転生とらぶる
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ペルソナ3
1977話
ピタリ、と。
俺が振るったゲイ・ボルグの穂先は、タカヤの心臓を背中から貫く瞬間に止まっていた。
本来なら何も言わせずにタカヤを問答無用で殺していた俺の行動を止めたのは、離れた場所にいる美鶴の叫び声。
「なぁっ!? おんどれ、何しとんねん!」
自分の相棒……いや、お互いの立ち位置から考えると、上司や主人と呼ぶべきか? ともあれ、そんなタカヤの背中にゲイ・ボルグの穂先が突きつけられているのを知ったジンが、驚きと怒りの混ざった表情で叫ぶ。
もっとも、そうして叫んだからといって何がどうなる訳でもないのだが。
今は動きを止めているが、それでタカヤの命が本当に助かったという訳ではない。
俺が本当にその気になれば、それこそ一瞬でタカヤの命を奪う事は可能だ。
それが分かっているからこそ、ジンも俺を睨み付けるだけで実際に何らかの行動を起こそうとはしていないのだろう。
……寧ろ、怒っているジンと違って、タカヤの方は命を俺に握られているにも関わらず、全く動揺した様子を見せてはいない。
平然としたままですらある。
その事が、余計にタカヤの持つ破滅願望を如実に表しているように思えた。
何をどうすれば、こんなタカヤみたいな性格が出来上がるのやら。
そんな風に思いつつ、俺は美鶴に視線を向け、口を開く。
「何で止めた? お前にも分かっているんじゃないか? こいつは放っておけばいずれこっちに必ず悪影響を及ぼす。それこそ、ここで命を奪っておいた方が後々いいってな」
そう言われた美鶴は、俺の言葉に対して首を横に振る。
「だからといって、殺すのは駄目だ。いや、どうしても手段がなければその方法もやむを得ないが、今のお前であればこのような者達はどうとでも出来るだろう? ならば、わざわざ殺す事もない」
美鶴の言葉に、一瞬何を言ってるのかと思ったが……すぐに納得もする。
そうか、そう言えばそうだったな。美鶴は……いや、美鶴だけではなく、俺と行動を共にしていたゆかりも含めて、人を殺すという行動はした事がないのだ。
特に順平達を含めて2年の面々は、つい先日まで一般人だった。
であれば、人の命を奪うという行為に対して忌避感を抱くのは当然の事だろう。
寧ろ、必要とあらば容易に人の命を奪う事が出来る俺の方が、連中にしてみれば信じられないのだろう。
この辺は、今までの経験が大きく違う。
数多の戦場を駆け抜けてきた俺と、多少の問題はあれど平和な一般人として生きてきた者達との違い。
ちっ、その辺りをしっかりと考えに入れておかなかったのは、こっちのミスだったな。
「美鶴、お前には分からないかもしれないが、そっちのジンはともかく、こっちのタカヤは駄目だ。俺はこいつと似たような奴を知っている。方向性は違えど、そいつは致命的な破滅をもたらす可能性がある」
「……おや、私の事をよく理解してくれているようで、何よりです。貴方のような人がそちら側にいたとは。少し驚きですね」
槍を背中……正確には心臓の裏に突きつけられており、それこそ俺がその気になれば一瞬で命を奪われる状況にあるにも関わらず、タカヤの口調に恐れや動揺といった色はない。それこそ、今の状況に何の恐れも抱いていないかのように。
普通なら、これは自分の中にある恐れや動揺といったものを隠すように装っている……と、そう考える事も出来るが、タカヤの場合はそういのは全く関係なく、今の態度を取っている。
もしここで背中から心臓を串刺しにして殺されても、恐らく……いや、間違いなくタカヤは恐怖を覚えないのだろう。
「幸か不幸か……いや、この場合は不幸以外のなにものでもないか。ともあれ、俺の知り合いには方向性は違えど、お前と似たような性格の奴がいたからな。慣れている……って言い方はどうかと思うが、ともあれそんなところだ」
「ほう、私と同じ性格ですか。非常に興味深いですね。出切れば、是非会ってみたいところです。紹介して貰えませんか?」
「そうだな、お前がこれから行く……いや、逝く先にいると思うから、お前なら会えば分かるだろうよ」
まぁ、ここはギアス世界とは全く違う世界だ。
そうである以上、もしここで死んでも本当に同じあの世に向かうのかどうかは分からないが、それでもここで生きているよりは、シュナイゼルに会える可能性はあると思う。
まぁ、あの世なんて存在が本当にあるかどうかは分からないけどな。
……いや、俺が転生したのを思えば、あるんだろうが。
