近だったんだけどあまりの大食漢故より大量の餌を求めて進出してきた猛獣よ!」
ティナさんがロックドラムについて解説してくれましたが要するに狂暴な猛獣なんですね、今も他の生物を叩きつぶして食べてますし。
「わわっ、イッセー君、あいつこっちを見たよ!」
「どうやらエサと認識されたみたいだな。サニー兄、援護してくれ」
「嫌だ」
「はあっ!?」
サニーさんのまさかの返答に先輩が驚きました。いや私たちも驚いてますよ、まさか嫌だなんて言うとは思ってもいませんでしたから。
「所詮食欲に溺れた醜い生物だ、全然美しくねえ。見た目もブサイクだし俺が相手する要素0だな」
「でも肉は珍味だぞ!相手する要素100だろ!!」
「栄養とか豊富なの?無いなら0だ」
「じゃあ間をとって50だ!」
「先輩!ロックドラムが来てますよ!!」
ロックドラムが両手を合わせて先輩に叩きつけてきました。先輩は攻撃をかわしてロックドラムを攻撃しました。
「喰らえ!『5連釘パンチ』!!!」
先輩の釘パンチがロックドラムの両手に穴をあけました。でも先輩は一回釘パンチを使っただけで疲れたような表情を浮かべていました。
(イッセー先輩、コロシアムでの消耗がまだ響いてるんだ……)
私がそんなことを考えていると別のロックドラムが私たちに襲い掛かってきました。
「滅びよ!!」
「雷よ!!」
部長と朱乃先輩が滅びの魔力と雷でロックドラムを攻撃しますがあまりの大きさにそこまで効いてないようです。
「やあぁぁぁ!!」
「魔剣よ、奴を取りかこめ!!」
私もロックドラムに打撃を打ち込みますが対して効いておらず祐斗先輩の魔剣は全部弾かれてしまいました。
「流石捕獲レベル27の生物ね、一筋縄ではいかないわ。でもいつまでもイッセー任せでいたら私たちは成長できない……だから皆、ここは私たちがイッセーを手助けするのよ!!」
「了解です、部長!!」
「イッセー君に守られてばかりじゃ意味がありませんものね」
「私だってイッセー先輩の力になるんです!」
私たちは気合を入れ直してロックドラムに攻撃を仕掛けました。部長と朱乃先輩の魔法は少しずつだがロックドラムの甲殻をはがしていく。ロックドラムは部長たちを踏みつぶそうと右足を上げました。
「今です!!」
私はロックドラムが上げた右足に向かって飛びそのまま足を持ち上げてロックドラムを転倒させました。
「魔剣よ!奴を取りかこめ!!」
体制を崩したロックドラムに祐斗先輩が魔剣を放ちました。さっきは甲殻で弾かれましたが部長たちの攻撃で砕けた場所を狙っていたので今度はロックドラムに刺さりました。ロックドラムは起き上がって私たちに攻撃を仕掛けようとしましたが突然動きを止めて倒れてしまいました。
「ココさんを習ってロックドラムを眠らしてみたけど上手くいってよかったよ」
どうやら祐斗先輩が刺した魔剣は刺した相手に眠気を誘う魔剣のようでした。それにしても魔剣創造って便利な神器ですよね、想像しただけでどんな魔剣でも作れちゃうんですから。
「どうにか動きを止められたわね……上手くいってよかったわ」
「勝てなくても足止めくらいはできましたね」
「ああ、見てください!リンさんが!?」
私が見た方向には酷く興奮したロックドラムがリンさんを追い詰めている光景がありました。
「どうしてあのロックドラムは興奮しているんでしょうか?」
「朱乃先輩、そんな呑気な事を言ってる場合ですか!?このままじゃリンさんが!!」
「でもあんなに興奮したロックドラムじゃさっきの魔剣は効きそうにないしどうすれば……」
私は近くで見ていたサニーさんに話しかけました。
「サニーさん!貴方の妹さんがピンチなんですよ!どうして動かないんですか!?」
「だってあんなブサイクな奴ら相手したくねーし」
な、なんて薄情な人なんですか……
「美しい美しいって言ってますけど妹さんのピンチを見過ごすようなあなたは美しいなんて私は思いません!!」
「……へえ、言うじゃん」
「もういいです!私がリンさんを助けに行きます!!」
私はサニーさんを無視してリンさんの元に向かいロックドラムの顔面にドロップキックを喰らわせました。
「リンさん、大丈夫ですか!?」
「小猫ちゃん!?危険だし!離れてるし!」
「嫌です!たとえ敵わないと分かっていても将来の義姉さんを見捨てるなんてことはできません!!」
「小猫ちゃん……」
ロックドラムは起き上がり拳を振るってきました。私は防御しようと構えましたが突然ロックドラムが吹き飛んでしまいました。
「……えっ!?」
「お前、意外と無茶苦茶なことするんだな」
私の傍にはサニーさんが立っていました。
「敵わない相手に無謀にも挑もうとするその姿、滑稽だという奴は多いだろう……だが実に気高く美しい」
「美しい……私が?」
「ああ、美しいよ。お前、気に入ったぜ。いいもんを見せてもらったお礼に俺のダイニングキッチンを見せてやろう」
「ダイニングキッチン……?」
サニーさんはそう言うとこちらに向かってきた別のロックドラムが攻撃を仕掛けてきた。
「サニーさん、危ない!?」
「美しく散るがいい……『フライ返し』!!」
ボガアァァァンッ!!
攻撃を仕掛けたロックドラムの右腕が突然破壊されてしまいました。一体何が起きたのでしょうか?
