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銀河英雄伝説〜ラインハルトに負けません

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第七十二話 原始人と一緒


オフレッサー登場です。
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第七十二話 原始人と一緒

帝国暦480年5月1日

■オーディン 帝国軍装甲擲弾兵訓練施設 装甲擲弾兵総監部  

 この日の早朝から。
戦場では叛徒共を、その肉弾で叩きつぶし戦斧で引き裂く。
百戦錬磨の装甲擲弾兵達が、緊張しまくっていた。
何故なら、皇帝陛下と皇女殿下の閲兵を受ける為である。

装甲擲弾兵総監ライムバッハー上級大将と副総監オフレッサー大将が2人して落ち着かない姿を見るのが初めてなので、多くの兵員がにやついたりして眺めている。
しかし、そんなことすら気にしないように巨体をチョコマカと動かしながら準備を指導していた。

「おい、其処じゃない!もっと右にしないとご観覧出来ないぞ!」
「違う違う、グランドはもっと確りと真っ平らに均すんだ!」
「あー、馬鹿もん!!折角均したところをズケズケ歩くんじゃない!!」

2人共顔を真っ赤にして、部下達を叱咤激励する。
それに反応して普段は戦闘してる連中が、
一生懸命トンボでグランドを均し、石拾いや雑草むしりをしている。

なぜ機械力でグランドの整備をしないかと言うと。
【健全な肉体には健全な精神が宿る!】
と言う装甲擲弾兵のモットーが有るからであった。

3時間近くかけて午前7時過ぎに、全ての準備が終了し早速朝食である。
皆黙々と食べ続ける、あの筋肉を維持する為にバランスの良い食事が出されている。
ライムバッハー上級大将は、緊張した趣で肉を食べている。

オフレッサー大将は、普段の豪快さが嘘のように細々と食事をしている。
しかし装甲擲弾兵全体でやはり緊張のあまり食が細くなっているようだ。
全員が食事後配膳係は普段と違い大量に残った料理をどうするかと、
頭を抱えていたのである。

食事後一旦全員が身だしなみの為、シャワーを浴びることになった。
汗臭い状態で皇帝陛下と皇女殿下をお迎えするわけには行かないからだ。
念入りに体を洗う者、普段しないリンスをする者、伸び放題の髭を剃る者、
皆が皆身だしなみに気を付けているのだ。

全員が下着を新品にしていて、まるで初ディートか死に装束である。
眉毛の形を整える者まで居る始末。
全員がそれぞれの個性を持った髪型にしている。

最早ファッションショーの楽屋裏である。
そうして皆がおめかしして、
クリーニングされノリの効いた軍服を着て集合を始めた。

午前9時準備万端整った。
帝国軍装甲擲弾兵訓練施設には、
あと1時間でで皇帝陛下と皇女殿下が御到着すると連絡が有り、
早速全兵士による整列が正門前から始められた。

オフレッサーのだみ声が響く。
「パウマン中佐。卿の部隊は右側だ」
「はっ」
「ラフト中佐。卿の部隊は正門前だ」
「はっ」

「モルト少将。少将は車止めで挨拶を俺と一緒だ」
「御意」
「レムラー大尉。卿は扉を開ける係だが大丈夫であろうな?」
「はっ、何度も練習いたしました」
「頼んだぞ」
「はっ」
そしてキッカリ1時間後皇帝陛下と皇女殿下の車列が正門前に現れた。
5万人に及ぶ兵達が正門前から、5kmに渡り、2列で両側にズラッと並ぶ光景は黒い壁のようである。
今回はご尊顔を見ても不敬にあたらずと事前に布告されたため、
直接全員がご尊顔を見ることが出来たのである。

皇帝も皇女もその光景を見ながら手を振っている。
並ぶ装甲擲弾兵達は歓声こそ出せないが確りとした敬礼をしながら、
内心では感動を覚えていた。

装甲擲弾兵総監部庁舎前に車列が到着すると、
装甲擲弾兵総監ライムバッハー上級大将と副総監オフレッサー大将と総監部査閲官モルト少将達が整列し皇帝陛下と皇女殿下を出迎えた。