自分を納得させるように呟き、そろそろいいだろうと美鶴に視線を向ける。
だが、やはり帰ってくるのは首を横に振るという行為のみだ。
「駄目だ、アクセル。その男達を殺す事は許可出来ない」
「別に、美鶴の許可が必要だとは思わないが? 何なら、俺から武治に言ってもいい」
そう言った瞬間、タカヤの身体が微かに動く。
それはタカヤが意図して動いたというのではなく、反射的な動き。
「アクセル、でしたね。今、貴方は武治と言いましたが、それはもしかして桐条武治の事でしょうか? 桐条グループ総帥の」
「ん? ああ。そう言ったが? お前に何か関係あるのか?」
……まぁ、桐条グループの研究で影時間が生まれたことを考えると、とてもではないが関係ないとは言えないだろうが。
「くっ、ははは。そうですか。なるほど、それは面白い。……いいでしょう。私は貴方達に降伏します」
「ちょっ、タカヤ!? 一体、何を考えて……」
「その代わり、彼は見逃してくれませんか?」
「タカヤ!?」
信じられないといった様子でタカヤを見るジンだったが、そのタカヤの方は至って平然とした様子でジンの方を見ている。
そして、降伏するとまで言われては、もうここで殺すような真似は出来ないだろう。
向こうが降伏の意思を示しているのに、俺が殺すような真似をすれば、明らかに俺が責められるのは間違いない。
いや、責められるなんて簡単な事ではなく、もっと致命的な結果をもたらすだろう。
ちっ、幾ら美鶴が止めたとはいえ、あのまま一気に仕留めるべきだったな。
……いや、俺にはまだ美鶴達に話していない能力が幾つもある。
それを使えば、それこそいつでもタカヤを始末する事は出来るだろう。
なら、無理に今やらなくてもいいか。
それに、タカヤが大人しくこっちの話を聞くかどうかは分からないが、それでも何か情報を持っている可能性は決してゼロではないのだから。
「お前が何を企んでるかは分からないが、俺にはいつでもお前を殺せる。それを忘れるな」
そう告げ、タカヤの背中……心臓の裏に突きつけていたゲイ・ボルグの穂先を引く。
それを見たゆかりや美鶴、他の面々も見るからに安堵しているのが分かった。
普段は面倒臭いとか、どうでもいいとかを口癖にしている有里ですら、安堵している様子が見えた。
「ちょっ、待てや! タカヤをお前等に渡すと、本当に思っとんのか!」
既にタカヤがこちらの捕虜になるというのが決定事項であるかのような俺達の言動に、ジンが不満も露わに叫ぶ。
そんなジンに、俺はタカヤの背から放したばかりのゲイ・ボルグの穂先を向ける。
「タカヤが交渉でお前の命を助けたんだ。そうである以上、お前がここで騒いでも意味はないと思うが? それとも、お前1人で俺達全員と戦うつもりか? まぁ、それならそれで、手間が省けていいんだが」
美鶴はタカヤを捕虜にすれば、ジンは見逃してもいいと考えているのか、先程のタカヤの条件に異論を唱えたりはしていない。
だが、タカヤ程ではないにしろ、タカヤに心酔しているだろうジンを放っておくというのは、後々間違いなく災いになる筈だ。
であれば、やはり可能ならここで殺す……とまではいかずとも、数ヶ月は病院に入院して貰うのが最善だ。
いやまぁ、本当に最善なのはやっぱりここで命を奪っておく事だろうが、タカヤならともかく、その部下のジンまでわざわざ殺すのは正直どうかと思うし。
俺は必要があれば殺す事に躊躇いはないが、だからって人を殺すという行為を楽しんでいる訳ではない。
「タカヤを見捨てる訳にはいかへん」
ジンが俺を鋭く睨み付ける。
それは、絶対に退かないと、そのような決意の込められた視線。
向こうが退かないのなら、こっちも相応の対応をするだけだ。
そう思い、ゲイ・ボルグを握り……
「ジン」
そんな俺の行動を遮るように、タカヤの口から言葉が出る。
俺にとってはそこまで気にするような事ではない言葉だったが、ジンにとっては重要な言葉だったのだろう。
一触即発というその空気が消える。
「タカヤ、何で……」
「私の心配はいりません。それよりも、私の事を思うのであれば、しっかりとして下さい。ストレガは任せましたよ?」
「っ!?」
タカヤの口から出た一言が、どのような意味を持っていたのかは俺にも分からない。
だが、その一言でジンの態度が変わったのは間違いのない事実だった。
そうして、何かをこちらに見えないように手渡す。
……それを咎めるのは簡単だったが、ここで迂闊に問題を起こせば間違いなくこれまでの流れがご破算になる。
