儚き想い、されど永遠の想い
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204部分:第十五話 婚礼その十三
第十五話 婚礼その十三
義愛と義智も来た。二人も西洋の礼服姿だ。しかもそれだけではなくだ。
それぞれの妻達も連れていく。彼女達もやはり礼服だ。
そのそれぞれ着飾った姿でだ。八条家の面々が揃っていた。
その中においてだ。父は笑顔で話した。
「さて、それではだ」
「今からですね」
「義正の晴れ舞台に家族で向かうのですね」
「そうしよう」
笑顔でだ。父は話した。
「一家の幸せのはじまりだからな」
「一家のですか」
「幸せのはじまりですか」
「そうだ。この結婚は二人だけの幸せではないのだ」
そうだとだ。父は子供達に話す。
「一家全員のことだ」
「八条家ですか」
「白杜家の長い対立は終わり」
それも終わり。さらにだった。
「両家の融和と友好がはじまるからな」
「そうですね。それでは」
「今から幸せを」
「それをはじめましょう」
こう話して。彼等は全員で式場に向かうのだった。彼等はそうした。
そして白杜家の控え室では。真理が。
白いウェディングドレスでだ。笑顔でいた。その彼女にだ。
まずはだ。兄が彼女に声をかけた。
「奇麗だな」
「奇麗ですか」
「ああ。今までよりもずっとだ」
「そうですか。今の私は」
「純白で汚れがなく」
そのドレスの姿はだ。まさにそれを現しているというのだ。
「こんな奇麗なものはない」
「私はそんな」
「いえ、謙遜しなくても」
「その通りでしてよ」
しかしだ。今度は姉達がこう真理に笑顔で言うのだった。
このうえなく優しい笑顔で。そうして言う言葉だ。
「今の真理さんは天使の様です」
「基督教のあの」
「天使ですか」
「そう、天使だ」
まさにそれだとだ。兄も話す。
「今の御前は。汚れのない天使だ」
「そしてその天使を手に入れられるのが」
「八条家のあの方ですね」
「はい、あの方です」
真理もそのことには微笑んで答える。そのウェディングドレスの彼女を囲む家族達に対して。
「八条家の」
「そうだな。彼はだ」
真理の父がここで言った。
「天使を手に入れるのだ」
「そうしてですね」
兄はだ。今度は己の父の言葉に微笑みで応えて話す。
「幸せをはじめるのですね」
「そうなる。彼の、そして」
「そして?」
「そしてといいますと」
「両家の幸せは天使と彼の結婚によりはじまるのだ」
彼もだ。あちらの家の主と同じことを言うのだった。
「そうなるのだ」
「天使とですか」
「あの方との結婚により」
「全てが」
「わしは御前達の伴侶についてはだ」
真理の兄と姉達を見て。そうしての言葉だった。
「どれもいいと思っている」
「有り難うございます」
「そう言って頂けるのですね」
「主人のことを」
「彼等もわしの娘であり息子達だ」
我が子の伴侶ならばだ。そうなるというのだ。
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