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FAIRY TAIL~水の滅竜魔導士~

作者:山神
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最終決戦の序曲

 
前書き
ここからはオリジナル要素が強くなっていきます。
この話ではアルバレス地の出来事は第三者side
妖精の尻尾(フェアリーテイル)での出来事はシリルsideでいきます。その辺を踏まえてお読みください。 

 
その頃アルバレス帝国では・・・

ザッザッザッ

アルバレスの城下町から大きく離れた砂漠。そこでは黒装束を身に纏った怪しげな男が歩いていた。

「へいへい、こんなところで何してんの兄ちゃん!!」

そこに現れたのは数人の男たち。風貌からして盗賊なのは言うまでもなかった。

「兄ちゃん、ここを通りたかったら通行料を払いな」
「さもなければ命はないぜ」

武具をちらつかせフードを間深く被る青年を威嚇する。彼はそれを見て不快感を露にした。

「お前ら、ここがどこだかわかってんのか?」
「あぁ!?」

フードの下から見えた鋭い目。盗賊はそれが気に食わなかったのか、彼に詰め寄ろうとした。

「ガハッ・・・」

だが、1歩詰めたその瞬間、リーダー格の髭面の男がその場に吐血して倒れた。

「「「「「リーダー!!」」」」」

駆け寄ろうとした盗賊たち。しかし、彼らはその場から1歩も動けない。なぜなら、足と胴体が切り離されていたからだ。

「不愉快だ、消え失せろ」

そう言って彼が通りすぎた瞬間、男たちは体から血を吹き出し命を落とす。男はそれに目をくれることもなくその場を歩き去った。



















「で?」
「その秘策とやらは・・・」
「何なんですか!?ナツさん!!」

不老不死のゼレフを倒す秘策と聞いてそれがどんなものなのか彼に詰め寄る。

「秘密だ。だからこそ秘策なんだ」

だが彼はそれを教えようとしない。その瞬間、男たちが彼に群がり始めた。

「もったいぶってんじゃねぇ!!」
「その右腕にはどんな秘密があるんだー!!」
「知りたい!!」
「かじるのやめろ」

ナツさんがどんな秘密を抱えているのか気になる。あの包帯にはそんな意味があったのか・・・修行中にケガでもしたのかと思ってたよ。

「でも・・・ナツさんが言うんだからきっとすごくとっておきなんでしょうね」
「ふふ~ん」

ナツさんに絶大な信頼を寄せているウェンディがそう言うと、ハッピーが得意気に胸を張った。

「どうやらお前も秘密を知っているようだな」
「まぁね」
「あんたの秘密ってわけでもないのにそこまでドヤ顔できるのね」
「虎の威を借る狐~」

1年間一緒に修行してきたことからハッピーもそのことは知っているらしい。どうしよう、ますます気になる。

「とにかく、この技は一回しか使えねぇ。けど・・・ゼレフを倒すために編み出した技だ。絶対倒す自信がある!!」

それを聞いて歓声が上がる。一度しか使えないということは本当に大事な場面でしか使えないということ・・・つまりそれだけ威力のある技なのかもしれない。

「ナツがそこまで言うなら信じようぜ」
「確かにその自信は俺たちの励みになる」
「大した男ね、みんなの士気を一気に上げたわ」
「それがナツじゃねぇか」

一気に勝利へのビジョンが明確になったことでギルドの中に出てきた不穏な空気は一蹴された。やっぱりこの人は何か持ってる・・・そんな気がする。

「私にもいくつか策がありますが、今はナツを信じましょう」
「マスター」
「「「はい」」」
「えーと、おじいちゃんの方で」

ルーシィさんがマスターを呼ぶとマスター、初代、エルザさんが返事をした。マカオさんもそれに答えようとしてたけど、ロメオが必死に彼の服を引っ張って止めていてちょっと笑えてくる。

「これからあたしたちが戦う敵のことを教えてください」

自分たちよりも遥かに強く、巨大な敵。それに対するなら相応の準備が必要なのは言うまでもない。まずは1年間敵地に行っていたマスターからできる限りの情報を得ようと思う。

