新訳紅桜篇
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25 教科書は捨てずに持っておきましょう。
どんな反応をするのか、気になって見ていると、
彼はただ、高笑いするだけだった。
_「仲間、ねェ。
まだそう思っていてくれたとは。
ありがた迷惑な話だ。」
_「まだそんなものを持っていたか。
お互いバカらしい。」
と、彼が取り出したのは、亡き師が残した教科書だった。
_「お前もそいつのおかげで紅桜から守られた、
って訳かィ。
思い出は大切にするもんだねェ。」
_「いいや、貴様の無能な部下のおかげさ。
よほど興奮していたらしい。
ろくに確認もせずに髪だけ刈り取って去っていった。大した人斬りだ。」
えーえー、私それ、バッチリ拝見しておりました。
_「逃げ回るだけじゃなく、死んだフリまで上手くなったらしい。
で?わざわざ復讐に来た訳かい?
ヤツを差し向けたのはオレだと?」
_「アレが貴様の差し金だろうがヤツの独断だろうが、関係ない。
だがお前のやろうとしていること、
黙って見過ごす訳にもいくまい。」
!
爆発が起こる。
ヅラのやつ、やっぱ爆弾仕込んでたんじゃん!?
_「貴様の野望、悪いが海に消えてもらおう。」
すかさずまた子が、晋助を庇う。
_「桂ァァァッ!
貴様ァァァッ!生きて帰れると思うなァァァッ!」
_「江戸の夜明けをこの目で見るまで、死ぬわけにはいかん。
貴様ら野蛮な輩に揺り起こされたのでは、江戸も寝覚めが悪かろうて。
朝日を見ずして眠るがいい。」
_「眠んのは、てめぇだァァァッ!」
言ってることはとってもかっこ良かったんだけどね…
まさかのその展開になるとはねぇー、、、
はけてきた彼らに、春雨の方の準備はもう済んだ、と伝えた。
だが晋助は、銀時が来た、と言ってまたどこかへ行ってしまった。
大丈夫。すぐ戻る、とは言われたものの、心配だったので後をつけることにした。
だがまたヅラと話していた。
_「ヅラ、オラァな、てめぇらが国のためだ、
仲間のためだ、剣を取ったときも。
そんなもんどうでもよかったのさ。考えてもみろ、
その握った剣…ソイツの使い方をオレたちに教えてくれたのは誰だ?
オレたちに武士の道を、生きる術を…それらを教えてくれたのは誰だ?…オレたちに生きる術を与えてくれたのは、まぎれもねェ…松陽先生だ。
なのに、この世界はオレたちからあの人を奪った。だったらオレたちは、この世界に喧嘩を売るしかあるめェ。あの人を奪ったこの世界を、ぶっ壊すしかあるめェよ。…
なァ、ヅラ。お前はこの世界で何を以て生きる?オレたちから先生を奪ったこの世界を、どうして享受し、のうのうと生きていける!?
オレはソイツが腹立たしくてならねェ!」
ごめんなさい、晋助。
そして皆。
謝らねばならないのは、私の方だ。
_「高杉…オレとて、何度この世界を更地に変えてやろうと思ったか知れぬ。だがアイツが、それに耐えているのに。ヤツが、一番この世界を憎んでいるはずの、ヤツが耐えているのに…オレたちに何ができる?
オレにはもう、この国は壊せん。
…壊すには、ここには大事なものができすぎた。
今のお前は、抜いたやいばを鞘に納める気を失い、
ただいたずらに破壊を楽しむ獣にしか見えん。
この国が気に食わぬなら、壊せばいい。だが江戸に住まう人々ごと破壊しかねん貴様のやり方は、黙ってみてられぬ。他に方法があるはずだ。犠牲を出さずとも、この国を変える方法が…
松陽先生もきっとそれを…」
といったところで、ふと気配を感じて見上げると、万斉と春雨の団員2人が立っていた。
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