獣篇Ⅱ
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13 正義感は大事。
_「どうやら、猿芝居は全部無駄だったようだなァ。…全~部お見通し、って訳だ。」
_「頭ァ、アンタが賊に加担するとは。吉原を裏切ればどうなるか、アンタが一番知っているはずだァ。」
_「そうかィ?一体どうなる、ってんだァ。ぜひお教え願いたいもんだァ。こんなにたくさん集まってェ、お別れパーチーでも開いてくれんのかィ?」
_「…銀さん…ホントにお別れです。」
_「え?何がァ?」
_「何が、じゃねェだろォッ!
何回ぶっ刺さってんですか、アンタはッ!おでこにブラックホールでもあるんですかッ!?」
_「ん?何が?知らないよ、何も。」
_「刺さってただろォッ!今明らかに顔が赤くなってるだろ!?照れてるだろ!?」
_「オイ、いい加減にしろヨ。決めるときはバシッと決めろヨなァ~」
_「刺さってたよね?君も明らかに刺さってたよねぇ!?」
_「ハンッ)
今からその調子じゃ、先が思いやられるわィ。主ら、そんなことでは百年かかっても夜王には勝てんぞ。」
はーい、刺さってマス。wwww
_「ツッコミ辛いんですけど。そっとしておいたほうがいいよね?アレ。知らない方がいいよね?アレ。」
_「裏切り者には死を。それがここの掟。その命を以てして最期の掟、守るがいいッ!」
_「…嬉しいねェ。遊女総出の総仕舞たァ、男冥利に尽きる。だが、こう貧乳ばかりじゃァ、興も冷めるってもんだァ。女はやっぱり、爆乳でごさんしょォ?…さァ、楽しいパーチーの始まりだァ。」
階段の上にワープする。
銀時たちがこちらまで来れれば、私が案内するつもりだ。とりあえず伏せて待機する。辺りを見渡しながらそっと立ち上がった。だが、まだ時間がかかりそうだったので、さっきのところにワープして戻ってきた。
神威の声がする。
_「なんか、スゴい音がしたネ。零杏がそっちの方に行ってなかったっけ?」
_「確か、そのはずだぜ、団長ォ。」
_「無事だといいけど。」
近くにいた晴太くんに話しかける。
_「お母さんのところに行きんすか?」
怯えたような、でも何か心に決めたような瞳をして、私に返事した。
_「うん。お姉さんは、僕の味方なの?」
_「そうでありんす。もうすぐ銀髪の男が助けに来るから、それまで少しでもお母さんのところに向かいましょう。」
手を差し出すと、その手を繋いでくれたので、そのまま走り出した。
_「そっちは子どもの方に回れ!
私たちは侵入者の方に当たる!」
_「大した騒ぎだなェ。」
_「アンタが起こしてくれた騒ぎよりましだろ?」
_「なんだヨ、まだ怒ってんの?
過ぎたことは忘れないとォ。長生きできないヨ?」
_「あァ…死んじゃったからね、一人。なァ、アンタ。最初から鳳仙と殺り合うつもりだったんだろ?」
_「ハハハハハ)バレた?」
_「バレた?じゃねェよォ、スットコドッコイッ!おかげで駆け引きの道具も、騒ぎの最中に逃げちまう始末だァ。」
あちこちに散らばっている階段を探して、登っていくが、途中で敵の遊女たちに見つかってしまった。ここはなんとしてでも、晴太くんだけでも逃がさなくてはならない。階段を探して登っていくように、とだけ伝えて、私はその場に残った。神威に連絡を取る。
_「もしもし、こちら零杏。
今から遊女たちと戦わなきゃいけないから、先に晴太くんをそっちに逃がします。晴太くんがそっちに行ったら、お母…日輪のところに連れていってやってくれない?あなたならできるでしょ?頼んだわ。」
_「えー、でも零杏が後でサービスしてくれるなら考えてもいいヨ。」
_「分かった。あとで何らかのサービスをするから、晴太くんもお願いします。こちらは状況が落ち着き次第、そちらに向かいます。」
マイクを切って、晴太くんに指示を出す。
_「ここは私がなんとかする。だから主ははやく、お母さんのところにお行きなさい。」
_「え?お姉さんは?」
_「わっちは、ここが終わり次第向かう。だから主は自分のことだけを考えて先に進むのじゃ。分かったな?」
分かった、と言って晴太はが去ったのを確認してから、改めて敵と向き合う。本当は殺しはしたくないが、晴太を守るのが最優先だ。ポケットに持っていたクナイを一斉放射する。そして、相手がそれに苦戦している間に傘を取り出して構える。攻撃を仕掛けられたので、応戦した。
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