「うむ・・・そうだな。ワシが知る限りのことを伝えておこう。
まずは皇帝スプリガン。この大陸(イシュガル)では最強の黒魔導士として知られるあのゼレフじゃ」

先に彼を倒すことが出来ればこの戦いは終わらせることができる。しかし、彼にたどり着くのはそう簡単なことではない。

「そしてその配下にスプリガン16(セーズ)と呼ばれる先鋭部隊がいる。土地が広いせいで全員が一堂に会することは滅多にないらしい」
「となるとマスターも全員はわからないということですか?」

となると情報があるものとないものとが出てきて厳しいかもしれない。向こうがこちらをどれだけ知っているかにもよるけど・・・

「いや・・・1年前に騒ぎがあったらしく、定期的に首都の周辺を警備するものを代えていたらしくてな。運よく全員に会うことができた」

それを聞いて思わず安堵の息が漏れた。騒ぎってのは気になるけど、全員の情報があるのはありがたい。















アルバレス帝国首都にある宮殿の一室。そこには17の椅子がドーナツ型のテーブルを囲むように置かれており、1つの席を除いて全て埋まっていた。

「15人か。急な召集にしてはよく集まってくれたね」
「すみません、もう少し早く集めたかったのですが・・・」
「遠くに出ていた方も多かったもので・・・」
「いいよ」

皇帝スプリガンの横に立つのはホッパーとヤジール。2人は申し訳なさそうにそう言う。

「ティオスはまだ来ていないのですか」
「今向かっているので、まもなく着くと連絡がありました」

眼鏡をかけた銀髪の青年は空いている席を見て目を尖らせる。










「“冬将軍インベル”。奴はゼレフの参謀であり執政官でもある。その異名の通り氷系の魔法を使うと思われるが詳細はわからん」
「氷・・・」

同じ氷系の魔導士と聞いてグレイさんは気にしている様子。滅悪の力を使ったグレイさんとどちらが強いのだろうか?














「別にいいじゃねぇか、集まった奴だけでやればよぉ」

頭の後ろで手を組みテーブルに足を乗っけている色黒のボサボサヘアの男。彼はまるで砂漠の民のような格好をしていた。











「“砂漠王アジィール”。脱出時に交戦した砂の魔法の使い手。16(セーズ)の中でもかなり好戦的な奴じゃ」
「あいつかぁ~」

苦しまされただけに相当根に持っているであろうナツさんが唸る。あの性格からして奴は一番最初に出てくるだろう。でも、一度魔法を見てる分戦いやすいはず。












「もう察しているだろうけど、僕たちはいよいよイシュガル侵攻を開始する」
「めんどくさい・・・」

スプリガンが今回の集合の主となる話題を上げると緑の髪をした女性がやる気のなさそうに返事する。

「そう言わないでくれ、ブランディッシュ。僕の命令は聞く約束だろ?」
「もちろん。私の気持ちと行動は別。めんどうでも命令なら何でもやるわ」

垂れた瞳から皇帝を見つめ造反する気はないことを伝える女性。しかし、無気力である彼女が言うと、本当に大丈夫なのかと皆思ってしまう。








「“国崩しのブランディッシュ”。好戦的ではないが国をも崩すという魔力の持ち主」
「奴とはカラコール島で一度だけ接触した。奴はおそらく物の質量を変える魔法を使う」

観光地であるカラコール島をなくなったと勘違いさせるほど小さくしてしまうほどの魔力。スターマンゴーが食べれなくなったと知ったらレオン辺りが大暴れしそうだな。












「ランディは思ったことをすぐに口に出すから嫌われるのだ」

無気力な彼女の隣に座っている金髪の、中性的な顔立ちをした女性が忠告する。

「あっれー?嫌ってるのは私の方なんだけどなー」
「そうか・・・やはり私たちは気が合うじゃないか」

心底驚いた顔をする彼女に淡々とした口調で答えるその声は、どこか残念そうな声にも聞こえた。







「“戦乙女ディマリア”。奴の魔法は知らんが、戦場を駆け巡った女神を通り名に持つ女騎士」
「魔導士ではないのか!?」
「あんたが突っ込むの?」

エルザさんも似たようなもんだろうと思ってしまったのは俺だけじゃなかったらしく、カナさんから突っ込みが入っていた。でも戦場を駆け巡っているのに魔法がわからないって・・・どういうことだ?









