英雄伝説~西風の絶剣~
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第28話 カシウスとの再会
side:エステル
翡翠の塔でルックたちを保護したあたしたちはそこで見つけた男の子を連れて家に戻ってきていた。
「あの子、大丈夫かしら?」
「一応デバイン教区長に見てもらったから問題はないと思うけど……」
町に戻ってきた後あたしたちは直に七曜協会のデバイン教区長を呼んで具合を見てもらったけど体に異常はないみたい、今は使われていない別室で眠っているわ。
「それにしても珍しいわね、父さんがあの子を家で看病するなんて……」
「うん、こういった場合はギルドが保護するんだけど父さんが無理を言って家に連れてきたんだよね」
「う~ん、父さんも慌てていたし知り合いなのかしら?」
あの時の父さんは珍しく慌ててたしあの子の事を知ってるのかも知れないわね。
「……もしかしてあの子もヨシュアみたいに家で面倒みるって言わないわよね?」
「流石にそれは無いんじゃないかな、僕みたいに行き倒れていたってわけでもなさそうだったし……」
「確かに服装は綺麗だったし単なる知り合いの線が強そうね。それにしてもあの子を見てるとヨシュアが初めてこの家に来たのを思い出すわね」
「ああ、もう5年くらい前のことだね」
ヨシュアは父さんの血の繋がった子ではなく養子なの、昔遊撃士の仕事で保護したらしくてそれ以来は本当の家族のように過ごしてきた。
「……ねえ、ヨシュア。昔の記憶は興味ないの?」
「えっ、突然どうしたの?」
「その、少し気になっちゃって……」
ヨシュアがこの家に初めて来た時、彼は自身に感する記憶を殆ど失っていた。覚えていたのは自分の名前だけ……今は私の家族として一緒にいるけどやっぱり気になってるのかなって思っちゃって……
「う~ん、やっぱり正直に言うと気にはしてるんだ、記憶を失う以前の自分は何者だったんだろうって。でも父さんは話したくなさそうだしもしかしたら自分はとんでもない悪党だったんじゃないかって思う事もあるんだ」
「そんな訳ないわ!もしそうなら父さんが家に連れてくるわけがないじゃない!」
「エ、エステル、落ち着いて……」
「あ、ごめん、あたしから聞いておいて……」
自分で質問しておいて熱くなっちゃったわ、なにやってるんだろう、あたし……
「……ふふっ、でもありがとう、エステル。僕の事を心配してくれたんだろう?確かに記憶について気にしてない訳じゃないけど例え記憶が戻ったとしても僕の居場所はここだよ。君と父さんがいるこの家が僕の帰る場所さ」
「ヨシュア……そうよね!あたしったららしくないことで悩んじゃったわ。ヨシュアが何者でも家族であることに変わりないもんね!」
「ようやくいつものエステルらしくなったね」
「いつものってなによー、それってあたしが能天気だっていうの?」
「あ、自覚はあったんだね?」
「あんですってー!」
……あはは、なんかおかしくなってきたわ、変に心配しちゃってバカみたい。
「さてと、そろそろ夕食を作るとしますか、ヨシュアも手伝ってくれる?」
「うん、任せて」
あたしは気持ちを切り替えてヨシュアと一緒に夕食作りを始めた。あ、そうだ。あの子の分も一応作っておこうかしら。
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side:リィン
「……ん、あれ、ここは?」
目が覚めた俺は知らない部屋で寝ていた、何があったんだっけ、思い出そうとしても頭の中の記憶が霧のように覆われていていまいち思い出すことが出来ない。
「確か俺は帝国で仕事をしてそれから……」
ガチャッ
俺が記憶を探っていると部屋の扉が開き誰かが入ってきた。入ってきたのは栗色の髪をツインテールにした女の子と俺と同じ黒髪の男の子だった。
(……?なんだ?あの男の子を見た時一瞬胸の傷が疼いたような……)
男の子を見た時に変な既視感を覚えたが気のせいだと思い彼らに話しかけようとした。