地上車から降りてくる皇帝陛下と皇女殿下を緊張の趣で敬礼し迎える。
ライムバッハー上級大将が緊張した声で挨拶を行う。
「皇帝陛下、皇女殿下におかれまして、この度の御統監、装甲擲弾兵すべからず感嘆の極み」
皇帝は頷き「総監御苦労」と答えた。

皇女はにこやかに「皆の者御苦労さま」と答えた。
居並ぶ装甲擲弾兵達は益々感動に震えていた。
此処まで皇帝陛下や皇女殿下を間近にして、お言葉を賜っているのであるから。

緊張のレムラー大尉が扉を開けて、
皇帝陛下には、ライムバッハー上級大将が、
皇女殿下には、オフレッサー大将が、
それぞれエスコートして応接室へ向かう。

最初は皇女殿下のエスコートについては、
厳つく恐ろしい感じのオフレッサー大将ではなく、
優しい趣のモルト少将と言う話も有ったが、
皇女殿下、ご自身の希望でオフレッサー大将に決まったのである。

オフレッサーはその話を聞くと、自分の厳つさは女子供を泣かすことが多い為、
皇女殿下が泣いてしまうのではと内心心配しながら、お迎えしたのである。
所が、お迎えしエスコートするオフレッサーが挨拶をすると意外な答えが返ってきた。

「皇女殿下におかれましてはご機嫌麗しく、
不肖オフレッサー、皇女殿下のご案内を賜り誠に祝着至極でございます」
「オフレッサー、会いたかったぞ。卿の働きはよう聞いておる。
その頬の傷も歴戦の証じゃ、誠に頼もしく思うぞ。今日の案内楽しみじゃ」

オフレッサーにとって頬の傷は叛徒との戦いで受けた傷である、
敢えて完治させずに歴戦の強者として傷を残したのであるが、
皇帝陛下と皇女殿下にお見せするのが、憚れるのではと考えていたのであるが、
皇女のこの言葉で安堵の気持ちになったのである。

応接室で皇帝陛下と皇女殿下に相対しながら、
緊張しつつ装甲擲弾兵についての質問を受け答えを行われた。
小一時間が経ちグランドでの御観覧を開始する時間となった。

グランドに作られた御観覧台へ、ご案内をする総監達。
グランドには装甲擲弾兵5万人が整列して準備が整っている。
皇帝陛下と皇女殿下が御観覧台へお上がりになると、

軍楽隊による、国歌と軍歌の演奏が行われる。
全員が直立不動で皇帝陛下と皇女殿下を見つめる。
通常であれば跪いて顔を上げることすら許されないモノである。

その姿は、立体TVや新聞等では見た事があるが、
殆どの者が、直接ご尊顔を拝謁する事は初めての事である。
其れだけでも装甲擲弾兵全体に感動と忠誠心が沸き上がっていた。

流石に5万人では後方の方や左右の者は、小さくて見えないため、
大ビジョンにより映像が映されていた。

まず、皇帝陛下から、お言葉を賜る。
「装甲擲弾兵達よ、卿等の忠誠誠に重畳である、予は卿等を頼もしく思うぞ」
続いて、皇女殿下から、お言葉を賜る。
「装甲擲弾兵の皆さん、皆さん素敵です。これからも頑張ってください」

