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レーヴァティン

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第四十話 偸盗その一

            第四十話  偸盗 
 英雄は正だけでなく謙二、良太も仲間にしたが暫くは都で四人目や東の島の情勢のことを聞くことにしていた、その中でだ。
 拠点にしている宿の中でだ、彼は夜に仲間達とそれぞれが聞いた情報を収集してそのうえで言っていた。
「そうか、まずはな」
「はい、拙者はこれからこの世界ではでござる」
「智って名乗るんだな」
「その方が姓名判断ではいいと言われたので」
「占いでか」
「そうするでござる、それはどうもでござる」
「あちらの島でもか」
 久志の世界の方も話した。
「弓使いの奴がか」
「名前を変えたそうでござる」
「これまでの御前の名前をか」
「使っているとか」
「名前の交換か」
「互いに知り合いではあるのでござるが」
 あちらの世界では、とだ。正はこちらの世界では智と名前を変えたうえで話した。
「まさかお互いに名前を交換する形になったとはでござる」
「思わなかったか」
「左様でござる、そして」
 正あらため智はさらに話した。
「あちらの飯塚順殿でござるが」
「司祭だったな」
「あの御仁もでござる」
「名前を変えたか」
「順から順一にでござる」
「一文字加えたか」
「左様でござる」
 その一という文字をというのだ。
「そうしたそうでござる」
「こちらの世界だけか」
「左様でござる」
「姓名判断か」
「あくまで日本語のことでござるが」
 他の国の名前にすると関係ないというのだ、文字そのものに力が宿っているという日本独自の考えからくるものであろうか、この姓名判断というものだ。
「そうしてでござる」
「こちらの世界で生きているか」
「左様でござる」
「姓名判断はそれぞれの説で違いまして」
 陰陽師の良太が言ってきた。
「一概には言えませんが」
「そうとのことです」
 僧侶の謙二も言ってきた、二人共職業柄こうした姓名判断のことにも詳しい様である。それで言うのだった。
「どうやら」
「そうらしいのですが」
「そうでござるな、しかし拙者はでござる」
「その占い師の方にですね」
「その名前にされた方がいいと言われてですね」
「改名したでござる、この島では諱名でござるが」
「そうだったな、俺達の名前はだ」
 英雄もその諱名について話した。
「この島ではな」
「昔の日本でござるからな」
「下の名前は諱名になる」
「だから使うものではござらぬ」 
 普段はというのだ。
「それがしもそれで次郎と名乗っているでござる」
「普段はだな」
「左様でござる」
「拙僧は僧侶の名を」
 僧侶である謙二はそうだった。
「使っていますし」
「私もですね」
 陰陽師である良太もだった。
「諱名ということで」
「使っていないか、あちらの世界の名前は」
「左様です」
「そういうものか、だからか」
「あちらの島もそうしたもので」
「諱名があってか」
 それでとだ、英雄はこちらの世界で何故改名が安易なのかを理解した。 
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