魔法少女リリカルなのはStrikerS~青年と機動六課物語~
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第14話『出張任務 3』
スバル「う~ん……おいし~!カズマお代わり!」
空になった皿を鉄板の前で調理中の俺に差し出してくる。
カズマ「食うのが早すぎなんだよ!もう少し味わって食えよ……てか何で俺が一人で料理してんだ」
ティア「いいじゃない、あんた料理得意でしょ?」
カズマ「まあ、嫌いでは無いが…」
ぶつぶつ言いながら再び鉄板で焼き始める。
はやて「でも、ほんまにおいしいなぁ。今度私にも教えて欲しいくらいや」
リイン「はい、とっても美味しいです~♪」
ヴィータ「ま、はやてには劣るけど合格点だな」
シグナム「素直にうまいと言ったらどうだヴィータ」
ヴィータ「うるせぇぞ、シグナム」
こちらの隊長方にはわりと好評のようだ。さて、あちらはどうだろうか。
アリサ「……なんか、悔しいわね」
すずか「?……どうしたの?アリサちゃん」
アリサ「あいつが私より料理が出来ることが…」
すずか「あははは………」
あの人は好評で良いのだろうか…。
フェイト「はい、アルフ………あ~ん」
アルフ「あ~ん♪……もぐもぐ」
フェイト「美味しい?」
アルフ「うん♪」
なんか微笑ましい光景だな。
美由紀「これ、ウチの店に出したらどうだろう」
なのは「……さすがに雰囲気に合わないと思うんだけど…」
美由紀「わかってないなぁ、なのはは。こういった一見似つかわしく無いものが案外売れたりするもんなんだよ」
なのは「そういうものなのかなぁ……」
是非、商品化を希望いたします。
ま、こういった風に各々喜んで食べてくれているなら悪い気持ちはしないな。
魔法少女リリカルなのはStrikerS~青年と機動六課物語~
第14話『出張任務 3』
カズマ「さて……皿洗い終了っと。あ~……疲れた」
すずか「お疲れ様、カズマくん」
隣で皿を拭いてくれていたすずかさんが労いの言葉を掛けてくれた。
カズマ「まあ、料理は小さい頃からやってたのでいいんですけどね」
すずか「確か妹さんがいるんだよね?」
カズマ「え?あの…俺に兄弟はいないんですけど…」
すずか「え!?」
すずかさんは言ってたからすぐしまったという顔をする。
すずか「そ、そうだったけ…?」
カズマ「はい……てか、そんな話ししましたっけ?」
すずか「え~と……そう!カズマくんって妹がいそうな感じがするから」
カズマ「そう…ですかね?」
すずか「うん!」
なんかもの凄く誤魔化された感があるが今はあまり気にしないでおこう。
アリサ「あんた達いつまで皿洗いしてるの?出かけるんだから早く準備しなさい」
突然アリサさんがキッチンにやって来た。
すずか「アリサちゃん。出かけるってもしかして……」
アリサ「そうよ、あそこよ。あ・そ・こ」
カズマ「???」
◇◇◇◇◇
店員「いらっしゃいませ~海鳴スパラクーア2へようこそ、団体様ですか?」
はやて「あ、はい。大人13人と子供4人」
片付けを終わらせた俺達は先にお風呂をすませようというはやてさんの提案で海鳴市のスーパー銭湯にこの大人数でやって来ていた。
カズマ「あれ?ヴィータさんは?」
ヴィータ「あたしは大人だ」
カズマ「いや、その体型でそれはむ―――り!?」
思いっきり足を踏みつけられた。
デバイスで殴られなかっただけ良しとしよう……無茶苦茶痛いけど。
ヴィータ「ふん!」
店員「それではこちらへどうぞ~」
はやて「お会計しておくから先に行っててな」
F全員「は~い」
脱衣所へ向かうとしっかりと男湯、女湯と別れていた。まあ、当然と言っちゃあ当然か。
なんか、エリオも安心しているみたいだし。
キャロ「広いお風呂だって。楽しみだねエリオくん」
エリオ「あ、うん。スバルさん達と楽しんで来て」
キャロ「…え?エリオくんは?」
エリオ「え!?ぼ、僕は男の子だし」
はやて「でも、ほらあれ」
いつの間にか来ていたはやてさんが張り紙を指さす。
エリオ「注意書き?え~っと……女湯での男女混浴は11歳以下のお子様のみでお願いします」
キャロ「だって♪」
フェイト「一緒に入ろうよ、エリオ」
エリオ「い、いいいいや、あのですね!それはやっぱり、スバルさんや隊長達それにアリサさん達もいるわけで」
ティア「別に、あたしは気にしないわよ、ねぇ?」
スバル「うん。っていうか前から頭洗ってあげようかとか言ってるじゃない?」
二人のその言葉にエリオはさらに慌てる。
エリオ「でも、カズマさんだっているし。僕が行ったらカズマさんが一人になりますし!」