皇帝の激励にキリッと締まる者達。
そして、皇女の愛らしい挨拶ににこやかになる装甲擲弾兵達。
皆が皆、この栄誉を忘れないようにと思うのであった。

挨拶の後、装甲擲弾兵同士の模擬戦が始まった。
みな真剣に模擬戦を行っている。
時折、皇帝陛下や皇女殿下が質問を行う。

「あの技はどんな技じゃな?」
「はっ、たいがためにございます」

「あの者は見事じゃ」
「はっ、第12装甲擲弾兵師団のパウマン中佐であります」
「天晴れじゃ」

「御意、かの者も喜びまする」
「うむうむ」

こうして、皇帝陛下の御相手をする、
装甲擲弾兵総監ライムバッハー上級大将は、緊張の連続である。

逆に皇女殿下の御相手の装甲擲弾兵副総監オフレッサー大将は。
皇女殿下から非常に懐かれていた。

「オフレッサー、そちの身長は高いのー、いくつあるのじゃ?」
「はっ、2m8cmであります」
「おー、すごいの、天に届くようじゃ」

オフレッサーは普段から怖面であり、
皇女殿下のエスコート役になることが不安であった。
しかしまったくの杞憂に終わりホッとしていた。

さらに殿下が非常に親しく接してくれるのも、
下級貴族出身の彼としては、望外のことであり。
皇女殿下に非常に親しみと慈しみを覚えていたのである。

「オフレッサー、皆が皆ようやってくれる、嬉しいことじゃ、
わらわにも出来る事ならしてやりたいものじゃ」
「殿下、そのお言葉だけで十分でございます」
「オフレッサー、そちは優しいの」

そう言われて、照れてしまうオフレッサー、普段あまり見ない姿である。
「そうじゃ、オフレッサー、聞くところによると、
そちは相当な腕前でハンティングをするそうじゃな」
「自慢するほどのものではございません」

「どうじゃ、今度そちの家に招待してくれぬか?」
「小官の家でございますか、恐れ多いことでございます。
とてもとても殿下をご招待できるような家ではございません」

「よいよい、わらわは、オフレッサーそちが気に入ったのじゃ、
それともわらわが家に行くのはいやなのか?」

「滅相もございません」
「では決まりじゃ、オフレッサー、
そなたが仕留めた剥製を沢山見せてたもれ」
「御意」

「オフレッサーよ、これを賜する」
テレーゼ皇女がゴソゴソとポシェットから万年筆を出して渡してきた。
「殿下これは?」

「うむわらわの使っている筆じゃ、
副総監となれば書類も多かろう、
そちに合うかどうかは判らんが使ってたもれ」

オフレッサーにしては望外な贈り物である、
彼は大変感動しお礼を述べた。

「皇女殿下におかれましては、誠にありがたく存じます」
「よいよい」
「オフレッサーの家に行くのが今から楽しみじゃ」

そうしてその日の閲兵は無事終わった。
皇帝陛下と皇女殿下の車列を見送る装甲擲弾兵達は、
緊張から解放された感覚よりも、
皇帝陛下と皇女殿下からのお優しいお言葉や激励を思い出し、
益々精進しようと考えているのであった。

更に皇帝陛下と皇女殿下から下賜された、
酒類で今夜は宴会が許されたので、
そのことも士気を挙げる要因の一つとも成っていた。

「皇帝陛下万歳」
「皇女殿下万歳」
車列が見えなくなるまで歓声は続いたのである。

装甲擲弾兵総監ライムバッハー上級大将は、
緊張からか椅子に座ったままグッタリしている。
もう今日は仕事は、お仕舞いであろう。

副総監オフレッサー大将は、
皇女殿下より賜された万年筆を見ながら。
俺の手には小さいなと思いつつ、
あの愛らしい姿を思い出して益々の忠誠を尽くそうと思うのであった。 


■オーディン  ノイエ・サンスーシ    テレーゼ・フォン・ゴールデンバウム

 今日は装甲擲弾兵の閲兵に行っ来ましたが、
みんな訓練に頑張ってくれてます。
お嬢様のような口調で話すのも疲れましたが、
オフレッサーとも知り合えて、
無理を言って、お家へ遊びに行ける事になりました。

OVAで見ると剥製とか刀とか一杯有るから楽しみですね。
日本刀も有るか知れないし、
古式銃も持っているようですからいいですね。

しかし大きかったです。流石石器時代の勇者。
2万年ばかり遅れて生まれてきた原始人ですね。
けど、ストレートで優しい人ですよ。
私は好きですね、今度のお宅拝見が楽しみでなりません。


 
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