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楽園の御業を使う者

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CAST17

「ふ……不幸だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ‼」

「『ま、まぁ、私にも思う所はある。
だが…軍令だ。』」

「だからってこれは無いでしょう少佐!」

「『諦めろ』」

「参謀本部に災い在れぇぇぇぇぇぇっ‼」

「『で、ではな…。
ま、まぁ…その、なんだ…がんばれ』」

ヴィジフォンがプツンと切れNO LINEの文字が浮かぶ。

「嘘だろ…」

手元の封緘指令書。

入隊して初の指令がこれ…!?

「………国防軍参謀本部の正気を疑うレベルだ…」

本来なら…いや、俺が戦略級魔法師なんぞでなければここまで大事にはならなかった。

そう、とても些細な事だ…

「よりにもよって戦略級魔法師の身分を隠して芸能活動をしろだと…?」

しつこい芸能プロダクションの勧誘をどうにかしたくて師匠に相談したら風間少佐に相談しろと言われ、気付けば大事に…

4日程前に少佐に相談したら、そのスカウトマンに対してスパイの疑いがかかったらしい。

そして幕僚会議が開かれ…

何をとち狂ったか、"スカウトを受けろ、っていうかもう先方には言ったから宜しく~"的な内容の封緘指令書が届く始末…!

しかもその理由が"魔法師へのイメージアップ"…?

そんな事はどこぞの魔法師アイドルにでも頼みやがれ!

その上"最悪の場合貴官が戦略級魔法師海神蒼夜(ワダツミ・ソウヤ)と露見しても良い。
しかしその場合、大黒龍也の正体及び戦略級魔法質量爆散については命に変えても秘匿せよ"。

チクショウ!俺は見せ札かよ!

風間少佐からのフォロー…つまり俺が戦略級魔法師と露見した場合のメリットの説明はされた。

第一に、アビスの使い手であるイツワ・ミオは病弱であり、俺が見せ札となれば抑止力になり、尚且つ即応可能。

第二に、俺が戦略級魔法師だと秘匿する必要がなくなり、堂々と護衛を張り付ける事ができるらしい。

いや…四葉の護衛だけで十分っす…

しかし…この説明の仕方では"さっさとばらせ"と言っているようにも聴こえてしまう。

上はどうも諸外国へのカードが欲しいらしい。

「カァー?(どーしたのー?)」

軍上層部への怨み言を言っていると、一羽の大鴉が頭に乗っかった。

俺のペットの片割れの空(うつほ)だ。

「空…。なんか…軍から"バカジャネーノ"って言いたくなるような指令書が来ただけだ」

「カー?(どんな?)」

「芸能活動しろだと…戦略級魔法師に出す命令じゃねーよ…広報部にでも言えっていう…」

「カァー?(テレビ出るの?)」

「知らん。まぁ、どうせ雑誌のモデルとかだろ」

ええい!もうどうとでもなりやがれ!










その週末、我が家には似つかわしくない来客があった。

年はだいたい同じくらい。

紫がかった黒髪に、"あの家"で見覚えがある顔立ち…



「御初に御目にかかります。
真夜様から白夜様のマネージャーを仰せ使った…

桜井水波です」



ふぁ!?

 
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