儚き想い、されど永遠の想い
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187部分:第十四話 忍び寄るもの十三
第十四話 忍び寄るもの十三
「私達が義正さんに勘当を言ったらどうするの?」
「勘当ですか」
「義絶もあるわ」
一族としての縁を切る、そのことを言うのだった。
「それでもいいのかしら」
「それでもです」
まただ。こう言う彼だった。
「私はこの人と一緒に」
「私もです」
真理もだった。必死の声で言うのだった。
「私も。絶対に」
「そうなのか」
「貴女もなのですね」
「そうです。何があってもです」
義正と同じく毅然としてだ。真理は返すのである。
「私は。この方と」
「共にか」
「生きるというのですね」
「二人なら」
目の光も強い。そこには一点の曇りもない。
その目は義正も同じだった。その目を見てだ。
二人はだ。一旦言葉を止めた。そうして沈黙に入った。
沈黙の時間は短かった。だが義正と真理にとっては永遠とも思える長さだった。その気の遠くなる様な沈黙の後でだった。
まず父がだ。こう言うのだった。
「わかった」
「わかった?」
「そうだ、わかった」
こう義正、我が子と真理に言うのだった。
「その心はだ」
「そうですか」
「ならそのまま二人で生きるのだ」
強い、確かな声で二人に告げた。
「いいな」
「二人で、ですか」
「私達で」
「そうだ。そうしろ」
また二人に告げた父だった。
「そしてだ。義正」
「はい」
「安心していい。勘当やそうしたことはしない」
このこともだ。保障するのだった。
「絶対にだ」
「絶対にですか」
「御前は悪いことをしていない」
だからだ。それはないというのである。
「それでどうして御前を勘当したりするのだ」
「お父様・・・・・・」
「御前はこのまま我が家の為に働いてもらう」
このことも話すのだった。
「そうしてくれ。いいな」
「わかりました」
義正は父のその言葉に頷く。そうしてだ。
二人は許されたのだった。その交際を。そしてであった。
真理の両親のところにも行く。そこでもだった。二人は許されたのだった。
彼等に許されてからだ。二人はだ。互いにマジックで話すのだった。
今日もクラシックの音楽が流れている。その店の中でだ。義正は真理に話した。
「これで、です」
「そうですね。私達は」
「晴れて結ばれます」
こうだ。義正から言うのだった。
「結婚です」
「結婚ですね」
「二人で。添い遂げましょう」
「はい、二人で」
「最早私達を阻むものはありません」
少なくともだ。結ばれることについてはだった。
「それでは」
「その日時や場所は」
「それはこれからです」
「これからですか」
「正式な日時や場所はこれから決めることです」
「他に決まっていることは」
「私達が結ばれることです」
そのことはだ。既にだというのだ。
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