カズマ「ん?俺は別に一人でも構わないぞ?それになエリオ…」
ガシッ!っと俺はエリオの肩に手を置く。
カズマ「こんな風に堂々と女湯に入れるのは今だけだ。だから、それを有効に活用してその目にしっかりと女体を焼き付けてこい!」
エリオ「余計に行けるわけ無いじゃないですかぁ!!」
俺の手を振り切り男湯へと猛ダッシュで入っていった。
カズマ「やれやれ、初心な奴め」
女性陣「サイテー(です)(やね)……」
女性陣からの冷ややかな目を向けられた……何故だろう。
まあ、そんな視線も振り切りエリオの後を追い男湯へと向かう。
中に入ると他の客はみんな浴槽へ行っているみたいで俺とエリオ以外は居なかったので隅で蹲っているエリオを呼び銭湯での簡単なマナーなどを教えた。
店員「はい、どうぞ」
キャロ「ありがとうございます」
エリオに一通りのマナーを説明してから服を脱ぎタオルを腰に巻きいざ、浴槽へ向かおうとしたとき入り口が開く音と声が聞こえたのでそっちを見るとそこには店員さんとタオルを身体に巻いたキャロがいた。
エリオ「キャ、キャロ!?」
キャロ「あ、エリオくんいた~」
エリオ「どうして、キャロがここに来てるの!?」
キャロ「ほら、あの注意書きに女湯での混浴は11歳以下ならしても良いって書いてあったでしょ」
エリオ「う、うん」
キャロ「それなら、逆も大丈夫じゃないのかなって思って、店員さんに来たOKみたいだから向こうで服を脱いでこっちに来ちゃった」
なるほど……考えたなキャロの奴。まあ、エリオ諦めるんだな。
さて、俺は一足先に中に入るとするか。
エリオとキャロをその場に残し一人浴槽へと向かう面白いことが起こるのではないかと予感しながら。
sideスバル・ナカジマ
スバル「ああ~……こっちの世界のお風呂はエンターテイメントだねぇ~」
ティア「いや、まったくね。まさか、外にお風呂があるなんて」
私とティアは二人で露天風呂につかりながら空を見上げている。
スバル「そう言えばさ、ティア?」
ティア「ん?何よ。スバル」
スバル「ティアってさ……その…あの…」
ティア「なによ、ハッキリ言いなさいよ」
ティアがなかなか言い出さない私を少し睨んだ目で見る。
スバル「えっと……ティアってさ、カズマの事どう思ってるの?」
sideティアナ・ランスター
スバル「ティアってさカズマの事どう思ってるの?」
ティア「どう思ってるって?」
スバル「だからね……その…す…好きなの?」
スバルの言葉であたしの周りの時間が一瞬止まるような感じがした。
あたしがあいつの事を好きかって!?そんな訳ないじゃない!
ティア「はぁ!?そ、そんなわけないでしょ!あんな馬鹿!誰が好きになんかになるもんですか!」
スバル「ほんと…?」
ティア「当たり前でしょ!」
そうよ、あたしはあんな奴の事なんか…。
スバル「そうなんだ……よかった」
スバルは少しホッとしたように胸をなで下ろす。なに……スバルのこの反応は?
もしかして、スバルはカズマの事を…?。
ティア「スバル……あんた、もしかして――――」
sideカズマ・キサラギ
カズマ「やれやれ、何とかなったな」
脱衣所から中に入ってきても、なお困っていたエリオを外にある子供用の露天風呂(12歳以上入浴禁止)に二人を入れて安堵をついていた。
カズマ「さて、俺も風呂をたのしみますかな」
そう呟きながら歩いていると目の前に扉が見えた。
カズマ「この先にも風呂があるのか?誰も居なさそうだし入ってみるか」
扉を開けると中は湯気でくぐもっていた。
カズマ「すげぇ湯気だな。前がほとんど見えないし。ま、足下はなんとか見えてるから大丈夫か」
中に入り歩き始めるとかすかに人の声が聞こえる。どうやら、他にも誰か入っていたみたいだ。まあ、当然か…その声に徐々に近づいていく、すると二つの影が見えた。
その瞬間、待ってましたと言わんばかりの風が吹いて周りの湯気を吹き飛ばし視界が晴れた。
そして、目の前には見知った顔があった。
スバル「カ………カズ……マ?」
ティア「………」
そう、そこにいたのはスバルとティアだった。
スバルは驚いているようだったがティアはわなわなと肩を奮わせているしかも手には桶を持って。
こりゃやっべ~なさっさと退散しますか。
カズマ「し……失礼しm――――うお!?」
ヒュンッ!と俺の横桶が通過していく。
その元は、ティアだったのは言うまでもない。
ティア「あんた……生きて帰れると思うなー!!」
次々に飛んでくる桶の数々をかわす俺、ヤバイ……このままでは本当にヤバイのでとりあえず逃げることにした――――いや、逃げなきゃあの桶の餌食になる!