「あ―――!起きてるじゃない!良かった!」
だが女の子の方が先に声をかけてきた、俺は大きな声にビクッと体を震わせてしまった。
「あ、あの……」
「ヨシュア、この子が目を覚ましたことを父さんに話してくるからちょっとこの子の事頼んだわね!」
女の子はそういうと一目散に部屋を出て行った。
「えっと……」
「騒がしくしてごめんね、エステルってちょっと慌てやすい性格だから……それより体の方はもう大丈夫かい?」
「あ、はい。ちょっと頭が痛むくらいです。あの、それよりここは……」
「父さん、早く早く!」
俺が質問しようとすると今度は女の子と男性が入ってきた、だが俺はその男性を見て驚いた。
「カ、カシウスさん!?」
そう、俺の前に現れたのはD∴G教団の事件の時にお世話になったカシウス・ブライトその人だったからだ。
「久しぶりだな、まさかこんな所で再開するとは思ってもいなかったが……」
「カシウスさん、貴方がいるって事はここはまさか……」
「ご察しの通りだ、ここはリベール王国のロレントにある俺の家だ」
カシウスさんの言葉に俺は驚きを隠せなかった。俺は確かにエレボニア帝国にいたはずだ、なのにどうしてリベール王国にいるんだ?
「すいません、カシウスさん。今日は何日でしょうか?」
「今日は〇月▲日だがどうかしたのか?」
そんな……確か俺が帝都にいたのが〇月□日だったから一日しか立っていないのか?
「大丈夫か?様子がおかしいが……」
「……いえ、すいません。落ち着きました」
「そうか……所で」
「ねえお父さん、あたしたちのことほったらかしだけどその子は誰なの?」
「ん?ああ、話していなかったな」
カシウスさんが俺に何か話しかけようとしたが女の子に話しかけられたためカシウスさんは話を中断して俺について話し始めた。
「彼は私の友人の息子だ。以前遊撃士の仕事で知り合って何かと交流を重ねているんだ」
「また遊撃士の仕事関係?意外と顔が広いのね」
「おいおい、俺だって自分で言うのもあれだが結構有名なんだぞ?」
「だって父さん家じゃそういった事話さないじゃない」
「そういえばそうだったな」
先程からの二人の会話でどうやらこの二人はカシウスさんの娘と息子だということが分かった。
「ねえ君、名前はなんていうの?まだ自己紹介してなかったよね?」
「俺は……リートといいます」
俺は本名ではなく偽名で名乗った、ここがリベール王国なら本名で名乗るのは不味いと思ったからだ。リベール王国は猟兵の運用を禁止している国であり入国すらかなり厳しく取り締まれている。
そのため猟兵である俺は本来この国にいると厄介な事になる存在だ。カシウスさんも事情を知っているので何も言わなかった。
「リート君っていうんだ、あたしはエステル・ブライトよ、よろしくね」
「僕はヨシュア・ブライト。よろしく」
「はい、よろしくお願いします」
二人と自己紹介をかわしてカシウスさんに向き変える、そして視線で合図を送るとカシウスさんも察してくれて首を縦に動かした。
「エステル、ヨシュア。すまないが先に夕飯を食っていてくれ。俺は少しこの子と話すことがあるからな」
「えっ、何を話すの?もしかしてあたしたちが聞いたら不味いこと?」
「ああ、ちょっとプライベートな事だからお前たちは席を外していてくれ」
「うん、わかったわ。行きましょう、ヨシュア」
「じゃあ先に食べてるね、父さん」
エステルさんとヨシュアさんは部屋を後にして俺とカシウスさんの二人きりになる。
「……さて改めて久しぶりだな、リィン」
「はい、お久しぶりです。カシウスさん。そうだ、さっきは話を合わせてくれてありがとうございました」
「構わないさ。あの子たちも今日なったばかりとはいえ遊撃士でな、流石に猟兵である君の事を話すのは不味いからな……さて本題に入ろうか」
カシウスさんは近くにあった椅子に座り俺に真剣な眼差しで告げる。
「何があって君はあそこに倒れていたんだ?西風の旅団は今リベール王国に来ているのか?」
