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真田十勇士

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巻ノ百二十五 真田丸その十

「最強の盾となっていますから」
「だからこそ」
「はい、この出城はです」
 まさにというのだ。
「我等が安心して外にうって出られる」
「その為のものですな」
「外の戦はお任せ下され」
 幸村は大野に笑みを浮かべてこうも言った。
「思う存分暴れてみせましょうぞ」
「そして都も奈良も手に入れ」
「近畿から西国をです」
 その全てをというのだ。
「手に入れましょうぞ」
「ですな。兵糧もあれば銭もあります」
 大坂にはとだ、大野はこのことは確かにと言った。そしてこのことは紛れもない事実であった。
「武器も具足もあり申す」
「それがしが驚いたのは」
 ここで幸村が言ったことはというと。
「鉄砲があまりにも多く」
「そのことですか」
「出城にもです」
「はい、鉄砲は望まれるだけです」
 それこそと答えた大野だった。
「お渡ししますので」
「お陰で、です」
「真田殿もですか」
「多くの鉄砲を用意出来ました」
 大野に笑みで答えた。
「まさに」
「それは何より、鉄砲もその弾もです」
「大坂には多くありますな」
「太閤様が遺して下さいました」
「これだけの鉄砲があれば」
「余計にですな」
「戦えます」
 こう大野に約束した。
「まさに」
「それは何より、それとこの出城でござるが」
 大野はその出城の話もした。
「真田殿が築かれたので」
「だからでござるか」
「はい、名前ですが」
 今話すのはこのことだった。
「真田丸とされてはどうでしょうか」
「それがしの名をですか」
「はい、付けられては」
 この出城にというのだ。
「そうされてはどうでしょうか」
「そうして宜しいのですか」
「はい」
 幸村に笑顔で答えた。
「真田殿が築かれ真田殿がお守りしますから」
「出城に我等の名をかんしてもいいとは」
「是非、そしてです」
「そのうえでですな」
「この城を豊臣家をです」
「守ってですか」
「はい、戦に勝つ為のお力を」
「さすれば」
 幸村は大野に感激と共に答えた、そうしてだった。
 彼はその出城である真田丸に兵を置き外に出て戦うことにした、そうして軍議でそれを言うことを決めていた。その軍議の時は間もなくだった。


巻ノ百二十五   完


                 2017・10・1 
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