儚き想い、されど永遠の想い
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185部分:第十四話 忍び寄るもの十一
第十四話 忍び寄るもの十一
「貴女と二人で」
「御父上と御母上にですね」
「会うことを決意していました」
「純粋。そして情熱ですか」
「私達はそのそれぞれの心にあるものを持ってです」
そしてだ。さらにだった。
これもだ。あるというのだった。
「勇気もまた」
「それもですね」
「私達は純粋と情熱にです」
「勇気も併せ持って」
「そのうえで向かうのです」
「そうなのですね」
義正の言葉を聞いてだ。真理は。
静かに頷きそのうえで。足を一歩前に出した。
その真理を義正は迎え自分で門を開けた。そうしてであった。
屋敷の中に導いた。まずは森だった。
欧風の庭園である。左右対称でそこには薔薇を中心として様々な花が咲き誇っている。そうした花を見ながらだ。真理はこう義正に話した。
「不思議なのは」
「不思議といいますと」
「私のこの服にです」
そのだ。緋色の服にだというのだ。
「出ているものですが」
「情熱ですね」
「自分では。情熱というものはです」
どうかというのだ。自分の口でだ。
「少ないと思っていましたが」
「それが違っていたというのですね」
「そうなりますね」
こう義正に話すのだった。緑の中に紅や蒼、それに白が咲き誇る庭の中を進みつつ。左右対称のその庭はその緑が幾何学に描かれだ。それも美を見せている。
「自分では気付いていませんでした」
「情熱といってもです」
「一つではありませんか」
「様々な形の情熱があるのでしょう」
これが義正の今の真理への言葉だった。
「静かな情熱、高貴な情熱もあります」
「高貴なですか」
「緋色。普通の赤よりも高貴です」
「そういえば以前は帝が着られていましたね」
「はい、そうした色でした」
平安からの慣わしである。日本では帝は緋色の衣を着られていたのだ。支那の皇帝の黄色とだ。大体同じ様な色になっていたのだ。
「ですから。緋色はです」
「高貴の色」
「はい、高貴な情熱です」
それだというのである。
「そうなります」
「高貴な情熱ですか」
「それが真理さんの情熱です」
微笑んで話す義正だった。
「それが服に出ているのです」
「そうですか。私は」
真理は義正の言葉に戸惑いながらも頷いた。そうしてだ。
そのうえでだ。今度は彼女からだ。義正に言うのであった。
「義正さんも」
「私もですか」
「白は純粋でしたね」
「はい」
その通りだとだ。義正は頷いて答えた。
「その通りです」
「では。義正さんの純粋は」
「私のそれは」
「洋服ですから」
彼の服からだ。真理は話すのだった。
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