パンパンっ

2人が睨み合っていると、さらにその横に座る黒髪の少女が手を叩いて注意を逸らす。

「はいはい、女同士でイチャつかない。そんなことしても薄い本がちょっと厚くなるだけだよ」
「「いちゃついてない!!」」

合っているような間違っているようなことを言う彼女に突っ込む2人の声が重なった。そのせいでさらに2人は険悪なムードになる。










「“破壊の女神リュシー”。聖十唯一の女性魔導士として知られておる。さらにはカミューニ、ノーランに並ぶビッグ3の一角じゃ」
「え!?リュシーさんが・・・」
「敵・・・?」

一度カラコール島で接触したことのある俺たちは顔を見合わせた。あれだけ優しそうな人だったのに、なんでこっちじゃなくて向こう側についてるんだ?













「ゴッドセレナ、故郷を焼くのは辛いかい?」

スプリガンから話を振られた金色の長い髪を束ねた男が立ち上がる。

「辛くは・・・ない!!」

ポーズを決めてスポットライトを浴びる彼に、ブランディッシュとディマリアが白い目を向ける。

「キモッ」
「ありがとう」

再度ポーズを決めて謎のお礼を言うゴッドセレナ。それを見てますます空気が凍りついたのは言うまでもない。











「“聖十最強の男ゴッドセレナ”。奴はいわゆる残念な感じの男なのだが・・・奴の強さはワシが一番よく知っている」

どうにも性格に難があるらしいゴッドセレナ。ウォーロッドさんも変なところがあるし、魔力が高くなりすぎると脳にも影響が出てくるのかもしれないな。

「聖十大魔道序列一位の人が敵だなんて、いまだに信じられない」
「なぜイシュガルを去ってしまったのでしょう」

リュシーさんに続いてイシュガルの四天王の最強の人までアルバレス側にいるなんて・・・ますます何があったのかと疑問が沸いてくる。

「そればかりは2人に直接聞いてみなきゃわかんないよね」
「裏切りものどもめぇ!!」

冷静なエバーグリーンさんと熱くなってきているエルフマンさん。その時、マスターの顔がわずかに歪んだのが見えたが、すぐに元の顔に戻っていた。気のせいか?












「イシュガルの者たちに黄泉の世界を見せてやろう」

黒い鎧に身を包んだ赤い仮面をした大柄の男が、誰に言うわけでもなくそう呟く。









「“死神ブラッドマン”。詳しいことはわからんが、奴と戦ったもので生きて帰ってきたものはほとんどいないらしい」
「だから死神が・・・面白そうだぜ」

ギヒッといつものように笑うガジルさん。そんな彼を見てレビィさんはどこか不安そうな顔をしていた。
















「イシュガルの魔導士たちはどんなヒストリアを持っているのか、楽しみだ」

紫がかった長い髪を後ろで束ねた色男。彼は足を組み仰け反りながら笑みを浮かべる。











「“精神の暗殺者ナインハルト”。奴は敵の心を打ち砕くことが得意だそうな。今まで戦ってきたものは奴に触れることもできなかったらしい」
「触れることも?ですか」

訝しげな顔をするジュビアさん。何らかの方法で敵の心を揺さぶり勝利を掴む。イカサマをしているようにも聞こえるけど、アルバレスで戦ったアジィールの魔力から考えて、それと同じくらいの魔力を持っているとしたら、それはないことは容易に想像できる。












「アッヒャッヒャ!!人間は本当面白ぇこと考えてんだな!!」

不気味な笑いを浮かべる青年。その顔は作り物のように目が死んでおり、体も腕の太さや足などが胴体と合っておらず、バランスが悪いような印象を与える。












「“審判者ワール”。奴は機械族(マキアス)出身の魔導士らしく、あらゆる錬金術が使えるらしい」
「ほう、錬金術か」
「こりゃまた珍しい奴がいるもんだな」

機械で人のような容姿をしているという機械族(マキアス)。見たことはないけど、本で読んだ話だと確か彼らは雷に弱かったはず・・・ラクサスさんで一撃で倒せるんじゃないか?












