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イギリス人と肉じゃが

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第一章

                イギリス人と肉じゃが
 ウィリアム=トムリンソンはイギリスのスカパフロー生まれだ、イギリス海軍の軍港として有名なこの街で生まれ育ってきた。
 大学も故郷の近くの大学だったがその彼に教授が話してきた。
「君はアジアに興味があったね」
「はい、考古学を学んでいまして」
 それでとだ、彼は教授に答えた。成人した彼は一八〇を超える背に黒い髪と青い目を持つ青年に成長していた。少しがっしりとした身体つきと逞しい顔立ちが特徴的だ。
「日本や中国の方が専攻でもありますし」
「それでアジアに行きたいと言っていたね」
「そうです」
 その通りだとだ、トムリンソンは教授に答えた。
「そう考えています」
「ではね」
 教授は彼に話して述べた。
「日本か中国に留学してみるかい?」
「日本か、ですか」
「中国にね、どちらにするのかは君が決めてくれるかな」
「はい、少し考えさせて下さい」
「それではね」
 トムリンソンはこう教授に答えてだった、そのうえで。
 彼は考えてからだ、教授に答えた。
「短くですがどっちもは出来ますか」
「日本と中国にだね」
「はい、両方にです」
 どちらかではなく、というのだ。
「留学出来ますか?」
「出来るよ」
 教授は彼にすぐに答えた。
「ではね」
「はい、それじゃあまずは中国に行って」
「それからだね」
「日本に行かせて下さい」
「わかった、ではその様に手配しよう」
「宜しくお願いします」
 こうしてだった、彼はまず中国に留学しこの国の考古学を現地で学んだ。それから日本に行ってだった。
 日本の考古学も学んだ、中国でもそうだったが日本でも人とも交流をした。すると研究室でだった。
 同じ研究室にいる大学院生の宮崎茂太にだ、話をしている中で言われた。
「確か君はスカパフロー生まれだったね」
「うん、そうだよ」
 その通りだとだ、トムリンソンは宮崎に答えた。彼が小柄で猿に似た外見で太閤と呼ばれていることを知っている。
「いいところだよ」
「イギリス海軍の軍港だったね」
「そうそう、それで有名なんだよ」
 日本のお茶を飲みながら宮崎にまた答えた。
「ロイヤル=ネービーのね」
「誇り高き」
「今はどうってことないよ」
 誇り高きと言われて苦笑いで返した。
「とてもね」
「そうなんだ」
「そうだよ、もう海上自衛隊の方が凄くないかな」
「まさか」
「いや、だからロイヤル=ネービーはね」
 歴史にあるそれはとだ、トムリンソンは宮崎に笑って話した。
「過去の話だよ」
「今はイギリス海軍なんだ」
「そんなに予算もないし」
「お金がなくて」
「技術もね。多分だけれど」
「海上自衛隊の方が上なんだ」
「そう思うよ、ま僕がスカパフロー生まれなのは事実だけれどね」
 このことはそのまま言えた。
「それで街にはパブやバーも多いんだ」
「ラム酒を飲む様な」
「あっ、それだね」
 宮崎にラム酒を出されて笑って応えたトムリンソンだった。
「そうそう、イギリスの海の男はそれなんだ」
「ラム酒にライムを入れてね」
「そうして飲むんだよ」
「ビタミン補給だったね」
「それでだよ、壊血病の予防にね」
「クックがはじめたんだよね」
「そうだよ、それでずっとね」
 イギリスの海の男達はというのだ。 
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