ロマンティックな夜に
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第四章
「あっ、これは」
「どうかな」
「美味しいわ」
こう彼に答えた。
「とてもね」
「それは何よりだよ」
彼は私の言葉を聞いて笑顔で言ってきた。
「僕も味もいいと思ったからね」
「私に紹介してくれたのね」
「お店の雰囲気もよくてね」
「それでよね」
「焼き加減とソースがいいから」
「お肉への味付けもね、しかも柔らかいわね」
噛んでいて実感した、そして肉汁もよく出ている。
「輸入肉だと思うけれど」
「まあそれはね」
「お値段見たらね」
「和牛だとね」
どうしてもだ、こちらのお肉になると。
「凄く高くなるよ」
「美味しくても」
「そう、こんなものじゃないよ」
「倍以上するわね」
「流石にそうしたお店はね」
彼は私に苦笑いで話した、彼自身もステーキを食べながら。
「紹介出来ないよ」
「自分が行くことも出来ないから」
「流石にね」
「そう、けれどね」
「けれど?」
「そうしたお話はね」
私は彼に少し苦笑いになって言った。
「止めましょう」
「ロマンティックじゃないかな」
「全然ね、折角ロマンを感じてたのに」
「このお店でステーキを食べて」
「折角だから」
「それじゃあ」
「そう、そうしたお話はなしで」
「楽しむ方がいいね」
「その方がね」
こうしてだった、そのお話を止めて今度はプレスリーの音楽の話題に変えようと思った。すると今度の曲は。
ラブミーテンダーだった、私はこの曲を耳にして彼に微笑んで言った。
「いいわね、この曲」
「好きかな」
「そうなの、プレスリーの曲の中で」
「一番好きなんだ」
「そうなの、こうした場所にも合ってて」
「雰囲気のある曲だからね」
「好きなのよ」
ステーキを食べながら笑って話した。
「こうした場所でステーキを食べながら食べると」
「合ってるよね」
「とてもね、ロマンティックね」
この曲がこうした場所でかかればだ。
「本当にね」
「そうなるわ、じゃあステーキを食べて」
「この後は」
「バーよね」
「そこでカクテルにしよう」
「わかったわ」
私は彼にここでも笑顔で応えた、そしてだった。
二人でステーキを最後まで食べてから一緒にステーキハウスを後にした、そうして二人で一緒にだった。
今度はバーに入った、二人でよく行くお店だけれど何しろ忙しくてお店に入るのも暫く振りだった。
そのお店に入ってだ、私達は二人用の席に向かい合って座った。このお店でもそうして座った。
そうしてだ、私はアドニスカクテルを飲みながらジムベースを飲む彼に言った。
「この雰囲気好きなの」
「バーの雰囲気が」
「それとカクテルのね」
それがというのだ。
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