| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

MS Operative Theory

作者:ユリス
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

技術解説
  装甲材質


——鋼鉄からチタン系合金へMSと共に進化を続けた新素材——

 MS/MA用装甲材質の歴史は、ジオン公国軍がMSの装甲材質として使用した「超硬スチール合金」に始まる。超硬スチール合金は、名前の通りスチール(鉄)の一種で、その先祖にあたる均質圧延装甲は、剛性(硬さ)や靭性(粘り強さ)、そして生産性に優れ、急性期においては戦車や戦闘機などの装甲として多用されていたものである(また、これらの兵器には、均質圧延装甲の表面を浸炭焼入硬化させた、表面硬化装甲も使用された)。超硬スチール合金は均質圧延装甲の一種であるが、それを遥かに上回る性能を持ち、装甲材質のスタンダードとして公国軍MSの大半に使用されていた。しかし、MS開発で遅れをとっていた地球連邦軍は、公国軍とは異なる系列の装甲材質を開発した。それが後にガンダリウムと呼ばれる「ルナ・チタニウム」である。

 超硬スチール合金が、鉄の合金であることに対して、ルナ・チタニウムはその名の通りチタン系の合金である。チタンは鉄と比較すると加工が難しくコストも掛かるが、耐食性や耐熱性に優れ、さらに鋼鉄と同等の強度を持ちながらも、遥かに軽量といった特徴から、航空機や潜水艦などに用いられた。ルナ・チタニウムは、このようなチタンの特性を持つ。宇宙世紀の新素材であった(最初期のルナ・チタニウムはU.C.0064に開発された「EFIS規格LTX001」と言われている)。ルナ・チタニウムの特徴として挙げられるのが、高い剛性——至近距離から発射された120mm砲弾をはじき返したといわれる——と、改良を重ねた後の「EFIS規格LTX128」で確認された放射線遮断能力である。これに着目した連邦軍は、「RX計画」で開発中だったMSの装甲材質にEFIS規格LTX300番代をベースとするルナ・チタニウムを採用した。こうして開発されたRX系MSにおいれ、MS用装甲材としてのルナ・チタニウムの適正が証明されることとなった。しかし、ルナ・チタニウムはその剛性ゆえに囲うが難しく、また精製に稀少元素が必要であるため生産性が低く、大量生産は困難であった。そこで連邦系の量産機にはチタン合金やチタン・セラミック複合材が採用され、この傾向はU.C.0080年代中盤まで続くことになった。

 この状況に変化をもたらしたのが、アクシズによる「ガンダリウムγ(ガンマ)」の開発であった。ガンダリウムγは、ルナ・チタニウムの欠点であった加工性や生産性などを改良したタイプで、U.C.0080年代の後半にはMSの装甲材質として爆発的に広まり、0080年代末までに出現したMSの多くはガンダリウムγ(単に「ガンダリウム」と呼ばれることもある)を装甲材質として使用していた。なお、この素材の開発により、RX系列機に使用されていたルナ・チタニウムは「ガンダリウムα(アルファ)」と呼ばれることになった。

 第1次ネオ・ジオン戦争以後の装甲材質は、チタン合金セラミック複合材系の素材が主流となり、ガンダリウムは一部の高級機に使用されるのみとなった。以後は、U.C.0100年代のマイクロハニカム技術の実用化に伴い、装甲材質よりも加工方法の重要性が増していくこととなった。


——装甲材質による防御力の違い——

 純粋に防御性能だけを見ると、ガンダリウム系のマテリアルが他の素材を圧倒するほどの性能を示す。ただし、装甲の構造によっては性能差が逆転する可能性もある。

■実体弾が命中した場合

・ガンダリウム合金

 高い剛性と靭性を持つガンダリウム系の素材は、実弾兵器に対し絶対的な防御性能を有する。しかし、最初期に開発されたガンダリウムαでは衝撃による破損が見られた。

・その他の素材

 超硬スチール合金やセラミック系素材などが含まれる。これらも実弾兵器に対して高い防御性能を持つ。しかし、セラミック系素材は靭性に欠けるため、バズーカのような大口径火器が命中した場合には割れることもあったといわれる。

■ビーム兵器が命中した場合

 装甲材質に関わらず、ビーム兵器に対してはほとんど場合、本来の防御性能に関係なく破壊された。


——装甲材質の主流はチタン/セラミック系マテリアル——

 宇宙世紀ではチタン/セラミック系の装甲が主流である。また、時代を経るにつれ、ガンダリウム系装甲材質にもセラミックが取り入れられ、材質による性能差は縮まっていると考えられる。これはU.C.0100年代以降、ミノフスキー立方格子に沿って異種結晶化結合を成長させる、マイクロハニカム技術が成立し、使用する材質に関係なく、無格子欠陥金属以上の強度を持つマテリアルが精製可能となったことが大きい。



補足事項

——追加装甲の効果——

 装甲はMS本体だけでなく、「フルアーマー・オペレーション」やシールドに代表される外装式の追加装甲としても装備される。材質はMS本体の装甲とほぼ同じであるが、外装式のために装甲を厚くすることが可能となり、MS本体の装甲よりも高い防御力を発揮する場合があった。中には装甲としてだけでなく、武装コンテナとしての機能を併せ持つタイプの追加装甲も存在していた。


——MS以外で使用された特殊な材質——

 MS用の装甲材質が著しい進化を遂げる中、民生品やMS以外の兵器に使用される材質にも変化が見られた。

 民生用としては、ザク系MSのフレームに使用されているという、「ジオ・ジェラルミン」から削りだされたスーツケース「ジオナイト(対加重100t)」が知られている。このスーツケースは一年戦争時から70年以上もの間、生産され続けているほか、U.C.0080年代後半には素材を強化樹脂に変更した「ZN-L6」も市販された。MS以外の兵器に使用されている材質として、航空機用の「ユニバーサル・ジェラルミン」(アルミ系合金)が知られている。また、コア・ブースター等の高級機には「ハイパー・チタニウム、エアロ・セラミックⅢ」が用いられ、機体の一部にはルナ・チタニウムも使用された。

 
 

 
後書き
次回 センサーシステム 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