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レーヴァティン

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第四十三話 鞍馬山その二

「しかしな、麦飯も食べていてだ」
「お好きなのでありますか」
「麦の適度な硬さが好きだ」
 柔らかい白米の中のというのだ。
「他には十六穀飯も好きだ」
「ああ、あれもですか」
「むしろこちらの方が好きだ」
「あれは確かに美味しいであります」
 峰夫も十六穀飯については同意だった。
「色々なものが入っていてであります」
「美味いな」
「まことに」
「だからよく家でも親が作っていてだ」
「英雄殿も食べているでありますか」
「そうしている、この世界では麦飯をよく食っているか」
 こちらをというのだ。
「だからそれはいいが」
「干し飯はでありますか」
「どうしても駄目だ」
 米は好きでもというのだ。
「玄米はいけてもな」
「玄米の方がいいといいますが」
 こう言ったのは謙二だった。
「身体には」
「そうだな、胚芽に栄養があるからな」
「それ以外は澱粉しかないです」
「それが白米だな」
 米から胚芽を取ったものがだ。
「だから白米よりもな」
「栄養的には玄米がいいです」
「そうだな、それに俺は玄米の味もだ」
 それもというのだ。
「好きだからな」
「ではあの硬さもですか」
「好きだ」
 味だけでなくというのだ。
「だからそちらには抵抗がない、冷えた飯も食うしな」
「冷えた麦飯も」
「抵抗がない」
「それでも干し飯はですか」
「どうもな、今は贅沢も言っていられないが」
 旅の途中で狩りも採集もしていないのでだ。
「好きではないな」
「そして好きでなくともですね」
 今度は良太が問うた。
「今は」
「食う、しかし保存食も考えていくか」
「干し飯以外のものを」
「前に瓶詰め等の話をしたが」
「そうしたものをですね」
「考えていくか、主食にしてもな」
 その主食である干し飯を食いつつ言う英雄だった。
「色々考えていくか」
「では餅は如何でござるか」
 智はこれを話に出した。
「餅は好きでござるな」
「あれだな」
「はい、あれは如何でござるか」
「そうだな」
 餅と聞いてだ、英雄は考える顔になりこれを出した智に答えた。
「あれの方がいいか」
「干し飯が好きになれないならば」
「餅があれば焼いてな」
「はい、そして鍋の時も入れられるでござる」
「しかも美味い」
 保存が利くだけでなくだ。
「ならいいな」
「では今度からはでござるな」
「餅を食うとしよう」
「実際に陣中でも食していたらしいでござるしな」
「餅をか」
「左様、中国の話でござるが」
 智は彼等の世界のこの国の話をした。
「米の餅の間に穴を開けてそこに紐を通して幾つも一緒に運んでいたでござるよ」
「そして食っていたか」
「そうしていたでござる」
「そうだったのか」
「明代の将軍だったでござるな」
 この時代の話だというのだ。 
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