オズのトト
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第六幕その五
「生きものの?」
「あっ、また違います」
「そうなの」
「あれはマントヒヒですよね」
「あのヒヒとは違うのね」
「大きな猿の妖怪なんです」
今ここにいる狒々はというのです。
「そうなんです」
「そうなのね」
「はい、マントヒヒとはまた違います」
そうだというのです。
「そうなんです」
「成程ね」
「あと狐や狸もいるね」
トトは彼等にも気付きました。
「彼等も妖怪なの?」
「日本では生きものも長い間生きるとね」
「妖怪になるんだ」
「そして人間に化けたりして人をからかったり悪戯をするの」
「そんなことをするんだ」
「そう、だからね」
そうしたことをするからだというのです。
「妖怪に入るの」
「そうなんだ」
「正確には妖怪変化って言うけれど」
「成程ね」
「穴熊もいるね」
トトはこの生きものにも気付きました。
「アメリカのとは違う毛並みだけれど」
「貉ね」
「貉?」
「日本では穴熊は貉とも呼んでね」
そしてというのです。
「やっぱり人を化かすって言われているの」
「そうだったんだ」
「ええ、狸とよく似てるでしょ」
「あっ、確かに」
「それで同じ様にね」
狸とです。
「化かすって言われているの」
「それも面白いね」
「あと猫もいるけれど」
オジョは猫の妖怪も見ましたが。
「尻尾が二本あるね」
「猫又ですね」
「そうした名前の妖怪なんだ」
「やっぱり長生きしてです」
「妖怪変化になってかな」
「人を化かしたり人の言葉を喋ったりします」
そうしたことをするというのです。
「猫又も」
「ふうん、そうなんだ」
「はい、あとあそこの小さい猫みたいな妖怪は」
白地に黒の毛並みで何処かスコティッシュフォールドに似た外見の妖怪です。
「すねこすり、あとあそこにいるのは」
「亀の甲羅があって手には水かきもあって」
「頭にはお皿もあるけれど」
「河童ね」
この妖怪だというのです。
「あの妖怪もいるのね」
「水の妖精、いや妖怪かな」
トトはその外見から思いました。
「やっぱり」
「ええ、そうよ」
恵梨香がその通りだと答えました。
「河童はね」
「そのお水の妖怪が山にいるってことか」
「この山にお池か川があるのね」
「うん、あるよ」
その河童が恵梨香に答えました。
「いいお池がね」
「それで河童さんはそこに住んでいるのね」
「そうなんだ」
恵梨香にとても気さくに答えてくれるのでした。
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