儚き想い、されど永遠の想い
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192部分:第十五話 婚礼その一
第十五話 婚礼その一
第十五話 婚礼
その日が近付く中で。義正は兄達に話していた。
「夢の様です」
「今の状況がか」
「そうなのだな」
「はい、まさに」
その通りだとだ。何処か浮世離れした顔で答えるのだった。三人で向かい合ってそれぞれ席に座りだ。そのうえで話をしている。
「婚礼の日が近付くのが」
「そしてその日になるのが」
「信じられないか」
「本当に。夢の様です」
彼もまただ。こう言うのだった。
「私も。生涯の伴侶を得るのですね」
「誰もそうだ」
「そうなるのだ」
兄達はその彼に優しい笑みでこう話す。結婚式を前にしてそれが現実のものとは思えず夢に思えるのはだ。彼だけではないというのだ。
「幸せが近付くとな」
「自然にな」
「そうですか」
義正は兄達の話を聞きながらだ。そのことも信じられないといった顔で話した。
「そういうものですか」
「それはまだわからないか」
「そうしたことも」
「はい」
その通りだとだ。義正はやはりわからないといった顔で話す。
「そうしたことがなかったですから」
「だがこれからわかる」
「今からな」
兄達は優しい笑顔で弟に対して言う。
「その幸せが現実のものになりだ」
「それからだ」
「そうですか。これからですか」
「さらにだ。結婚式の後でだ」
「もう一つある」
義愛と義智は義正にさらに話す。
「それは子供ができた時だ」
「そう言われている」
「子供ですか」
子供と聞いてだ。義正の目が動いた。そうしてだ。
心も動かしてだ。彼は話していく。
「それもまた」
「やはり想像できないな」
「子供のことになると余計に」
「兄さん達も」
兄達もだ。どうかと話すのだった。
「それは」
「いや、妊娠した」
「私もだ」
妻達がだ。そうなったというのだ。
「今四ヶ月だ」
「私の妻は三ヶ月だ」
「そうでしたか」
兄達は結婚したのだ。そして遂にそうなったというのだ。今度はだ。
「兄さん達は」
「やはり信じられない」
「現在進行形でだ」
「ですか。しかし子供もまた」
義正は子供についても考えていく。だが、だった。
そのことは式以上にだ。想像できなかった。それでだった。
首を捻り眉を少し顰めさせてだ。理解できないものを考える顔になって言うのだった。
「想像できません」
「そうだな。式もまだなのだから」
「どうしてもそうだな」
「二人からさらにですか」
義正は言うのだった。
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