なのは「スバル、ティアナ。あんまり騒いだら―――え!?」
カズマ「なっ!?」
中から現れたなのはさんとおもいっきりぶつかって俺がなのはさんの上に乗る形で床に倒れる。
―――フニッ
手に何か柔らかい感触がする。
カズマ「(ん?なんだろう、この柔らかい感触は…?)」
―――フニッ
もう一度、今度は少し強めに握ってみる。そして、俺は何が起こったのかをよく思い出してみる。
カズマ「(え~と、確かティアが投げてきた桶から逃げていると目の前になのはさんが現れて………って、まさか!?)」
ガバッと顔を上げると思った通りなのはさんの胸を思いっきり右手で鷲掴みしていた。
恐る恐る、なのはさんの顔に目を向けると顔を真っ赤にて、さらに目元に涙を溜めていた。
そして――――
なのは「きゃあああぁぁぁーーー!!!」
なのはさんの叫び声が澄んだ夜空に木霊した。
その後、なのはさんの叫び声によって集まって来た六課の女性陣(フェイトさん、エリキャロ抜き)によってボッコボコにされました。
◇◇◇◇◇
カズマ「本当に申し訳ありませんでした…」
ボコボコのボロ雑巾にされた後俺は脱衣場の前で女性陣に取り囲まれ正座をして誠心誠意を込めて謝っている。
なのはさんはと言うとあれから顔を合わせてもくれない……はぁ~、嫌われたかな。
その時、キュリケイオンとクラールヴィントから警告音が鳴り響く。俺達は急いで外にでた。
シャマル「リインちゃん!」
リイン「はいです!エリアスキャン!……ロストロギア反応キャッチ」
美由紀「お仕事だね」
エイミィ「みんな頑張って来て」
アルフ「フェイト、エリオ、キャロ気をつけてな」
エリオ&キャロ「はい!」
さて、ちょうどいいさっきの失態を取り戻すか。
なのは「ティアナ、シャマル先生にリイン。はやて隊長にオプティックハイド」
ティア「はい!」
シャマル「私が空に上がって結界内に閉じこめるから中で捕まえて」
F全員「はい!」
はやて「よーし、ほんならスターズ&ライトニング出動や!」
全員「了解!」
◇◇◇◇◇
リイン「第一戦闘範囲河川敷グラウンドに固定!」
シャマル「スターズF、ライトニングF、エンゲージ!」
言われた場所に到着してみるとそこには確かにロストロギアと思わしき物体が居た。
まあ、実際物体と呼べるものではないだが。
カズマ「……なんだアレ?」
ティア「ぷよぷよ……スライム?」
キャロ「ちょっと、可愛いかも…」
カズマ「とりあえず斬ってみるか」
剣を構えスライムに斬りかかり真っ二つにする……が。
そのまま、スライムは二体に分裂した。
カズマ「なっ!?」
スバル「ふ、増えた!?」
ティア「うそでしょ…」
エリオ「皆さん、周りを見てください!」
エリオ言われて周りをよく見てみるとあっちこっち分裂したスライムがぷよぷよと蠢いていた。
カズマ「これが全部本体……てことはないよな…」
はやて『危険を察知したら複数に分裂して増殖する、せやけど本体は一つや』
リイン「本体を封印したらダミーは全て消えるです」
なるほど、それじゃあさっさと本体を見つけないとメンドイ事になるな。
シグナム『放っておけばダミーが町中に広がりかねん』
ヴィータ『広がったダミーは空戦チームが回収する。そっちはお前らでやってみろ』
なのは『いい?素早く考えて素早く動くんだよ』
フェイト『練習通りでいけるはずだよ』
F全員「はい!」
とわ言われても…さてどおするか…ふむ、ならこの方法でやてみっか。
カズマ「よし!スバル、エリオ」
エリオ「はい、何ですか?カズマさん」
スバル「どしたの?カズマ」
カズマ「お前達と俺はあいつ等がこれ以上増えないように押さえるぞ!」
エリオ&スバル「はい!(うん!)」
ティア「その間にあたしとキャロが本体を特定するわ」
ティアは作戦の意図を理解してくれたみたいで、説明する手間が省けるぜ!
