転生とらぶる
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ペルソナ3
1982話
美鶴は、珍しく……という表現はどうかと思うが、そこまで派手ではない浴衣を着ていた。
白地の生地に薄紫色の花が描かれた浴衣。
そんな浴衣が、派手目な美人といった感じの美鶴に不思議な程に似合っている。
「美鶴、お前も来てたのか?」
「う、うむ。実は……」
俺の言葉に美鶴が何かを言おうとした瞬間、それを遮るかのようにアイギスが姿を現す。
「美鶴さん、あの武器では標的に当てるのが難しいです。よければ、私の武器で……」
「いや、止めろアイギス。あれは遊びとして、意図的にそういう銃の模型を使っているんだ。……勿論あまりにも狙いが狂っているのであれば話は別だが、あの様子を見る限りでは問題はない」
「なるほどなー」
……ん? 今、アイギスの口から妙な言葉が出なかったか?
俺の知ってるアイギスと言えば、それこそロボットであるが故に生真面目な性格をしていた筈なんだが。
そう思いつつ、改めてアイギスに視線を向けるが、本人は特に何も感じた様子はない。
「岳羽……その、やはり今日はアクセルとデートだったのか?」
「はい。折角の夏休みですし。……桐条先輩、その浴衣似合ってますね」
「ん? そうか。ふふっ、そう言って貰えるとこちらも嬉しいよ。岳羽の浴衣も似合ってるぞ?」
「ありがとうございます。アクセルからも褒められたんですよ」
何だ? 何だかゆかりと美鶴の様子が……2人揃ってにこやかに会話をしているように見えるんだが、どこか緊張感が漂ってないか?
「ほう、そうか。アクセルの着ている甚兵衛は私が見繕ったものだったのだが……中々に似合っていると思わないか?」
「……そうですね。桐条先輩には、私とデートをする為にアクセルの準備に協力してくれて、お礼を言わないといけないと思っていたんですよね」
「……ほう。随分と面白い事を言うな」
「ふふっ、桐条先輩こそ。あ、そうだ。ほら、これ。アクセルが私の為に輪投げで取ってくれたキーホルダーなんですよ」
にこやかに、本当に楽しそうに笑みを浮かべて喋っている2人だが、そこにあるのは強烈なまでの緊張感だ。
「アルマーさん。湊さんを見ませんでしたか?」
ゆかりと美鶴のやり取りに、どうしたものかと考えていると……ふと、アイギスがそんな風に尋ねてくる。
あの2人に関わっていると、色々と不味い事になりそうだと判断し、取りあえず喧嘩する程仲が良いって事で納得して、アイギスの方に視線を向ける。
「有里も夏祭りに来てるのか?」
「はい。風花さんと一緒にデートだそうです」
「あー……なるほど」
あの2人、結局くっついたのか?
それとも、まだ友人以上恋人未満の関係を続けているのか。
その辺りの事情はどうなっているのか分からないが、ともあれ、2人一緒に夏祭りに来ているのは間違いないらしい。
「いや、有里も山岸も見てないな。……ただ、もし2人で夏祭りに来てるなら、恐らくだがお面を被ってるんじゃないか?」
そう言い、俺の頭の横に被っているお面を指さす。
これは、別に何の考えもなく言ってる訳ではない。
実際、有里は月光館学園でかなりの人気を持つ。
その有里が、もしこの夏祭りに来ていると知れば、間違いなく有里のファン達が集まってくるだろう。
それこそ、この夏祭りは巌戸台という、学生寮のある場所で行われているのだ。
そうである以上、恐らく……いや、間違いなく有里のファンも大量に紛れ込んでいる筈だ。
おまけにファン同士の横の繋がりが強いのは、山岸を苛めていた奴の件を思えば、間違いない。
もっとも、そんな有里のファン達が、何故その有里と仲の良い山岸にちょっかいを出していないのかと言えば……純粋に有里の機嫌を損ねたくないというのもあるし、何より巌戸台分寮に住んでいるというのが大きい。
有里、真田という月光館学園でも強い影響力を持っている2人。そして、桐条美鶴という、月光館学園を運営している桐条グループの総帥の1人娘。
そんな連中を敵に回す可能性を考えれば、とてもではないが手を出すような真似は出来ないだろう。
勿論全員が完全に自分を律する訳にはいかないんだろうから、中には山岸にちょっかいを掛けてくるような奴もいるかもしれないが……クラスは違えど、有里と一緒にいる事も多いしな。
「お面でありますか。ですが、私は湊さんの体格であれば、しっかりと見分ける事が出来るのであります」
