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レーヴァティン

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第四十四話 琵琶湖その一

               第四十四話  琵琶湖
 一行は鞍馬山を下りてから甲賀の里に向かった、山地から平地に出るとすぐに道に入ったがその左手を見て英雄は傍らにいる良太に問うた。
「あれが琵琶湖だな」
「はい」
 良太は英雄にすぐに答えた。
「あの湖が琵琶湖です」
「そうか、大きいな」
「形も大体ですが」
「同じか」
「大きいことといい」
 見れば海にも見える、そこまで広い。
「琵琶湖だな」
「この島には塩の湖もありますが」
「琵琶湖は普通のだな」
「淡水湖です」
 こちらの湖だというのだ。
「塩水湖ではありません」
「そうなのか」
「人は塩がないと生きられないせいか」
 今度は謙二が言ってきた。
「そのせいかわかりませんが」
「この島は浮いていて塩は手に入らない」
 海の中にないからだ、それでは海から塩を手に入れることは出来ない。このことは自明の理である。
「しかしか」
「はい、それでもこの島に多くの人がいられる訳はです」
「塩水湖か」
「死海の様な湖が幾つかありまして」
「死海か」
「イスラエルにある」
 海水以上の塩分の水の湖だ、その為入ると体が文字通り浮かぶ。
「あの湖の様な湖が幾つかあり」
「塩は得られているか」
「そして人も多くいられています」
「成程な、西の島には塩の鉱山があった」
 英雄はあの島のことも思い出した。
「しかしだな」
「はい、この島はです」
「塩水湖か」
「そこから塩を手に入れているのです」
「下は海でござるが」
 智は魔神が世界を覆っているそれのことを思った。
「塩があろうとも」
「塩田がない」
「はい、だからでござる」
「空船で海まで行けてもな」
「海水を運んでの行き来は無理でござる」
 それは到底だった。
「流石に」
「だからだな」
「塩水湖があるからでござる」
 まさにだった。
「この島で人が生きられるでござる」
「その辺りの事情もわかった」
「塩は多くある島であります」
 このことは峰夫が言った。
「塩水湖のお陰で」
「そういえばこの島で塩に困ったことはない」
「そうでありますな」
「いつもな」
「そうした島であります」
「このことは日本と違うな」
 彼等の世界の話もした。
「日本には塩水の湖はない」
「はい、海が多く」
「その海から塩を得ている」
「そうであります」
「そしてこの琵琶湖ですが」 
 また良太が英雄に言ってきた。
「淡水湖でありまして」
「塩は得られないがだな」
「多くのものが得られます」
「水、それに川の幸か」
「魚が多いです」 
 そうした場所だというのだ。
「鯉や鮒、そして鯰も」
「オオナマズだな」
「そうです、ビワコオオナマズもいます」
「有名だな、あちらの世界にもいるな」
 琵琶湖、その湖にだ。 
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