転生とらぶる
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ペルソナ3
1965話
ゆかりの父親の映像を見た翌日の朝……朝食を食べる為に食堂に向かっていると、その途中でゆかりと会う。
「あ……う……」
まさかここでいきなり俺と会うとは思わなかったのか、ゆかりは顔を真っ赤にして言葉に詰まる。
うん、これは間違いなく昨日のキスが影響してるんだろうな。
ゆかりにとって、恐らく……いや、間違いなくファーストキスだろう口づけ。
元々男慣れ――友人的な意味ではなく、異性的な意味で――していないゆかりにとって、昨日のキスは半ば雰囲気に流されたものだった、かもしれない。
勿論俺に対して好意を抱いているのは間違いない、と思うんだが。
それくらいの自覚はある。
だが、その好意が友人に対するものではなく、異性に対するものだというのは、俺にとっても予想外ではあったのだが。
ともあれ、顔を真っ赤にして固まった様子を見せるゆかりに対し、そのままという訳にもいかないだろう。
「おはよう」
「えっと、その……お、おはよう……」
相変わらず顔は真っ赤だったが、それでも何とかそれだけを言い返し、急いで食堂の方に歩き出そうとし……だが次の瞬間には足を止め、こっちに戻ってくる。
「ほら、行くわよ。私達がいかないと、他の人もご飯を食べられないんだから」
「そうか? 俺達が遅ければ、普通に食ってそうだけどな」
「いいから、行くの! ほら! 全く……だ、大体なんだってアクセルはそんな風に……もう、もう、もう」
ゆかりが何を言いたいのかは分かったが、それを正直に言えば怒るのは間違いないので、何も言わない。
……そもそも、お互いに一糸纏わぬ姿を見せ合い、それどころか、いわゆるペッティングまで済ませた状況ではあったのだが……うん、これも言わない方がいいのは間違いないな。
ともあれ、俺の手を引っ張ってゆかりは食堂に向かう。
「アルマーと岳羽か。遅かったな。もう食べてるぞ」
食堂に入った俺とゆかりを見て、最初に気が付いた真田がそう告げてくる。
うん、だと思ったんだよな。
ある意味予想通りではあった。
「……ん? 岳羽、どうしたんだ? 病気か?」
顔を真っ赤にしているゆかりに、真田がそう尋ねる。
だが、ゆかりは何でもないと首を横に振り、口を開く。
「何でもないです。それより、今日の事ですけど……どうします?」
「どうするって、特に何かやる事がある訳でもないし、泳ごうと思ってるが?」
即座にそう答える辺り、やはり真田は真田だという事なのだろう。
「えー、真田先輩。折角屋久島に来たんですから、もう少し、こう……高校生っぽい事をして遊びましょうよ」
「高校生っぽい事? 何だそれは?」
順平が何を言いたいのか分からないといった風に告げる真田だったが、大体その予想は出来る。
普通に高校生らしく女に飢えている順平にしてみれば、屋久島の海というのはこれ以上ないだけの絶好のナンパスポットなのだろう。
特にゆかりや美鶴、山岸といったように、こちらの面子は美人ではあるが、手を出すのが色々と危険な相手となれば、余計にそんな風に思ってもおかしくはない。
ゆかりや美鶴はともかく、山岸を口説こうものなら、即座に有里に敵認定されてもおかしくはないしな。
そんな順平の言葉により、ゆかりも先程までと比べると大分落ち着いたらしい。
……にしても、昨日あんな映像を見たばかりだというのに、全員ショックを受けた様子を見せないのはなんでだろうな?
あの映像を見てショックを受けていたのは、父親が出てきたゆかりくらいじゃないか?
