儚き想い、されど永遠の想い
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181部分:第十四話 忍び寄るもの七
第十四話 忍び寄るもの七
彼はだ。義正にこの食べ物を勧めたのだった。
「アイスクリームはどうでしょうか」
「あの白く冷たいお菓子だね」
「はい、西洋のです」
この時代にだ。アイスクリームも定着してきていたのだ。
「それは如何でしょうか」
「いいね」
話を聞いてだ。義正も笑顔で話した。
「それじゃあアイスクリームを食べようか」
「丁度いい具合にそこに店があります」
砂浜の入り口にだ。それがあるというのだ。
「そこに入りましょう」
「あれは出店だね」
見ればだ。あまり大きくはない。そこには三十位の男が明るい顔でだ。それで店に来る者に笑顔で商品を売っているのだった。
それを見てだ。義正は話した。
「あそこに入るんだね」
「立ったですが宜しいでしょうか」
「うん、いいよ」
それもいいとだ。義正は微笑んで佐藤に答えた。
「それじゃあね」
「ではあちらに」
こうしてだった。二人はだ。
その出店に向かいだ。アイスクリームを買うのだった。一人一つずつだ。買ってそのうえでだ。二人はその場でだ。それを食べはじめた。
買ったアイスを食べてだ。まずは義正が言った。
「いいね」
「はい、美味しいですね」
「そうだね。アイスクリームはね」
「お好きでしたか」
「お菓子は好きだから」
だからだとだ。義正は言うのだった。
「だからね」
「そういえば旦那様は」
「甘いものは好きだよ」
そうだというのである。
「それは知っているね」
「子供の頃からですね」
「確かにお酒も飲むけれど」
「日本酒も。ワインも」
「今はワインの方がいいかな」
こう話すのだった。
「そちらの方がね」
「ワインがお好みですか」
「飲みやすいしそれに」
「それに?」
「日本酒の後や前だと甘いものは駄目だからね」
だからこそ日本では酒を飲む人間は甘いものが駄目な人間が多いのだ。ただ明治帝の様にどちらもいけるという人物もいる。
「けれどワインはそうではないから」
「だからですか」
「うん、だからだよ」
それでだと話す義正だった。
「最近はワインがいいね」
「それだと海のものが駄目ではありませんか?」
佐藤もワインについては知っている。そうして話すのだった。
「あれはどうも海のものには」
「それは赤だね」
「赤ワインですか」
「海のものには白いワインがいいんだよ」
そうだというのである。
「白ワインもあるから」
「では魚介類等には白ワインですか」
「そうだよ。白だよ」
またそれだと話す義正だった。
「肉類や伊太利亜のパスタには赤でね」
「成程、赤と白で分けられるのですね」
「例えばこのアイスクリームには」
そのだ。アイスクリームを食べながら話す義正だった。冷たい、子オチに近い冷たさとそれに甘さがだ。義正の口の中を支配していく。
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