気は優しくて
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第三章
ビルを直撃し大爆発を起こした、そうして会社にいたジャビット団の者達も社長も列車に乗っていた面々も爆発の中に消え去った。
悪は成敗された、だがそれ以上にだった。
子供達はわかった、どうしてマンモスが突進して列車を吹き飛ばしたのかを。
「一匹の蝸牛を護る為に」
「あえて突っ込んだんだ」
「全速力で来る列車に」
「そうしたんだ」
「最初から列車を止めるつもりだったよ」
ホームに戻って来たマンモスは子供達に答えた。
「僕なら止められたから、けれどね」
「蝸牛を護る為になんだね」
「マンモスさんは突っ込んだんだね」
「止めるより先に」
「そうしたんだ」
「考えるより先にね」
まさにというのだ。
「動いてしまっていたよ」
「それは凄いね」
「考えるより先に動いたなんて」
「蝸牛を護る為に」
「そうしたなんて」
「命を護らないといけないから」
だからだというのだ。
「僕は動けてよかったよ」
「いつもそう思っているからだね」
「考えるより先に動けたんだ」
「それがマンモスさんなんだね」
「いつも大阪と僕達を護ってくれていて」
「そしてどんな生きものでも」
「どんな生きものも大事にしないとね」
マンモスは子供達にそのとても大きな身体から話した。
「一寸の虫の命も僕達の命も同じだよ」
「生きているからだね」
「皆の命は同じだね」
「そうなんだね」
「誰の命も」
「そうだよ、僕はこれからも護っていくよ。皆の命をね」
大阪の街と共にとだ、マンモスは約束した。その大きな手の中には彼が護った一匹の蝸牛が動いていた。
他の二十六戦士達が来た時にはもう戦いは終わっていた、奈良の鉄道会社も悪徳社長が成敗されたことにより元の正しい会社に戻ることが決まった。そうして奈良の平和も取り戻しジャビット団の降べきも退けてだった。
大阪の平和は護られた、だがマンモスはそのことを誇ることなくだった。
蝸牛を安全な場所に置いてから子供達と一緒に遊んだ、その笑顔はとても優しいもので彼と一緒の遊ぶ子供達も言った。
「マンモスさんみたいないい人いないよ」
「まるで神様みたいな人だよ」
「誰よりも強くて優しくて」
「こんな立派な人いないよ」
彼等はわかっていた、驕らず誰よりも優しい彼がどれだけ素晴らしい戦士かということを。その彼といつも遊んで一緒にいるからこそ。そうして今も共に時間を過ごすのだった。
気は優しくて 完
2018・1・21
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