儚き想い、されど永遠の想い
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38部分:第四話 はじまりその二
第四話 はじまりその二
すると義正はだ。こう真理に答えたのだった。
「私はです」
「貴方は」
「憎しみを忘れてしまっています」
人間は誰でもそうした感情は持っている。それもまた人間だ。
しかし今はだ。その感情をだ。忘れてしまっているというのだ。
「嫌悪もです」
「そういったものをですか」
「はい、忘れてしまっています」
彼はだ。そうだというのである。
「完全にです」
「そうですか。忘れていますか」
「感じず。そして忘れてしまう」
「不思議なものですね」
「全くです」
二人の言葉はだ。ここでは戸惑いを感じているものだった。
その戸惑いを二人共見せながらだ。そうして話すのだった。
「こうしたことになるとは」
「おかしな話です」
「今こうしてお話していても」
「向かい合っていても」
どうかとだ。二人で話すのだった。
「そういった感情を忘れてしまっています」
「感じないままです」
「どうしても。何故かわかりませんが」
「そうなっていますね」
「そして」
そしてだとだ。義正から話した。
「憎しみを感じずにです」
「他の感情がですね」
「どうしてでしょうか。こうして御会いしていると」
「それだけで、ですね」
「はい、楽しい気持ちになります」
そうなっているとだ。彼は真理に話したのだった。
顔は思いつめたものになっている。だが本人はそれには気付いていない。
そして真理もだ。同じ表情になっていた。しかしだった。
彼女も同じだった。そうなっていたのだ。
それを話してだ。二人でだった。
見詰め合いながら。そうしてだった。
義正がだ、また先に口を開いて告げたのだった。
「何故。楽しいと思えるのでしょうか」
「私も。実は」
「楽しいと思われていますか」
「はい、そうです」
その通りだとだ。その顔で義正に話したのだった。
「そうなっています」
「同じなのですね。そのことを」
「これはどういうことでしょうか」
義正にはわからなかった。そのことはだ。
そしてそれはだ。彼女もだった。
「私もまた」
「わかりませんか。今は」
「はい、わかりません」
こう答えるしかなかった。
「これは一体」
「そうですね。私もです」
「貴方もですか」
「ただ。わかりませんが」
それでもだとも。義正は返すことはできた。
「悪い感情は感じません」
「そうですね。私もです」
「御互いに。そうなのですね」
「ですね。ただ」
今度はだ。真理から言ってきた。その言葉は。
「今はこれで」
「戻られますか」
「そうしたいと思います」
こう義正に述べるのだった。
「貴方は。どうされますか」
「私もです」
義正もだ。そうだと述べるのだった。
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