妖精の心臓(フェアリーハート)か・・・いい響きだ」

額にドクロマークが刻まれた中年の男が手袋をはめながら不敵な笑みを浮かべる。スーツを身に纏ったその姿は、魔導士とは到底思えないものだった。














「“暗殺魔法の天才ジェイコブ”。奴は礼を重んじるところがあるそうじゃが、如何なる暗殺も確実に遂行するまさしくプロフェッショナルらしい」
「暗殺魔法・・・」

聞いただけでヤバイ魔法を使うのがわかるジェイコブ。狙った獲物は逃がさないってところだろうか?まるでどこかの大泥棒みたいなセリフだけど。















「ククッ、天界から舞い降りたこの私にかかれば、そのイシュなんちゃらという大陸を落とすことなど造作もない」
「イシュガルよ、ヨザイネ」

顔を前でピースを作って得意気に語っているお団子ヘアの少女。彼女にリュシーが突っ込みを入れるが、そんなことなど気にした様子もなく椅子に座り仰け反っていた。











「“堕天使ヨザイネ”。自らを天界から追放された天使と語っているが詳細は不明。だが、光とも闇とも似つかない魔法を保有していると聞いている」
「光とも闇とも似つかない魔法・・・」

スティングさんとローグさんの中間のような感じなのだろうか?そうなると聖属性の魔法として対処するべきなのか、闇属性の魔法として対処するべきなのか、難しい判断を強いられるかもしれない。












「なんでもいいわ。私は自由にやらせてもらうから」
「アイリーン、陛下に向かって―――」
「いいよ、インベル」

大きなハットを被っている緋色の髪をした女性は退屈そうにあくびをしている。それをインベルが注意しようとしたが、例によってスプリガンに止められてしまった。














「“緋色の絶望アイリーン”・・・奴は・・・」

マスターがちらりと7代目ギルドマスターエルザさんを見る。彼女はなぜ彼が自分を見たのかわからず目を細める。

「いや、何でもない。奴はかなり高い魔力を持っておる。スプリガン16(セーズ)の中でもトップクラスじゃ」

何かを言おうとしてためらった様子を見せたマスター。それは気になるけど、16(セーズ)の中でさらに上位に位置する魔導士がいるとは・・・層が厚すぎないか?

















「陛下・・・我々は全員最終決戦(ラグナログ)の覚悟はできております」

ただ静かにスプリガンにそう伝えたのは異様な雰囲気を纏っている老人。見るからにただ者ではないことは誰から見ても明らかだった。











「“魔導王オーガスト”。こやつはアイリーンのさらに上を行く魔力を持っておる。聞いた話では古今東西あらゆる種の魔法を使えるとか・・・使える魔法の種類だけで言えばゼレフより上かもしれん」

彼の話を始めた途端、マスターの顔色が変わったのが手に取るようにわかった。その説明を聞いた俺たちは、思わず生唾を飲み込む。












最終決戦(ラグナログ)などどうでもいい。スプリガン」
「なんだい?天海」

その男が口を開いた瞬間、全員が彼を睨み付けるように視線を向けた。スプリガンだけは表情を崩さないが、他のものには強い緊張が走っている。

「その大陸に、俺より強い奴はいるのか?」














「“天下無双天海”・・・奴は元々東洋の島国に住んでいたそうじゃが、1年前何らかの理由でアルバレスに攻めてきたらしい」
「何らかの理由?」
「それって何ですか?」

ルーシぃさんと俺の質問に首を横に振るだけのマスター。しかし、すぐにまた新しい疑問が過る。

(なんでそんな人がゼレフの仲間になっているんだ?)

