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レーヴァティン

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第四十五話 傾奇者その四

「到底」
「じゃあ運じゃ」
「運でもどうにかなりません」 
 また反論した良太だった。
「彼等は」
「だからかのう」
「はい、貴方には実力があります」
 確かなそれがというのだ。
「間違いなく」
「じゃあわしは強いっちゅうんか」
「確かに、ではそのお力で」
「これからもか」
「頼りにさせてもらいます」
「ははは、じゃあ暴れさせてもらうぜよ」
 当季は良太に笑って応えた、そしてだった。
 英雄達にだ、笑ってこんなことを聞いてきた。その聞いてきたことはというと。
「ここの遊郭は行ったかのう」
「遊郭ですか」
「そうじゃ、そこのお坊さんは行っとらんのう」
「拙僧は出家していますので」
 実際にとだ、謙二は英雄にすぐに答えた。
「とても」
「やっぱりそうじゃのう」
「はい、拙僧は行っていません」
「それじゃあ他の人はじゃな」
「楽しんできた」
 英雄が当季に一言で答えた。
「そうした」
「そうか、楽しんできたか」
「御前もそうだな」
「おなごは大好きぜよ」 
 口を大きく開いて豪快に笑って答えた当季だった。
「まっことよかものぜよ」
「それでここでもか」
「堪能してきたぜよ」
「そして朝寝朝酒の後でか」
「朝風呂ぜよ」
 それで今この温泉にいるというのだ、この見立ては英雄のそれ通りだった。
「それで二日酔いも解消ぜよ」
「わし等と同じであります」
 峰夫は当季のその話を聞いて納得した様に頷いた。
「遊郭で遊んだことはいいにしても」
「それでもじゃな」
「酒を飲み過ぎてしまい」
「頭が痛くなったぜよ」
「それで、ですね」
「今は風呂ぜよ、二日酔いにはこれが一番ぜよ」
 風呂、それがというのだ。
「熱い風呂に入って身体が熱くなったら水に入って冷やす」
「それを繰り返せば」
「三回でどんな二日酔いも消えてるぜよ」
「そうであります」
「だからわしはこうして風呂に入ってるぜよ」
「遊んだ後なので」
「酒とおなごを楽しんで、これが遊びの締めぜよ」
 風呂、二日酔い解消のそれこそがというのだ。
「最高の遊びで贅沢ぜよ」
「贅沢でござるか」
「おなごに酒に馳走に風呂、この四つがあればぜよ」
 それでとだ、英雄は智にも答えた。
「もう贅沢ぜよ」
「確かに贅沢でござるが」
 その四つがあればとだ、智も頷く。確かにこの四つが揃っていれば贅沢なことは事実であるというのだ。
「しかしこれ以上はないまでとは」
「ははは、わしにとってはじゃ」
「それで、でござるか」
「贅沢の極みぜよ」
 遊郭でのそれがというのだ。
「わしは別にそれ以上のものはいらんぜよ」
「屋敷やそうしたものは」
「興味がないぜよ、遊郭と風呂で充分ぜよ」
「左様でござるか」
「酒池肉林はすぐそこにあるからのう」
 遊郭、そこにというのだ。
「別に何処かの王様みたいにはしないぜよ」
「将軍様もでござるな」
 智はさりげなく起きた時の世界の日本の隣にある世襲制の共産主義という有り得ない筈の国家の国家元首の話もした。 
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