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おぢばにおかえり

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第四十三話 阿波野君が気に入れられてその九

「あんた達も行く?」
「ううん、いいわ」
「私達はお家にいるわ」
 妹達もにこりと笑って言いました。
「そういうことでね」
「お姉ちゃんと阿波野さんだけで行ってきたらいいわ」
「そうよね、じゃあ行ってきなさいね」
 お母さんはまた私に言ってきました。
「何ならプールに行ってきたら?」
「プールに?」
「そう、そこにね」
 お弁当を持ってというのです。
「そうしてきたら?」
「プールって」
 そう聞いてです、私は言いました。
「お弁当だけでなく水着もっていうの?」
「そうよ」
 その通りという返事でした。
「持っていったら?」
「それは無理よ」
 私はお母さんにむっとして返しました。
「幾ら何でも」
「水着姿見せるの嫌なの?」
「そうよ」
 阿波野君の方を見て答えました。
「何かそれって」
「あらあら、恥ずかしがりやね」
「何でそんなことになるのよ」
 私はまたお母さんに言いました。
「それは幾ら何でも」
「仕方ないわね、じゃあ水着はなしね」
「そうよ、何考えてるのよ」
「折角近くにいいプールがあるのに」
「あってもよ」
 確かに八条プールはいいプールで子供の時からよく行って泳いでいます、ですが男の子と二人で行くなんてです。
「一緒には行かないわよ」
「それは仕方ないわね」
「普通の場所に普通に行くの」
 きっぱりと言いました。 
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