みんな思っているはずなのに誰も言わない。触れてはいけないことなのかとその場はスルーし、続きを聞くことにした。













「いるよ。君と同じか、それより強い子が」
「ほう」

それを聞いて天海は不快な顔をすることはない。むしろそうでなくてはと言いたげな顔をしていた。

「父さん。心配ないよ。僕が必ず妖精の心臓(フェアリーハート)を手にしてみせるから」

そこで割って入ってきたのはかなり薄い金色の髪をした、まるで僧のような格好をした青年だった。













「“白き使者ラーケイド”。ゼレフを父のように慕っており、奴の命令にはほとんど背かんそうだ」
「父のように慕っている?」
「本当の子供ってわけじゃねぇのか?」

その時に初代の顔が複雑そうな顔になった。無理もない、愛した人が違う人と子供を作っていたら、それだけで不愉快だろう。

「ゼレフには1人子供がいるそうじゃが・・・それは奴ではない。その子供は・・・」













コンコンッガチャッ

作戦会議も終盤に差し掛かろうとしたその時、部屋の扉が大きく開かれる。

「遅いよ、ティオス」
「ひどいなぁ。これでも相当急いで来たんだぜ?」

珍しくスプリガンからたしなめられた黒装束の男はやれやれといった動きを見せながら空いている席へと座った。












「“神の子ティオス”・・・こやつは・・・」

その名前を出した瞬間、マスターがその場にうずくまった。心配した俺たちが駆け寄ろうとすると、彼はそれを制止して立ち上がり話を続ける。

16(セーズ)の中でもダントツの魔力を持っておる。1年前に天海と共にアルバレスを攻め、わずか数時間でほぼ国を支配していたという話じゃ」

その話を聞いて思わず口を開けて固まってしまった。1年前の段階でスプリガンの先鋭部隊は14にいたらしいが、その全員が束になっても彼ら2人を抑えることができなかったらしい。

「じゃあなぜ今2人は仲間になっているんですか?」
「ティオスはゼレフに似た魔力を持っておる。さらにはゼレフが奴のことを知っていたらしく、ティオスもまたゼレフのことを知っていたことから今回の件を不問にし、共に戦う同志として迎え入れたらしい。ただ、16(セーズ)に対して滅多に怒らないゼレフが奴にだけは厳しい姿を見せることから、ティオスはゼレフの息子なのではないかと推測されておる」

それが事実かはわからないけど、もしそうだとしたらそれは大変なことだろう。ゼレフも相当強いって話なのに、その息子までいるとしたら・・・














「陛下、ティオスにはあとで私から説明を―――」
「いいよ、インベル。()()()()()()から」

執政官であるインベルが今回の作戦の内容を今来たばかりのティオスに説明しようとしたが、彼はそれを遮り口を開く。

「狙いは永久魔法妖精の心臓(フェアリーハート)。黒魔導士の恋人の体でしょ?」

まるでその場にいたかのように的確に答える彼に面白くなさそうな顔をするインベル。それに対しスプリガンは鋭い目付きで答えた。

「いいや・・・妖精の心臓(フェアリーハート)は“魔法”だ。“人”ではないよ。それに目的は妖精の心臓(フェアリーハート)だけではない。
イシュガルの殲滅だ。人類は一度滅びなければならない」

その時ゼレフの瞳の色が変化した。命の重さを忘れ、魔法を自由に使えるようになる黒魔導士の目へと。

「人類・・・ね」
「我々は“駒”だ」
「面白い解釈だな!!」
「完璧」
「早速作戦を立てましょう」

16(セーズ)のメンバーたちも気合いは十分。細かい作戦会議に入ろうとしたところで、この男が立ち上がる。

「その任・・・俺に任せてくれねーかな?」

好戦的な性格のアジィールが自らの部隊を率いて戦うことを提示する。しかし、スプリガンはそれを許可しなかった。

「いいや、君1人には任せないよ。総攻撃だ」
「バカな!!俺1人で十分だ!!ゴッドセレナが1番強ぇって大陸だぞ!!つまり!!俺1人でも殲滅できる!!」

アジィールの言い分に納得がいかなそうな顔をしているゴッドセレナ。ゼレフは彼の言葉を聞いて口角を上げる。

「それならそれでいいんだよ。全軍・・・全員での総攻撃。そこに意味があるんだよ。竜王祭が始まる、進軍開始だ」

いまだに納得できていないアジィールを宥めて作戦会議に入るアルバレス。その頃妖精の尻尾(フェアリーテイル)では・・・












「これから作戦を立てます。皆さん・・・よく聞いてください」

全員の視線を集めた初代。俺たちは妖精軍師といわれた彼女の策に耳を傾ける。

「ゼレフは全軍を率いて攻めてきます。私たちの置かれている状況は圧倒的に不利と言えるでしょう。テキハ今まで戦ってきた敵とは桁違いに強い。ですが、勇気と絆を持って戦い抜くのです。ギルドの力を見せてあげましょう!!」

彼女の鼓舞に拳を突き上げて答える。その頃別の場所では、アルバレスではないものが動き出していたようだが、それを俺たちが知るのはまだ先の話。






 
 

 
後書き
いかがだったでしょうか。
序盤で16(セーズ)のメンバーを全員出させてもらいました。1人はフードを被ったままですが・・・
ヨザイネのイメージはAqoursのよし・・・ヨハネ様です。
次からバトルに入るわけですが、進軍してくる順番も大分原作とは変わります。あらかじめご了承ください。 
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