イレギュラーシャドウがいる状態でそのような事になるのはちょっとごめんなので、取りあえずそのままにしておく。
後で、美鶴……いや、武治辺りに報告しておけば問題はないだろう。
「分かった。ほな、この辺で失礼させてもらうで」
そう言い、去っていくジン。
それを見送りながら、俺は改めて美鶴に視線を向ける。
「おい、本当に放っておいていいのか? あからさまに何か企んでいたぞ、あいつ」
あれだけタカヤが捕らえらるのが納得出来ない様子だったのに、タカヤがストレガを頼むと言っただけであっさりと引き下がった。
これは、どう考えても何か企んでいるとしか思えない。
「うむ。アクセルが考えている事は私も理解しているが……だからといって、あのまま戦いになるよりは良かったと思うんだが」
「……そうか?」
俺は寧ろ、さっさとジンの手足を骨折させて病院に送り込むのがベストだと思うんだが。
もっとも、本当の意味での最善となると、タカヤをここで殺してしまうという手段なんだが。
「ともあれ、だ。……タカヤがこっちに降伏したが、これからどうする? イレギュラーシャドウの件もあるが、このままタカヤを連れてイレギュラーシャドウに戦いを挑むって訳にもいかないだろ?」
そうなれば、足手纏いを抱えて戦いを挑む……どころではなく、獅子身中の虫を抱えて敵に挑む事になる。
タカヤの性格がはっきりと分かった訳ではないが、それでもチャンスと考えれば何らかの行動を起こしても不思議ではない。
ましてや、タカヤがどんなペルソナ使いなのかも分かっていない以上、そんな人物を戦闘に連れていくのは絶対にごめんだ。
だからといって、タカヤを見張るにしても、少人数では何があるか分からないのは痛い。
タカヤが何を考えてこっちに投降するような真似をしたのか、それは俺にも分からない。分からないが……だからといって、そのままにしておく訳にもいかない。
となると、最善の手段として考えられるのは……
「イレギュラーシャドウ、俺がいなくてもどうにか出来そうか?」
その言葉に驚きの表情を浮かべたのは、当然なのだろう。
今までのイレギュラーシャドウは、全て俺が戦闘に参加してきた。
ああ、いや。違うな。最初に巌戸台分寮に現れたイレギュラーシャドウは、有里が倒したんだったか。
その有里もいるし、最強のペルソナ使いたるゆかりもいる。潜在能力という点では大きなコロマルもいるとなれば……何をどうするにしても、こっちの力は十分なものになると思われる。
「当然だ。俺達がいつまでもアクセルに頼っている訳ではないことを、証明してみせよう!」
自分に気合いを入れるように、真田が宣言した。
まぁ、元々シャドウと戦う事に関しては人一倍熱心だった真田だ。そんな真田にとって、俺を抜きでもイレギュラーシャドウと戦えるという事は、大きなチャンスなのだろう。
イレギュラーシャドウを相手にして、真田はあまりいいところを見せてないしな。
「なら、そっちは任せる。その代わり、タカヤはこっちでしっかり連れていく」
問題なのは、どこに連れていけばいいのかって事なんだが。
普通に考えれば幾月の下なんだろうが、その幾月は現在限りなく黒に近い灰色という扱いだ。
とてもではないが、タカヤのような新しいペルソナ使いを連れていく訳にもいかない。
かといって、武治だとさっきのタカヤの反応を見る限り、何か色々とありそうだ。
武治は影時間でも動けるが、だからといってペルソナを使える訳ではない。
もしタカヤがペルソナを使えば、武治の命にも関わるだろう。
「ん? そう言えば……お前、召喚器はどこだ?」
ふと気になり、タカヤに尋ねる。
上半身が裸のタカヤは、召喚器を持っているように見えない。
いや、ズボンに隠しているのか?
……これで上半身だけではなく、下半身までもが裸だったら、色々な意味で大惨事だったろうが。
「私には召喚器などという物は必要ありません。ペルソナを召喚する為に、召喚器は必ずしも必要ではないのですよ」
「……なるほどな」
どうやら、タカヤは俺が思った以上にペルソナ使いとしては熟練者らしい。
後書き
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1435
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.10
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1389
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