「いえ西風の旅団は今エレボニア帝国で活動しています。貴族の護衛やラインフォルト社の新装備のテストをしていました。俺は非番の日にフィーと一緒に帝都で過ごしていたんです、その日の夜に港で怪しい集団と出くわしました。そいつらは無力化したんですがその後に何者かに……あれ?」
「どうしたんだ?」
「……すいません、何故か覚えていないんです。何者かに教われたのは確かなんですがそいつの顔に靄がかかっているみたいに……駄目だ、思い出せない……」
「……ふむ、デバイン教区長に見てもらったが体に異常は無いと言っていた、となると疲労による意識の混濁かもしれないな……とにかくその怪しい集団とやらに何かをされてリベールにつれてこられたという事か?」
「恐らくは……」
俺は思い出せることを全てカシウスさんに話した、カシウスさんはしばらく何かを考えこんでいたが目を開けて俺の方に向いた。
「事情は分かった、とにかく君がいなくなったのであればルトガー君たちも心配をしているだろう。丁度俺もある事情で帝国にいかなければならなくなったんだが君も一緒に来ないか?」
「え、いいんですか?」
「ああ、見たところパスポートを持っていないんだろう?身分を証明できる物がなければ飛行船や関所を超える事はできないからな」
カシウスさんの提案に俺は安堵の表情を浮かべた。というのも猟兵は表の世界でも活動できるように偽装した身分証明書やパスポートを持っている。猟兵も常に戦場で戦う者ばかりではない、表で店を経営したりして情報を集めたり資金を調達している者もいる。あの赤い星座もクラブを経営しているし西風の旅団もいくつか店を経営している。
しかし今は何の準備もしないでリベールに来てしまっているからそんなものは持っていない。つまり国境を超える手続きが出来ないという事だ。だがカシウスさんがいればその辺は上手く誤魔化してもらえるだろう、なんといってもリベールの英雄だしね。
「ありがとうございます、これで団長達の元に帰れます」
「気にしなくてもいい、問題は君を襲った集団だが……恐らく俺が帝国に向かうことになった事件と関係がありそうだ。後の事は俺に任せておきなさい」
「帝国で何かあったんですか?」
「ああ、どうも帝都ヘイムダルにある二つのギルド支部が何者かに襲撃を受けたらしい」
「襲撃って……ギルドをですか!?」
「うむ、本来ならサラ君を筆頭に優秀な遊撃士たちがいるのだが生憎彼女は不在のようでな、捜査も難航しているらしいから事件の解決の為に俺が呼ばれたんだ」
「カシウスさんをですか……?」
なにか変だな、エレボニア帝国からすればカシウスさんは百日戦争で手痛い目に合わされた人物のはずなのに態々自国に呼び入れるなんて……いやそれだけ大事になっているのかもしれないな。
「まあ君には関係のない話だ、気にしなくていい。俺は明日にはここを出る予定だから今日はここに泊まっていきなさい」
「すいません、迷惑をお掛けして……あ、そうだ。カシウスさん、フィーはどこにいるんですか?」
「……フィー?」
「はい、フィーも一緒に保護してくれたんですよね?」
「……リィン、落ち着いて聞いてくれ。俺が保護をしたのは君だけだ」
「……えっ?」
俺はカシウスさんの言葉に頭が真っ白になった、フィーはいないって……
「ほ、本当ですか!?確かにフィーは俺と一緒にいたんです!」
「念の為に塔の内部や周辺も探したがいたのは君だけだ。そこにフィーはいなかった」
「そ、そんな……」
フィーがいないと分かった瞬間体が震えだし今にも胃の中の物を吐き出してしまいそうになった。
「…………」
「大丈夫か、リィン?」
「……すいません、カシウスさん。もう平気です」
「しかし……」
「あの子も猟兵です、こういった事態は想定してます。今すべきなのは慌てる事ではなく落ち着いてどうするか考える事です……」
(……必死で心を落ち着かせている、昔の彼だったら躊躇なく飛び出したはずだ。彼も猟兵として成長しているのか……)
