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ドリトル先生と奈良の三山

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第四幕その三

 曲がり角を右に行ってです、唐招提寺の前に来ましたが。
 動物の皆はその外観を見てこう言いました。
「歴史あるね」
「さすがに東大寺よりは小さいけれどね」
「あのお寺が大き過ぎるだけで」
「整った感じよね」
「歴史を思わせながらね」
「そうだよね」
「そう、このお寺は奈良時代の趣が残っているんだ」
 そのままというのです、
「今もね」
「そうなのね」
「それでこの外観なの」
「歴史を感じさせる」
「いいお寺ね」
「そう、そしてその唐招提寺にね」
 今からというのです。
「行こうね」
「わかったよ」
「それじゃあね」
「今からね」
「中に入りましょう」
 こうお話してでした、皆でです。
 唐招提寺に入りました、そのうえで皆でお寺の中をよく見てです。動物の皆はあらためて言うのでした。
「いや、ここにだね」
「鑑真さんがおられたんだ」
「唐から来てくれて」
「それでだね」
「そうだよ、ここに入ってね」
 そしてというのです。
「唐の仏教を直接伝えてくれて」
「政治のこともだね」
「お話してくれたんだ」
「そうだったの」
「どの国もそうだったけれ僧侶は知識人だったから」
 このことからというのです。
「政治も詳しくてね」
「それでだね」
「朝廷の人達にも政治を教えてくれていた」
「鑑真さんもだね」
「特に鑑真さんは唐でも有名な高僧だったから」
 つまりそれだけ深い学識を備えていた人だったというのです。
「それでなんだ」
「政治の知識も深くて」
「それでなんだ」
「そちらのことも教えてもらっていた」
「そうなのね」
「うん、そうだよ」
 その通りだというのです。
「そして何よりも仏教のことをね」
「教えてもらっていたんだ」
「日本の朝廷の人達は」
「何かと」
「そうだよ、そして日本の仏教の発展に物凄く貢献してくれたんだ」
 鑑真さんはそうした人だったというのです。
「日本に来るまでの苦難の中で目が見えなくなっていたけれど」
「うわ、それでもなんだ」
「日本に来てくれてなんだ」
「沢山の知識を伝えてくれたんだ」
「そうだったんだ」
「そう、日本の仏教は鑑真さんがいないと」
 若しもというのです。
「どうなっていたかわからないよ」
「そこまでの人なんだ」
「それが鑑真さんなんだね」
「そうだよ、日本の仏教の貢献度でいうと」
 先生はその鑑真さんを思いながら皆にお話するのでした、その唐招提寺の中で。
「同じ時代の行基さんや飛鳥時代の聖徳太子、平安時代の空海さんや最澄さんにも匹敵するだろうね」
「うわ、凄いね」
「聖徳太子と同じだけなんて」
「行基さんも有名よね」
「空海さんと最澄さんなんてね」
「もう仏教界のスーパースターだよね」
「そう、その人達と同じだけなんだ」
 まさにというのです。 
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