食事をしている間に、今日これからどうするのかという話が進んでいく。
「じゃあ、私達は屋久島の杉を見に行くけど、順平達は海?」
「ああ。やっぱり屋久島に来たんだしな。……アクセルもそれでいいよな?」
「悪い、俺は別に用事がある」
まさか俺が断るとは思っていなかったのか、え? と順平が呟く。
いや、順平だけではなく、他の面々もこちらに視線を向けてくる。
「用事って何だよ?」
「武治と話しておきたくてな。昨日の件は途中で話が終わっただろ? だからこそ、この一件については話しておきたい。勿論、武治がまだこの別荘にいればだけど……どうだ?」
「お父様は、今晩までは別荘にいるが……」
言葉を濁したのは、父親にはきちんと休んで欲しいと思っている為か。
その気持ちは分からなくもないが、今の桐条グループの状況を考えれば、そう休んでいるような暇もないだろう。
影時間に関わっている人物が、具体的に何人、何十人、何百人……もしくは何千人いるのかは、俺にも分からない。
だが、その全員が1つの意思の下、裏切りの類も一切ない……とは、俺にも到底思えない。
人数が多くなれば、当然それだけ色々な考えの奴が集まってくるのは当然な訳で、桐条グループで研究している影時間に関する情報を他の会社やら何やらに流しているような者がいてもおかしくはない。
この世界は、基本的に魔法とかが一般には知られていない正解だ。
そんな中で1日に3時間から4時間自由に出来る時間が増えたり、ペルソナ使いとして魔法を使えるようになったりするというのは、普通に考えて非常に魅力的に感じる者も少なくないだろう。
その存在を知れば、様々な理由から影時間に関係する情報を……そして付帯する諸々の存在を欲しない訳がない。
それこそ、タルタロスに無造作に置かれているマジックアイテムであっても、喉から手が出る程に欲する者は幾らでも存在するのだから。
「そうか、今夜までいるのか。じゃあ、ちょっと俺が話があるって言ってきてくれないか? 勿論無理にとは言わないが……多分、俺と会うと思うし」
美鶴にとっての祖父、そして武治にとっての父親たる桐条鴻悦。
その人物がこの世界に残した爪痕とでも呼ぶべき影時間をどうにかする為には、それこそ自分の健康がどうとは言っていられない状況なのは間違いない。
特に、こう言っては何だが、俺という存在は武治にとって切り札となりえる。
そんな俺が会いたいと言っているのだから、それを断る……という事はまずない筈だった。
美鶴もそれが分かったのか、やがて頷く。
「分かった。お父様に連絡しておこう」
「助かる。……それと、今日の夕方にはバーベキューをやりたいって話をゆかりとしてたんだけど、出来るか?」
「え? マジ?」
俺の言葉に反応したのは、美鶴……ではなく、順平。
やはり屋久島という場所に来たからには、普段出来ないような事をしたいと思うのは当然だろう。
「ああ。ゆかりと話していて、今日の夜にでもそういうのが出来たらいいなって思ってたんだけど……どうだ?」
「ふむ、私としては問題ない。食材的にはどうだ? 足りるか?」
「はい、お嬢様。問題ありません」
メイドの1人が、美鶴の質問に対して即座に答える。
うん、どうやら優秀な人物が揃っているのは間違いないらしい。
そう思いながらゆかりに視線を向けると、そこでは俺を見ていたのか、視線が合うとゆかりの頬が真っ赤に染まる。
……昨日のキスの件も含めて、出来るだけ早く話をしておく必要があるだろうな。
日中は色々とやる事もあるし、やっぱり今夜か……もしくは影時間といったところか。
そんな風に思いながら朝食は進み……やがて、俺はゆかりと殆ど話す事がないままに、朝食の時間は終わるのだった。
「アクセルか、話は聞いている。少し待っていてくれ」
メイドに案内され、武治がいるという書斎に入った俺が見たのは、書類を見ている武治の姿だった。
「屋久島に来てまで、仕事か。少し休んだ方がいいんじゃないか?」
「もう十分休んでる。普段行っている仕事に比べれば、この程度は全く問題ないからな」
相変わらず愛想のない強面の顔がそう言うが、実際言葉の中に少し柔らかい感じがあるのを思えば、日常の仕事に比べれば大分楽なんだろう。
……うん、分かってたけど桐条グループ総帥の仕事ってのは、大変そうだな。
シャドウミラーは、規模的に桐条グループより上な場所もあるが、エザリア達も大変なんだろうな、と、ふと他人事のように思う。
勿論所属している人数という点では、シャドウミラーは国という扱いであるにも関わらず、桐条グループと比べても極端に少ない。
それこそ、純粋に規模で考えれば中小企業……いや、桐条グループの孫請けの孫請け、そのまた孫請け……といった程度の規模しかない筈だ。
門世界からやって来たエルフ達がいるおかげで、かろうじて3桁の人数に達しているが、結局はその程度でしかない。
