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銀河英雄伝説〜ラインハルトに負けません

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第八十一話 装甲擲弾兵名物ボウ倒し


今回は短めで。
明日は夜勤ですので、更新できません。
すみませんです。
銀河英雄伝説〜ラインハルトに負けませんシリーズの外伝や各種設定
に 別伝 キルヒアイスとアンネローゼの最後 中編 をUPしました。
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第八十一話 装甲擲弾兵名物ボウ倒し

帝国暦480年8月2日

■オーディン 帝国軍士官学校 

 士官学校の朝は早い。
4号生、2号生、1号生は確りと軍人としての総員起こし5分前の伝統で5時50分には起床し素早くベットメーキングを行い、校庭に出て軍隊式運動を行い始める為に並び始める。

6時丁度に、教官達から点呼始めの号令が上がる。
轟音のように点呼が行われ、其れが終わると早速朝の運動である。
真面目の運動を行い汗だくになるが、皆すがすがした顔である。

昨日までいい加減な態度を取っていた3年生も装甲擲弾兵副総監オフレッサー大将が3号生寮に全館一斉放送で【儂が装甲擲弾兵副総監オフレッサー大将である】と大音量で放送すると、
昨日の恐怖から飛び起きたのである。

本来であれば4号生と2号生、3号生と1号生という2人で共同生活であるがフレーゲル達はブラウンシュヴァイク公のごり押しを頼んで1人1部屋を使い、メイドを連れ込んでいたのである。

フレーゲルも昨日の悪巧みをした後、
寝た為眠かったが一瞬で目が覚めた。
その声を聞いて昨日の事を思い出したのか、
メイドのアリーセは泣きそうな顔で震えまくっている。

早く着替えてでないと彼奴《オフレッサー》が来ると焦りまくりながら着替えをすまし慌てて校庭へ駆けだしていった。
寮内では彼方此方で同じような光景が見られていて大変な状態である。

しかし未だに6時には集まれない3号生。
校庭には既に4号生、2号生、1号生が点呼も終わり、
軍隊式運動を始めている。

6時10分を過ぎてやっとバラバラ状態で3号生が集まりだした。
オフレッサーはギロリと3号生を見ると大音量で「遅い!」と叫んだ。
その叫びは校舎のガラス窓を震わせる程であった。

「貴様等!未だ判らん様だな。6時集合だ、今は何時だ!」
並び始めたフレーゲルの横に来たコルプトが「悪い予感がするんですが」と言い始める。
「貴様等の根性を叩き直す為に、装甲擲弾兵名物ボウ倒しを行うことにする!」

その話を聞いている、4号生、2号生、1号生、
「棒倒しってなんだい?」と言う話し声も聞こえている。

4号生上位グループに位置する、アントン・フェルナー、ギュンター・キスリング、ナイトハルト・ミュラーの3人は、体操をしながら話していた。
「おいアントン、棒倒しって、あの棒を中心に立たして置いてそれを守りながら相手の棒を倒すってやつだな」

「しかしギュンター、装甲擲弾兵名物って言ってるぞ」
「ナイトハルト、装甲擲弾兵名物ボウ倒しは違うモノだ」
「アントン、どう違うんだ?」

3人が話している側から、装甲擲弾兵が何やら色々な物を持ってきては、
校庭にセットを始めている。

「ナイトハルト、あれは何だ?」
「なんか、長細い箱だな」
「ああ、あれは連弩だな」

「アントン、連弩ってなんだ?」
「連弩とは機械式に連続で矢が撃てる弓だよ」
「あんな物セットしてどうするんだ?」

「だから、ボウ倒しだよ」
「棒倒しか?」
「いや、矢倒しだな」

「矢=ボウだ」
「矢で何を倒すんだい?」
「人間だよ」

「おい!アントン正気か?」
「正気も正気だよ」
「知っているのかアントン!」

 【ボウ倒し】
【ゴールデンバウム王朝で流血帝と呼ばれた。第14代皇帝・アウグスト二世の時代に始められた、装甲擲弾兵の訓練方法。
流血を好んだ皇帝が装甲擲弾兵の強靱さを計る為に始めた物であり。
練兵場一帯に仕掛けられた、連弩から放たれるボウを避けながら走しりきる訓練方法である。

ジグザグに走るなどの方法を行わないと必ず当たり、又急所を狙う位置にボウが来る為、
多数の死傷者を発生させた。止血帝と呼ばれた。第15代皇帝・エーリッヒ二世により禁止されたが。
第17代皇帝・レオンハルト一世の時代に再度始まった。

しかし、過激な状態で死傷者が再度多発した為。
余り危険さに晴眼帝と呼ばれた。第23代皇帝・マクシミリアン・ヨーゼフ二世により禁止された。
一説によると死者の数は10万人を越えたとの話もある】

直、ボウとは本来、弓であるが勅書に書かれた文字が間違えていた為、
そのままボウ=矢と成ってしまっている。

現在の諺、【光陰矢のごとし】は、元々【教員矢のごとし】であり。
装甲擲弾兵の教官は矢の如く走り回り全く当たらない事を言ったことである。
それが転じて【光陰矢のごとし】という諺が生まれたのである。

【ミュンヒハウゼン出版刊 地獄の特訓装甲擲弾兵一代記】

「アントン、そんな恐ろしい儀式なのか?」
「ギュンター、そのとおりさ、しかし最近はしていないはずなんだがな?」
「恐ろしいな」

「まあ我々は真面目にしていれば大丈夫だよ、あれはお仕置きだからね」
「気の毒だな3号生も」
「ナイトハルト、あれは自業自得だよ」

「違いないな」
「教官が顰めっ面を始めたな、どやされるまえに真面目にやろう」
「真面目にやりますか」

フェルナー達が真面目に運動しているさなか、
装甲擲弾兵によって連弩は次々にセットされ、完璧なモノになっていった。

フレーゲル達は周りで起こる様子を見ながらいかぶしんでいた。
フェルナーの様に知識がある者が居ない為何をやっているのか全く判らないのである。

「フレーゲル殿、此は何なんでしょうか?」
「判らんな、コルプトお前は判るか」
「判りませんが、悪い予感がするんです」

「クレーマー、お前の工作はどうなったのだ?」
「昨夜父に連絡し頼んであります、数日中には開始できるはずです」
「早く成らんかな、此では生きた心地がしないぞ」

そう言っているフレーゲル達の周りを動いてて作業している装甲擲弾兵達はまるで地獄の獄卒であり、
3号生達は完全にビビっている。
次々に準備が進んでいる。

3号生は真っ青な顔をし始めている。
異様な雰囲気が体に震えをもたらすのだ。

4号生、2号生、1号生が軍隊式運動を終了したので、
朝食を食しに行くことに成ったが、3号生は許されない。

オフレッサーが理由を言った。
「このまま食事をすると、当たったとき死ぬぞ」
死ぬと出たことで、ボウ倒しの理由をしらない殆ど生徒が驚きの声を上げた。

フェルナー達は、さも有らんと頷き有っている。
フレーゲル達は益々真っ青になっていった。
此から地獄が校庭に現れるのである。

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ボウ=矢の補足説明を入れました。
 
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