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レーヴァティン

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第三十九話 神の斧その九

「好きだ」
「それなりか」
「おそらく御前程じゃない」
「俺は大好物なんだよ」
「パスタやステーキも好きだな」
「そういうのだけじゃなくてな」
「餅はか」
「むしろそういうの以上に好きなんだよ」
 そこまで好きだからだというのだ。
「だからあっちの世界で餅が食えないのが残念で仕方ないんだよ」
「そうした系統の菓子もあるだろう」
「団子みたいにかよ」
「そうじゃないのか」
「だから餅とかそういうのはないんだよ」
 団子の様な菓子もというのだ。
「俺が食いたいのはリアルの餅や団子なんだよ」
「ややこしい奴だな」
「聖餅っていうだろ」
 久志は今度は木椅子と今日の儀式で使うこれの話をした。
「そうな」
「あれはパンだな」
「ああ、パンなんてな」
 それこそという口調でだ、久志はむっとした顔で英雄に話した。
「向こうじゃジャガイモと並んで米でな」
「主食だな」
「それでなんだよ」
「食い飽きたか」
「主食だから食い飽きるかよ」
 もう食べることが習慣になっているというのだ、主食というものは最早食べることがそうなっているものなのだ。
「ただな」
「それでもだな」
「俺は餅米で作った餅とかな」
「日本の団子だな」
「そういうのが食いたいんだよ」
 そうだというのだ。
「日本でな」
「じゃあ今から食うか」
「こっちの世界じゃ毎日食ってるぜ」
「餅も団子もか」
「最近両方をな」
 目が覚めたらというのだ。
「一晩寝ている間にあっちの世界じゃ相当な時間が経ってるしな」
「一年単位のな」
「そこまであるからな」
 それでというのだ。
「俺としてもな」
「餅に餓えているか」
「もう餓狼だぜ」
 そこまでの餓えだというのだ。
「ったくよ、餅がない世界ってどうなんだよ」
「米があってもな」
「米もあれだぜ」
 その米の話もだ、久志はした。
「こっちじゃ陸稲だしな」
「水田でないな」
「ああ、最初見た時はびっくりしたぜ」
「米は水田とは限らない」
「日本じゃ絶対にそうだけれどな」
「そうだったな、ちなみにこちらの島ではだ」
 英雄は久志に話した。
「当然米が主食でだ」
「水田だよな」
「見渡す限りの水田が見られる」
「いいな、おい」
 英雄のの東の島の農業の状況を聞いてだ、久志は羨ましそうに述べた。
「やっぱり米だよな」
「日本人としてはか」
「米が一番いい穀物だろ」
「生産量ではな」
「そうそう、味もいいしな」
「そこは好みだな」
「こっちは本当に麦やジャガイモが主食でな」
 米は野菜扱いだ、欧州では実際に米は野菜と考えられていてリゾット等もスープの様な扱いなのだ。
「米を主食に色々なおかず食いたいな」
「おかずもか」
「納豆とか卵焼きとかめざしとかな」
「こちらの世界には全部ある」
「それでも餅もか」
「普通こでは味噌だがな」
 米とくればというのだ。 
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