星河の覇皇
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第六十六部第三章 幸せの国その十一
「タイのラーマ十世だ」
「お二方ですね」
「英邁な方々だった」
昭和天皇、ラーマ十世共にというのだ。
「立憲国家での君主の理想だ」
「まさにそうですね」
「そのお二方もというのだな」
「国家元首、君主としてはこの上ない方々でしたが」
「軍人でも政治家でもなかった」
「国家元首でありました」
それ故にというのだ。
「陛下もです」
「国家元首としてだな」
「アッディーン大統領を御覧下さい」
「そういうことになるか」
「私はそう考えます」
こう国王に対する礼儀を以て話すのだった。
「陛下は国家元首であられるのですから」
「そうなるのだな」
「国家元首は祭事を行われ君主ならば伝統を守られ」
「気品と風格もだな」
「守られるものです」
「気品と風格か」
「陛下はどれも備えられています」
それが為にだ、ブータン王は君主として立派であるというのだ。国家元首としてアッディーンに比肩しているとも。
「ご安心下さい」
「気圧されることはないか」
「王としておられれば」
その玉座にだ。
「よいのです」
「そうなるな、ではな」
「はい、それでは」
「大統領を待とう」
アッディーン、彼をというのだ。
「ブータン王としてな」
「そして陛下」
今度はシュミールが王に言った。
「晩餐会ですが」
「今宵のだな」
「各界の名士達が揃っています」
「閣僚達もだな」
「はい、全員」
誰もがというのだ。
「賑やかになっています、しかし」
「しかしとは」
「どうも。私が見たところですが」
こう前置きしつつだ、シュミールは王に言うのだった。
「先日のローマ法皇の時と比べまして」
「今回はか」
「そうです、先日の晩餐会はです」
ローマ法皇を国賓として行ったその晩餐会よりもというのだ。
「かなりのものでしたが」
「確かにな、あの時はな」
「非常にでしたね」
「私から見てもだ、誰もが法皇猊下にお会いしたいとな」
「お姿を見たいと考えておられて」
「気持ちが上ずっていた」
その時の晩餐会に出席する者達はというのだ。
「王宮もだ、法皇が来られると聞いてだ」
「近衛兵や女官達も」
「今以上にだった」
「興奮していましたね」
「しかしだ」
今回のだ、アッディーンを迎えての式典等はというのだ。
「今はその時より静かだな」
「そうですね」
「法皇の方が注目されているか」
「我が国においては、そして」
「連合ではか」
「どの国もその様ですし」
アッディーン、そしてシャイターンよりもだ。ローマ法皇の方が注目されそして歓迎されているというのだ。
「我がl国も」
「静かだな」
「はい、晩餐会の状況も」
用意しているその場のそれもというのだ。
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