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不老不死

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第二章

「朕はやっていくぞ」
「及ばずながら我等も」
「万歳翁にお仕えしてです」
「この国を栄えさせることに尽力します」
「そうさせて頂きます」
「頼むぞ」
 是非にとだ、こう言ってだった。
 廷臣たちも李世民を盛り立てることにした、魏徴がいなくなった分まで。李世民も奮起し廷臣達も彼を支えた。そして。
 李世民は丹薬を飲み続けた、これは何故かは誰もがわかっていた。
「是非です」
「丹薬はお飲み続けて下さい」
「長寿、そして不老不死の為に」
「この国を万全に治められる為にも」
「わかっている」
 李世民も廷臣達に確かな声で答えた、そのうえで丹薬を飲み続けたが。
 やがて身体の調子が次第に悪くなってきた、それでだった。
 さらに丹薬を飲みだ、廷臣達に語った。
「こうした時こそ飲まねばな」
「はい、丹薬は身体の中の毒を消します」
「そうしますので」
「まさにこうした時こそです」
「お飲みになるべきです」
 廷臣達もこう答える。
「ですからどうかです」
「道士達が作った丹薬をお飲み下さい」
「是非共」
「そして再びお元気になられて下さい」
 体調が悪いがそれでも皇帝の座から政を行う李世民に言うのだった。
 李世民は彼等の言葉を受けつつ丹薬を必死に飲み政を続けた、だが身体はさらに悪くなり遂にだった。
 死の床についてだ、こう言ったのだった。
「天命には勝てなかったな」
「天命にはですか」
「それにはですか」
「丹薬を飲み続けた」
 長寿、そして不老長寿をもたらすそれをだ。実は今も飲んでいる。
「しかし世を去るのはな」
「天命故ですか」
「丹薬でもそれは伸ばせない」
「だからですか」
「万歳翁は」
「世を去る、後はそなた達に任せた」
 残った廷臣達にというのだ。
「次の皇帝は太子に継がせるのだ」
「はい、そしてですね」
「太子をも盛り立て」
「そうしてですね」
「この国を頼んだ」
 こう言ってだ、李世民は世を去った。廟号は太宗とされその政は善政であり後世でも名君と讃えられた。
 だが彼は世を去り冥府に行ってだ、魏徴と会ってだった。
 魏徴にその死の経緯を話すとだ、魏徴は彼に無念の顔で言った。
「若し私が万歳翁にさらに長くお仕えしていれば」
「どうだったというのだ」
「万歳翁はより長く生きられたでしょう」
 こう言うのだった。
「そう思うと無念です」
「というとまさか」
「はい」
 魏徴は勘の鋭い主にすぐに答えた。
「丹薬を飲まれ続けていましたね」
「そうしていた」
「それがよくなかったのです」
「やはりそうか」
「丹薬に悪しきものが混ざっていて」
「それでだな」
「万歳翁はその毒にやられたのです」
 そして世を去ったというのだ。 
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