カズマ「ああ、頼んだ!よし!行くぞ、二人とも!」
side八神はやて
シャマル「新人達、悪くない動きよね。入隊当時から比べると別人みたい」
はやて「なのはちゃんの教導のお陰かな」
リイン「最近はヴィータちゃんも教導を頑張ってくれていますし」
はやて「うん」
ほんま、みんなには感謝せなあかんな。
sideティアナ・ランスター
ティア「たくっ、数が多いわね!これじゃどれがどれだか――――ん?あれは」
クロスミラージュで撃っていると一体だけ明らかに他のと動きが違うスライムがいた……もしかして、アレが本体?
ティア「キャロ!」
キャロ「はい、行きます!練鉄召還!アルケミックチェーン!」
キャロがアルケミックチェーンで動きを封じる。
ティア「よし!クロスミラージュ、バレットF!」
キャロ「我が声は捕縛の檻、勇戦の射手弾丸に封印の力を」
ティア「ヒーリング!」
ティア&キャロ「シュート!」
sideカズマ・キサラギ
こうして、ティアとキャロのオリジナルを封印して任務が完了した。
すずか「もう帰っちゃうんだね…」
アリサ「どうせだから一晩くらい泊まっていけばいいのに……って訳にもいかないのか」
なのは「うん。ごめんね、休暇には戻ってくるから」
もう夜も遅いのでこのまま、一泊して帰るのかと思ったがもう帰るみたいだ。
まっ、24時間勤務だからなうちの部隊は。
こうして、別れの挨拶を交わし転送ポートでミットに戻った。
その後…。
カズマ「なんか、眠れん」
どうも、目がさえてしまってなかなか寝付けない…ったく、明日も朝から訓練だっていうのに…。
カズマ「はぁ~……しゃ~ない、少し散歩でもしてくるか」
◇◇◇◇◇
なのは「あれ?カズマくん」
カズマ「あ、なのはさん」
一人海岸側を散歩しているとなのはさんが声を掛けてきた。
こんな夜遅くに何やってるんだろうかこの人は……ま、俺も人のことは言えないか…。
なのは「何やってるの?こんな夜中に」
カズマ「あ、いや。ちょっと寝付けなくて軽く散歩してたんですよ。なのはさんこそどうしたんですか?」
なのは「私も似たようなものかな」
カズマ「そうなんですか。あ、良かったら一緒にどうです?」
なのは「うん、それじゃあそうしようかな」
そして二人で並んで歩き始めるがその間も俺となのはさんは無言……が続いていた。
なんか、気まずいなぁこの雰囲気、どうしたものか………あ、そう言えば。
カズマ「な、なのはさん」
なのは「ん?なにかな?」
露天風呂での事、事故だけどキチンと謝らないと。
カズマ「あの、露天風呂での事なんですけど…」
そう言い出すと、なのはさんの顔が赤くして立ち止まる。
カズマ「本当にすみませんでした!」
なのは「う、ううん。気にしないであれは事故だし…」
カズマ「事故と言ってもあんな事したんですから……何でも言ってください!何でも言うこと聞きますから!」
俺が頭を上げてそう言うとなのはさんは「本当に?」っと言いながら上目使いで俺を見上げる。
か、可愛すぎる!
カズマ「はい!もちろんです!」
なのは「それじゃあ……目を閉じてくれるかな?」
カズマ「わかりました」
言われた通りに目を閉じる。何をするのだろうと楽しみ半分怖さ半分ってところだな。
すると、唇に何か柔らかい感触がしてきた。驚いて目を開けると目の前にはなのはさんの顔があった。
これは、いまゆる接吻と言うものではないのでしょうか!
なのは「んん…」
なのはさんが俺の背中に手を回して抱きしめているので俺もなのはさんを抱きしめる。
思っていた以上になのはさんの身体はとても華奢だった強く抱きしめたら折れてしまうのではないかと思ってしまうくらい。
それから、約1~2分後ようやく口を離す。
しかし、なのはさんは尚も俺の胸に顔を埋めている。これって、かなりの役得だよな。
カズマ「あの……なのはさん」
なのは「もう少し……もう少しだけこうしていて欲しい…」
カズマ「……わかりました。どうぞ、好きにしてください」
なのは「…うん」
こうして、俺となのはさんは長い時間抱きしめ合い続けた。
ちなみに、部屋に戻っても余計に寝付けず翌朝の訓練でシグナムさんにボッコボコにのされたのは言うまでもない…。
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