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ドリトル先生と奈良の三山

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第五幕その三

「実在しなかったんじゃって説もあるよ」
「あれっ、そうなの」
「本当は書き残していないの」
「そうなの」
「そうも言われているんだ、現存しているともね」
 例え実際に書き残していてもです。
「今も残っているかどうか」
「わからないの」
「何処にあるのかも」
「わかっていないの」
「そしてないかも知れない」
「その可能性もあるのね」
「そうなんだ、僕も実在を確かめていないよ」
 先生にしてもというのです。
「聖徳太子は空海さんみたいに色々な伝説のある人だから」
「その中には創作もあるんだ」
「そうしたものも含まれていて」
「それでなんだ」
「事実じゃないお話も多い」
「そうした人なの」
「うん、一時は実在も疑われていたし」
 そうしたこともあったというのです。
「今もどうかという人がいるしね」
「何か凄いお話ね」
「そうだよね」
「本当はいなかったかも知れないし」
「伝説が多いとか」
「僕は実在していたと思っているよ」 
 先生の学問の結果です。
「聖徳太子はね」
「先生はそうなんだね」
「聖徳太子は実在していた」
「そう思うんだ」
「調べていてね」
 そうしてというのだ。
「そう思うよ、帝の皇子で摂政であられたんだ」
「うわ、凄く偉い人だったんだ」
「皇族の方でしかも摂政って」
「帝の代わりに政治を観たりもするよね」
「そうした方だったんだ」
「うん、そしてとても聡明な方でね」
 その資質のお話もします。
「家々から煙が出ていてね」
「煙?」
「それがなんだ」
「民は餓えていないってわかったんだ」
 その煙からというのです。
「ほら、昔が竈から煙が出たね」
「あっ、そうだったね」
「御飯を炊くとね」
「竈の火からね」
「煙が出るね」
「そうだったね」
「だからね」
 このことからというのです。
「わかったんだ」
「成程ね」
「御飯を食べているから竈から火が出て」
「煙も出る」
「それでその煙を見てだね」
「民衆の人達が餓えていない」
「それがわかったんだ」
「そう、だからね」
 それでというのです。
「そのことがわかる位だからね」
「聡明な人だったんだ」
「成程ね」
「いや、凄いね」
「そんな聡明な人でもあったんだ」
「超能力があっただけじゃなくて」
「頭もよかったんだ」
「そうした人だったんだ」
「うん、聡明な人でもあって」
 それでというのです。
「政治家としても有名だったんだ」
「成程ね」
「ただ超能力者だっただけじゃなかったんだ」
「本も書いていて」
「しかも政治家としても凄かった」
「本当にスーパーマンだったんだ」
「ある程度創作が入っていても」
 それでもというのです。 
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