「小猫ちゃん、大丈夫か!?」
「あ、先輩……」
そこに先輩が来てくれて降ってきたロックドラムの甲殻から私を守ってくれました。
「サニー兄、ダイニングキッチンの範囲広くなってないか?」
「ん?まあ大体25メートルくらいかな?てかお前も5連まで撃てるようになってたのは恐れ入ったぜ」
「まだ連発はできないけどな」
イッセー先輩はサニーさんが何かしたのを知っているようですので聞いてみました。
「イッセー先輩、サニーさんは何をしたんですか?」
「攻撃を跳ね返したのさ。サニー兄は自分の髪の毛の先から伸縮自在の触角を出しているんだ。その大きさは0.1ミクロン、肉眼じゃまず見えない大きさだ」
「触角ですか?でもそんなに細いと直に切れちゃうんじゃないですか?」
「サニー兄の操る触角一本の張力は約250㎏……俺がぶら下がっても切れないほどだ」
「凄い……」
「しかもそれが全部で20万本はある、すべてつかえばあの巨大なリーガルマンモスすら持ち上げることができるんだ」
さっきサニーさんがリーガルマンモスの子供を片手で持ち上げてたように見えましたが実際は20万本の見えない触角で支えていたんですね。
「グロロロロ……」
「ん?そか、まだいたのか」
別のロックドラムがサニーさんを警戒するように見ていました。そして自分の甲殻を剥がしてそれをサニーさんに投げつけました。
「『髪ネット』……」
ロックドラムが投げた甲殻はサニーさんの目前で止まってしまいました。目では見えませんがおそらく触角で防いでいるんだと思います。
「ほら、返してやるよ……『フライ返し』!!」
空中で止まっていた甲殻がロックドラム目掛けて跳ね返っていきました。ロックドラムは自分の甲殻を顔面に受けて倒れてしまいました。
「あれぞサニー兄のカウンター技『フライ返し』!あらゆる物理攻撃はすべて同じ威力で返されるんだ」
「でも最初サニーさんが吹き飛ばしたロックドラムはかなり遠くに飛んでいきましたよ?それって凄いパワーだったってことですよね?」
「ああ、個体としては同じなんだけどなんでだろうな?」
(ウチが間違ってバトフレ嗅がせちゃったから興奮して力が出てたんだし……)
倒れていたロックドラムは起き上がるとサニーさんに向かっていきました。
「あーあ、警戒して接近戦を避けたのは正解だったのに結局サニー兄のダイニングキッチンに入っちまったな」
「ダイニングキッチンってもしかしてサニーさんの触角が伸ばせる範囲の事なんですか?」
「その通りだ、その距離はサニー兄が言っていた25メートル。その中に入ってしまえば以下にロックドラムといえど脱出は不可能だ」
先輩の言う通りロックドラムはサニーさんから25メートルの距離に入った瞬間硬直してしまいました。
「決まったな、『髪ロック』……あとはゆっくりと調理されるだけだ」
ロックドラムはサニーさんに調理されて地面に倒れてしまいました。
「ダイニングキッチン……通称『サニーゾーン』とも言われる。その中では誰もサニー兄には勝てない」
あれが美食屋サニーという人の力なんですね……
「ん、終わったよ」
「あ、サニーさん!」
私はロックドラムを倒したサニーさんに近づいてお礼を言いました。
「サニーさん、助けてくださりありがとうございました。それと失礼な事を言ってしまって申し訳ございませんでした」
「別にいいよ、それにいいもんが手に入ったからな」
「いい物ですか?」
「ああ、触ってみて分かったんだがロックドラムの甲殻は超硬タンパク質の表皮に美炭酸カルシウムが付着してできた甲殻だ。これを加工すれば美しい『完美大理石』に生まれ変わる。まさに俺が求めた美しい代物だ」
「あ、あはは……」
ロックドラムの甲殻を愛おしそうに見つめるサニーさんに思わず苦笑をしてしまいました。
「それにお前猫って言ったっけ?中々見どころがあんじゃん。どうだ、良かったら俺とコンビを組まないか?」
「コンビ……ですか?」
サニーさんから何か誘いを受けましたがそこに先輩が割り込んできました。
「駄目だ!小猫ちゃんは料理人じゃないしたとえそうだとしても俺の彼女だぞ!!」
「あ、そなの?でも別によくね?俺が猫とコンビ組みたいって思っただけだし。これも一種の調和って奴?」
「それ言えばいいと思うなよ!小猫は俺の女だ!!」
お、俺の女だなんて……それに怒っているからか私を呼び捨てにしていましたしこれはこれで悪くないですね……♡
「ふ、二人とも落ち着いてくださいよ……」
「あらあら、痴話げんかって奴かしら?」
「小猫ちゃんも罪な女ですわね♪」
そこに部長たちも集まってきて先輩とサニーさんの喧嘩を微笑ましいものを見るような眼差しで見ていました。
ドドドドドドド……
「うん?何の音だ?」
どこからか地響きが聞こえてきたので辺りを見渡すと遠くから凄い勢いでロックドラムがこちらに向かって走ってきていました。
「あいつはサニー兄が最初に吹っ飛ばした奴じゃねえか!?」
「あ~……ノッキングすんの忘れてたわ……」
逃げる間もなく私たちはティナさんとテリーを除いてロックドラムに蹴り飛ばされてしまいました。
後書き
以前感想でグルメスパイザーを出すと答えたことがありましたが原作でポケットフードプロセッサーという似たようなアイテムがあったので態々これ出す意味あるかなと思い結局出さないことにしました。楽しみにしていたり期待していた方は申し訳ございません。
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