俺はカシウスさんにそう言うが内心は直にここを飛び出してフィーを探しに行きたい衝動にかられた。でもそんなことをしてもフィーが見つかる可能性は限りなく低い、故に必死で心を落ち着けた。
「……カシウスさん、お願いがあります」
「……恐らく俺が考えていることを言おうとしてるだろうが……話してみなさい」
「俺をリベールに残してくれませんか?」
俺の問いにカシウスさんは分かっていたかのようにため息をついた。
「……分かっているとは思うが君は猟兵だ。唯でさえこの国は猟兵に対していい感情はもっていないのに入国手続きもしていない猟兵がいる、もしこの事実が発覚すれば容赦なく捕らえられる。俺は君を知ってるのでこうやって保護をしたが本来なら捕らえなければならない」
「……はい」
カシウスさんのいう事は最もだった。ちゃんとした手続きをしないでリベールに入り込んだ猟兵……こんな怪しい奴を捕えない訳がない。カシウスさんと知り合いでなければ即座に拘束されて尋問されていただろう。
「しかし俺も直にここを発たなくてはならない、君から事情を知ったルトガー君がリベールにフィーを捜索しに来るかもしれない、いや彼なら来るだろう。普通の猟兵団ですらそれなのに猟兵王が来るとなればこの国も大慌てになるな、さてどうしようか」
「あ、あの……カシウスさん?」
カシウスさんは突然棒読みで演技を話すように喋りだした。
「仕方ない、ルトガー君には悪いがリィンをギルドで保護したことにしてフィーの事について何か情報がこないか根回ししておくしかないようだな」
「カシウスさん……!」
俺はカシウスさんの言葉に思わず笑みを浮かべてしまった。
「……という訳だ、君はロレント支部で保護をするように話を付けておく、そしてフィーの捜索願の依頼も出しておこう」
「カシウスさん、ありがとうございます!」
俺はカシウスさんに頭を下げて感謝の言葉を告げた。
「だが分かっていると思うが君は保護される身だ、絶対に自分から勝手な行動をしたりはしないように。後フィーも君のように偽名を使っているのか教えてくれないか?」
「はい、フィーは恐らくフィルと名乗っているはずです。こういう状況に陥った時はそう名乗ろうって決めてますから」
「ならフィルの捜索願としてだしておこう。やれやれ、やることがふえてしまったな」
「本当にすいません、何度もご迷惑をかけてしまって……」
「気にするな、君にはD∴G教団の件で世話になったからな。さて早めに動くとしようか」
カシウスさんは椅子から立ち上がると部屋を出て行こうとしたが何かを思い出したかのようにこちらに顔を向けてきた。
「そうだ、腹が減っているだろう。エステルたちが夕飯を作っていてくれたはずだ、もし動けないならもってこさせるが……」
「何から何まですいません、でも俺は大丈夫です。体は動きます」
「そうか、なら一緒に下に来てくれ」
俺はカシウスさんの言葉に頷きベットから降りて彼と一緒に下に降りた。
「あ、父さん。話は終わったの?御飯温めておいたから食べて」
「エステル、待っていてもらってすまないが俺はこれからギルドに行ってやらなければならないことが出来た。彼に俺の分の夕飯を食べさせといてくれ」
「そうなの?一応リート君の分も作っておいたから大丈夫よ」
「流石エステルだな、優しい子だ」
「えへへ……」
エステルさんはカシウスさんに頭を撫でられて嬉しそうに笑っていた。
「直に戻るから夕飯はそのままにしていてくれ、それじゃ行ってくるよ」
「いってらっしゃい、気を付けてね」
「いってらっしゃい、父さん」
カシウスさんはそう言ってブライト家を後にした。
「じゃあリート君、こっちに来て御飯にしましょう。口に合えばいいんだけど……」
「すいません、俺の分まで作ってもらったりして……」
「気にしない気にしない。困った時はお互い様よ」
俺はエステルさんとヨシュアさんに感謝をして夕食を頂いた。
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ーーー
side:カシウス