勿論労働力という点で考えれば、バッタやメギロートを始めとするAI制御の無人機がいるし、それ以上に量産型Wという人造人間の力も大きい。
改めて考えてみると、それだけの人数で幾つもの世界と友好関係を築いているシャドウミラーって、色々と無茶な国だよな。
これが友好関係ではなく支配とかだったりしたら、それこそ絶対に破綻していただろう。
そういう意味でも、やっぱり現地の友好勢力にその世界の支配を任せるというのは、最善の選択だったのだろう。
間接支配……いや、別に支配をしている訳ではないか。
「そうか。だが……お前に今何かがあれば、美鶴にそのしわ寄せがいく。それは分かってるんだよな?」
その言葉に、武治は少し考え……やがて溜息を吐き、書類を机の上に戻す。
強面の見かけとは裏腹に、武治は親馬鹿なんだよな。
美鶴はそれに全く気が付いていないようだったが。
うん、この辺り、何だかんだとこの親子は似てるよな。
「……で、私に用事という話だったが? 昨日の件であれば、現在至急映像を分析させているところだ」
「ああ、その件にも関わってくる事だが……そうだな、武治が知ってるかどうかは分からないが、こう見えて俺はかなり勘が鋭い」
「その辺りは何となく報告を受けている」
正確には勘ではなく念動力なんだが……まぁ、そこには長年戦場を潜り抜けてきた、戦士としての勘があるのも間違いではないが。
「そうか。……単刀直入に言おう。お前達にとって、幾月という人物はそこまで信頼出来る相手か?」
「……幾月?」
完全に予想外の事を言われた、そんな視線を武治は俺に向けてくる。
この様子からすると、武治にとって幾月というの信頼出来る部下だという認識だったのだろう。
「そうだ。考えてもみろ。昨日見た映像……それを加工するとして、一番そうしやすいのは誰だ?」
「それは……いや、だが幾月は長い間桐条グループに対して誠実に接してきた人物だぞ? なのに……」
裏切る訳はない。……もしくは裏切るとは考えたくないといったところか。
「そうだな。勿論俺の考えすぎかもしれない。だが、俺は幾月が怪しいと思っている」
生理的に幾月が駄目だというのは、当然理由にならない。
もしそれが通るのであれば、それこそ俺が嫌いな相手は全員がその対象になるという事なのだから。
だが、多少駄洒落好きであっても、普段であれば俺は幾月のような性格の相手を、そこまで拒絶したくなる、とはならない筈だ。
つまり、そこには何か理由があるのは間違いない。
当然のように生理的に駄目だという理由以外の理由で。
「何か明確な証拠でもあるのか? 先程のような状況証拠の類ではなく、物的な証拠が」
「ないな」
巌戸台分寮で暮らしていればまだしも、俺はアパートで1人暮らしをしている身だ。
そうである以上、当然のように幾月と接する機会そのものも少ない。
「だが、さっきも言った通り、俺は勘が鋭い。そうでなければ、今まで生き延びる事は出来なかっただろうしな。それに……俺が知っている最悪のテロリストと幾月は、同じ雰囲気を持っているんだ」
「……テロリスト?」
この世界にも、テロリストという存在は当然いる。
だが、内乱とかのある地域ならまだしも、日本でそういう存在に遭遇する事はまずないと言ってもいい。
……まぁ、武治の父親が起こした件は、ある意味テロと言ってもいいのかもしれないが。
「そうだ」
「お前は……一体……」
「それは詮索しない方がいいな。……だろう?」
武治にとって、俺という存在は紛れもないイレギュラーだ。
それこそ、本来であれば存在し得ない筈と言ってもいいような。……実際そうなんだし。
それだけに、向こうが妙なちょっかいを出してくれば、こちらからも相応の反撃が行われるというのは、武治も理解している筈だ。
ましてや、今の武治にとって影のゲートを使う俺を敵に回すというのは、どう考えても自殺行為でしかない。
武治の様子が落ち着いたのを確認すると、俺は改めて口を開く。
「別に、今すぐ幾月をどうにかしろと言ってる訳じゃない。無条件に信じるのではなく、もしかしたら……そう思っておけばいい。それで、向こうがどう考えているのか、そう遠くないうちに分かるだろうな」
完全に信じる訳ではないが、幾月やゆかりの父親の話によれば、残るイレギュラーシャドウは全部で6匹。
これから先も2匹ずつ姿を現すかどうかというのは分からないが、それでも恐らく今年中に影時間に対する結末は迎えられる筈だった。
後書き
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1435
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.10
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1389
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