この辺り、さすがアイギスといったところか。
相変わらず、何故そこまでアイギスが有里に懐いているのかってのは分からないが。
そんな風に俺とアイギスが話していると、ゆかりとにこやかに……そう、にこやかに会話をしていた美鶴が、そちらを一時中断して俺の方に視線を向けてくる。
「ああ、アイギスか。人との対応や習得した常識的な行動を見る為に夏祭りに連れて来たのだが……これまでの様子を見る限りでは、夏休み明けから月光館学園に転入させても大丈夫だろう」
「え? 桐条先輩。アイギスは月光館学園に来るんですか? でも、その……色々騒動になりません?」
この場合。ゆかりの言う騒動というのは、アイギスが起こす騒動もそうだが、何よりアイギスの外見から考えての騒動だろう。
アイギスの顔は間違いなく人間に見える。見えるが……それは逆に言えば顔だけだ。
耳の部分もヘッドホンやら補聴器やら、もしくは宗教的意味でやら、そんな感じで誤魔化せるかもしれない。
腕とか足は制服である程度隠す事が出来るだろうが、指の先、足の先まで全て制服で隠す訳にはいかない以上、どうあっても怪しまれるだろう。
これがネギま世界であれば、どうとでもなるんだろうが……ペルソナ世界なんだよな。
となると、桐条グループで開発中の人型ロボットのテスト……とか、そういう扱いになるのか?
そんな風に思うも、取りあえずその辺りに関しては美鶴の方で上手い具合に調整してくれるのだと思う事にする。
「ふむ、岳羽の心配も分かるが、恐らく大丈夫だと思う」
事実、美鶴もこうやって言い切っているのだから。
「ただ、その……もしかしてアイギスが妙な行動をするかもしれないから、良ければアクセルと岳羽も私達と一緒に夏祭りを見て回ってくれないか?」
そんないきなりの美鶴の言葉に、ゆかりは即座に断る……と思いきや、少し考えてから頷きを返す。
「そうですね。アイギスの件は私も興味ありますし。それに……このまま放っておけば、色々と面倒が起きる可能性もありますから」
「いいのか?」
「いいのよ。それに、私だけだとちょっと不公平だし。……まぁ、自分に素直になれるかどうかまでは、私も手助けは出来ないんだけど」
後半は口の中だけで呟くゆかりだったが、一体何の事なのか、俺には理解出来なかった。
まぁ、ゆかりの様子を見る限りは何か致命的な事……って訳でもなさそうだし、その辺りはそこまで心配する必要はないだろう。多分。
ともあれ、そんな訳で俺とゆかり、美鶴、アイギスの4人で夏祭りを回る事になる。
この光景、傍から見れば俺が女3人を侍らせているようにしか見えないんだよな。
結果として、周囲にいる他の男達から、俺は嫉妬に満ちた視線を向けられる事になる。
ゆかりは美少女、美鶴は美女と呼ぶに相応しい容姿をしているし、アイギスも今の状況ではその手足の先とかは見えず、顔しか見えなければ間違いなく美少女と表現すべき容姿だ。
であれば、そんな視線を向けられてもしょうがないのかもしれないが……それでも、微妙に納得出来ないと感じるのは、どうしてなんだろうな。
もっとも、ゆかりだけを連れている状態であっても、多かれ少なかれこの手の視線は向けられていたのだが。
「あれはなんでしょう?」
夜店を見て回っていた中でアイギスの興味を引いたのは、型抜きの店だった。
型抜き……それにも色々と種類はあるが、一番多いのは食べられる型抜きだろう。
それを針で削っていき、見事にきちん成功させれば賞金が出るという奴。
ただし、これもまた紐のクジと同様にイカサマがある。
それも、例えばしっかりと削られているように見えても、判定する者の判断で駄目になるというのもあるらしい。
勿論そのようなイカサマをする者ばかりではなく、公平に判断する者も多いのだろうが。
ともあれ、この店は……
「ええっ!? ちょっ、これでも駄目なのかよ! 嘘だろ!? しっかり削ってるじゃん!」
「駄目だね。ほら、ここを見てみな。本来削ってはいけない場所まで削ってるだろう?」
「どこだよ!」
「ほら、ここ。しっかり見れば分かるだろ?」
「いや、分かんねえって」
「とにかく、俺が駄目って言ったら駄目なんだ。残念だが、諦めるか……それとも、もう1度チャレンジするんだな」
「ぐぬぬぬ……」
そんなやり取りが聞こえてくるのを考えると、グレーといったところか。
客の方が無理を言ってるのか、それとも店主が賞金を出したくなくてそう言ってるのか。
その辺りはしっかりと分からないが、それもあってアイギスが興味を示したのか?
