二本足の犬
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第五章
「私もそう思います」
「それの話も出そうね」
「悪用の一環として」
「だからそちらの対策も出るわね」
「そうだと思います」
実際にというのだ。
「それは」
「そうあるべきね」
「犬でもそうした話出るでしょうか」
「犬もひょっとして長生きしたら」
オカルトの話になってきているとだ、吉能は思いながらも美祐に話した。
「そうなるかもね」
「尻尾が二本になって」
「猫又は五十年だったわね」
五十年生きれば妖力を得て猫又になるという。
「そうだったわね」
「そう言われていますね」
「犬はそうした話聞かないけれど」
「それでもですか」
「なるかもね」
実際にというのだ。
「犬叉とかね」
「人工的に尻尾を付けても」
「なるかもね」
こう美祐に話した。
「だからそうしたことも今後はね」
「話されますか」
「そうなったら面白いわね」
「またそこで面白いですか」
「人はそこから考えて話をして対策を出していくから」120
それでとだ、またこう言う吉能だった。
「いいでしょ」
「何か愉快犯みたいですね」
「みたいでもそこから対策が出ていって悪用が防がれるなら」
「博士としてはですか」
「満足よ、科学は人類と世界の正しい発展の為に使われるべきよ」
吉能は美祐に確かな声で言った。
「だからね」
「博士の今回のこともですか」
「その方向になる様にね」
「あえてやってみたんですか」
「そうよ、じゃあそのクドリャフカにね」
その二本足で歩く様になった犬にというのだ。
「御飯をあげるわ」
「何だかんだであの子大事にしてますね」
「当たり前でしょ、命は大事にしないと」
「何か博士自体が面白い人ですね」
美祐はしっかりと犬を手術後も大事にしている吉能に微笑んでこうも言った。
「愉快犯でマッドサイエンティストでも世の中や人間のことを考えていてしかも命も大事にしていて」
「私そんなに面白い?」
「はい、じゃあクドリャフシカに御飯をあげましょう」
「今からね」
二人で笑顔で話して実際に犬に御飯をあげた、吉能がしたことは色々と議論になりこのことから危惧されることに次々に対策が講じられ実行に移された。そしてそれが人類を正しく方向に導くことになってだ。それを見た美祐はあらためて吉能を面白いと思った。その時も相変わらずな彼女を見て。
二本足の犬 完
2017・7・21
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