リィンとの会話を終えた俺は今ロレント支部に来ていた、受付のアイナも帰る準備をしていたが無理を言って引き留めた。
「……なるほど、そんなことが」
「うむ、すまないがその女の子の捜索依頼を各町のギルドにまわしておいてくれ、保護した子は明日紹介する」
「分かりました、でも本当にいいんですか?保護した子に雑用をさせても……」
「本人の希望だ。本来なら直に保護者の元に送ってやるのがいいんだろうが、もしかしたら今帝国で起きた事件の犯人かもしれない奴らに顔を見られているかもしれないからな。念の為に事件が解決するまでは遊撃士協会で保護した方がいいと判断した」
「そうですね、それにカシウスさんの知り合いの子なら安心して面倒を見れます。それよりも帝国に向かうっていうのは本当ですか?」
「ああ、急な仕事が入ってな。まあエステルたちも遊撃士になったしシェラザードもいる。俺がいなくとも問題はないだろう」
「それはそうでしょうけど……エステルは寂しがるでしょうね」
「はは、いい加減愛想をつかされるかもしれないな」
「カシウスさん……」
「まあとにかくそういう事だ、シェラザードにも明日話を付けておく」
「分かりました、カシウスさんも今日はゆっくりお休みになってください」
「頼んだぞ」
俺はアイナにそう告げるとギルドを後にした。
(……しかしキナくさいな、エレボニア帝国が俺を呼び出すとは。いくらサラ君が不在でもトヴァル君や他の優秀な遊撃士も多くいる、それなのに私を呼び出すという事はそれだけの事件なのか?それとも別の思惑があるのか……)
……とにかく今は遊撃士としての本分を果たさなくてはな、それに向こうについたらルトガー君の所にも訪ねる必要がありそうだ。
俺は思考を切り替えて家に向かった。
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side:??
ロレント北の郊外にある翡翠の塔……その屋上の真ん中に一人の男性が立っていた。眼鏡をかけた一見学者のような恰好をした男性だがその男性の背後に音もなく何者かが現れた。それはリィンたちがエレボニア帝国で遭遇した赤の道化師と名乗った少年だった。
「やあ教授、いや今はアルバ教授だったっけ?君のご要望通りあの二人は別々にしてリベールにおいておいたよ」
「そうか、ご苦労だったな。カンパネルラ」
アルバ教授と呼ばれた男性は赤の道化師をカンパネルラと呼び、ねぎらいの言葉をかけた。
「それにしてもどうしてリィン・クラウゼルだけでなくフィー・クラウゼルも連れてきたんだい?君が興味あるのは兄のほうだろう?」
「唯の保険さ。彼は妹を大層溺愛しているらしいからね、妹は彼をこの国にとどめておくための囮に過ぎない」
「でも顔でバレないかな?猟兵としては結構有名人みたいだし」
「既にこの町以外の遊撃士や軍の主要人物の記憶の改ざんは終えてある、奴らが彼らを知っていても疑問にも思わないだろう。後は明日カシウス・ブライトが立ち去った後に残りのやつらも改ざんすれば準備は終わりだ」
「うわー、随分と彼にお熱なんだね。そんなにレンの頭の中は刺激的な光景だったのかい?」
「ああ、彼はヨシュアに匹敵する逸材だ。興味が尽きないよ。それに個人的に気になることがある」
「ふーん、まあ彼に夢中になりすぎて計画をおろそかにはしないでよね」
「それについては心配ない、必ず成功させるさ……福音計画は」
「そう、ならいいんだけどね。まあ盟主も何故か彼に興味があるみたいだし僕も楽しませてもらうよ」
カンパネルラはそういうと指をならしてその姿を消す、その場に残ったのはアルバ教授だけになった。
「精々つかの間の平和を楽しんでおくがいい、計画は既にはじまっているのだからね」
後書き
正直無茶ありすぎな気もしますがこういう流れで話を進めていきます。あとヨシュアの記憶などはオリジナルの設定です。
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