「お願いします」
「お、姉ちゃん。頑張ってくれよ」
アイギスが型抜き用の型と針を受け取り、台に移動する。
既に大分薄暗くなってきているという事や、アイギスも浴衣を着ているという事もあって、周囲の客達もアイギスを見ても特に違和感はないらしい。
だが……店長は、アイギスを相手にしたのは失敗だったと言えるだろう。
カカカカカカカカッ! といった具合に超高速で型抜きを削っていくアイギス。
その速度は、とても普通の人間に出来るような代物ではない。
そして1分掛かったかどうか……といったところで、型抜きを完了する。
「これでどうでしょう?」
渡された型を、じっと見る店長。
少しでも難癖を付けるところがあれば、それを理由に失敗と見なすつもりだったのだろうが……対シャドウ用兵器として設計されたアイギスの機能を存分に使った結果、そこにはどう考えても文句を付ける事が出来なかったのだろう。
店長は諦めたように、アイギスに賞金を渡す。
もっとも、渡された型はそこまで複雑なものでもなかったので、賞金は1000円だ。
型抜きの代金が500円だというのを考えれば、実質的な賞金は500円といったところか。
ただ……アイギスは1分程度で型抜きを終えたのだ。
つまり、時給……ではなく、分給500円という事になる。
「なるほどなー」
アイギスも俺と同じ事を考えたのか、その目が鋭く光る。……ように見えた気がする。
店長の方は、そんなアイギスの態度に何かを感じたのか、顔を引き攣らせ……
「では、もう一度お願いするであります。今度はもっと賞金の高い物を」
そう告げ、受け取ったばかりの千円札を店長に渡す。
店長もそう言われれば引き受けない訳にはいかなかったのか、難易度の高い型をアイギスに渡し……
「おい、いいのか? アイギスに任せれば、色々と不味い事にならないか?」
「うむ。だが、この店は色々と評判の悪い店でな。アクセルも先程のやり取りは見ていただろう?」
「……なら、何でそんな奴を夜店に入れるんだよ」
美鶴の言葉に呆れ気味に呟くが、別に月光館学園じゃあるまいし、この夏祭りは桐条グループが全面的にバックアップしているという訳でもない。
もっとも、多少なりとも資金提供くらいはしているかもしれないが。
そんな風に考えている間にも、アイギスは型抜きを終え……
「ぐぬぬぬぬぬぬ」
店主は再び文句を言えず、5000円をアイギスに渡す。
うん、具体的にどれくらい稼いでいるのかは分からないが、これは店主に取っても大きな損害だろう。
そろそろ大人しくアイギスを引き下がらせないと、色々と不味い事になりそうな気がする。
あの店長の性格から考えれば、逆ギレしてアイギスに殴りかかってもおかしくはない。
だが、そのような真似をした場合……痛い目を見るのは、間違いなく店長の方だ。
そうならない為にも、この辺りにしておいた方がいい。
そう美鶴に視線を向けると、美鶴も俺と同じ意見だったのか、頷いて口を開く。
「アイギス、そろそろ次の店に行くぞ!」
「分かりました」
型抜きそのものにそこまで未練はなかったのか、アイギスはあっさりと返事をすると、その場から立ち去ってこっちに近づいてくる。
型抜き屋の店主は、そんなアイギスの様子に苛立ちつつ、それでいながらほっとしたような、そんな表情を浮かべていた。
いやまぁ、俺があいつの立場でも同じように思うだろうけど。
ともあれ、戻ってきたアイギスに美鶴は一言二言注意し、俺達は夏祭りを楽しむのだった。
……本来ならゆかりとデートの予定だったんだけど、これはこれで面白い出来事だったと言えるだろう。
唯一の難点は、若干不機嫌そうな様子のゆかりを、どう宥めるか……といったところか。
後書き
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1435
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.10
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1389
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