転生とらぶる
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ペルソナ3
1942話
店で用意して貰った服は、桐条グループが用意してくれたというだけあって、かなり上質なものだった。
服の善し悪しというのが殆ど分からない俺であっても分かるのだから、相当のものだろう。
布地とか、これ何で出来ているのやら。
……もしかして、影時間の研究で得られた技術を流用して生み出された特殊な生地だと言われても、俺はそこまで驚かない。
実際、桐条グループの中ではそういう技術を応用して利益を上げている部門もあるらしいし。
ともあれ、服を着替えた俺は、再び桐条と共に黒塗りの高級車に乗って銀座に向かう。
何だかんだと色々時間が掛かった事もあり、既に太陽は完全に沈んで暗くなっていた。
まぁ、夕食と考えれば、そこまでおかしな事でもないか?
「ふふっ、似合っているな」
俺の方を見て、満足そうに告げる桐条。
これで馬鹿にしたように笑っているのであればまだしも、俺を褒める口調は正直なものだ。
心の底からそう思っての発言なのは、間違いなかった。
「そうか? ……正直、こういう堅苦しい服ってのはあまり好きじゃないんだけどな」
「勿体ないな。……っと、そろそろだ」
車の窓の景色から、目的の店が近づいているのを悟ったのか、桐条が嬉しそうにそう告げる。
……これで、俺と食事を出来るのが嬉しいのであれば、こっちも色々と思うところがあるんだが、実際には父親との食事を楽しみにしての嬉しそうな笑みだからな。
そうして停まった車から降りた俺が見たのは……
「うん、期待は出来そうだな」
銀座ともなれば、まさに日本の中でも一等地中の一等地と言ってもいい。
それこそ、銀座で店を構えるとなると、自分の土地があるのならまだしも、賃貸ともなればどれだけの額になる事か。
そんな銀座で、かなりの大きさを持つ中華風の建物。
実際にこれが中華風の建物なのか、それともイメージ的な意味で中華風なのか。
その辺りの事情は分からないが、ともあれかなりの規模であるのは間違いない。
それだけの店構えで、更には桐条の父親お勧めの店ともなれば、これで期待しない方が嘘だろう。
正直なところ、桐条の父親に対しては大きくマイナスの印象からのスタートだったのだが、0とまではいかずとも、かなりマイナスの値が小さくなったのは間違いない。
勿論実際に食べた料理が、外見だけで味は最悪とか、美味い料理と引き替えに何らかの要求をしてくるのであれば、また印象は大きくマイナス方面に下がっていくだろうが。
「さて、では行こうか」
そんな店構えを見ても特に驚いたりしない辺り、桐条グループの令嬢という立場だけの事はある。
ともあれ、俺も今まで豪華な店やホテルといった場所には何度も行った経験がある。
この程度の店で精神的に後れを取る……などという事はなかった。
桐条に導かれるように店の中に入ると、予想外な事に……もしくは桐条グループの規模を考えれば当然なのかもしれないが、他に客の姿はない。
つまり、これは今回の一件で店を貸し切りにしたという事なのだろう。
銀座の一等地にある、ここまで大きい店を貸し切るというのは、今夜だけの為に相当の金が動いたのは間違いない。
いや、金だけではなく、今日この店を利用しようとした客に対しても色々と話を通す必要があった筈であり、そう考えれば金だけで済む筈がない。
もっとも、これは別に桐条グループがどれだけ金を持っているのかというのを、暗に俺に見せつける……といった意味もあるが、それ以上に桐条の父親の身の安全を守る為や、何より俺という存在と会っていた事を、出来るだけ隠そうという意味もあるのだろう。
……まぁ、ここが中華料理店である以上、料理を持って来る者が俺の姿を見れば、完全に隠し通せるという事もないだろうが。
「お待ちしてました、お嬢様。旦那様は既に奥の部屋でお待ちですので、そのままお通り下さい」
そう言い、こちらに頭を下げてきたのは……メイド? それも、いわゆるメイド喫茶とかにいるようなメイドではなく、本物のメイドだ。
なるほどな。
まさか、中華料理店でメイドが働いている……などという事はないだろう。
勿論そういう店であれば、メイドが働いている可能性もなくはない。
だが、ここは銀座なのだ。
そういう店である筈がない。
ましてや、俺の視線の先にいるメイドは40代、もしくは50代といったような熟練のメイドで、とてもではないがメイド喫茶とかそういう場所で人気のあるメイドではない。
そして何より……今このメイドは、桐条に向かってお嬢様と口にしたのだ。
その事が、このメイドがどのような人物なのかというのを示している。
なるほど。この店の中に誰も店員がいないのはそういう理由な訳だ。
確かにメイドが料理を運べば、桐条の父親と俺が会っても、それを知られるような事はない。
勿論、本当にその辺りの事情を知りたいと思えば、俺が服を着替えたあの店に連絡を……いや、あの店も結構な高級店だ。普通であれば、客の情報を外に漏らすような真似はしないだろう。
ましてや、俺はこのペルソナ世界でも有数の巨大財閥桐条グループの客なのだから、そのような真似をすれば桐条グループそのものを敵に回してしまう事になる。
となると、情報漏れの心配は基本的にしなくてもいい訳だ。
勿論いざという時の備えを怠る訳にはいかないが。
ともあれ、俺と桐条はメイドに案内されて、店の奥にある部屋に向かう。
恐らくVIP用の部屋なのだろう。
銀座にある高級店という事を考えれば、普段は一体どんな人物が使っている部屋なのやら。
「失礼します、旦那様。お嬢様とアクセル・アルマー様がおつきになりました」
「入ってくれ」
部屋の中から聞こえてくる声に、メイドは扉を開ける。
そうして目に入ったのは、回転テーブル……ターンテーブルといったか?
中華料理店にはつきものの、それだった。
……もっとも、以前TVでやっていたのだが、このターンテーブルを開発したのは中国ではなく、日本らしい。
それが今では中華料理にとってなくてはならない物になっている辺り、色々と興味深い状況ではある。
そして、テーブルの向こう側には1人の男の姿があった。
右目に眼帯をしているのは、こういう立場の高い者にしてみればかなり珍しいだろう。
普通なら義眼とか……それどころか、影時間から得た技術で眼球の移植とか培養とかくらいは出来そうなものだが。
その桐条の父親は、部屋の中に入ってきた俺達を……いや、俺を見て、口を開く。
「まずは座って欲しい。それから自己紹介といこうか」
へぇ。
高圧的に出てくる可能性も考えていたのだが、予想以上にこちらに対して丁寧な対応だ。
桐条グループを率いている者として考えれば、いっそかなり意外と言ってもいいだろう。
ともあれ、いつまでもこうして立っている訳にもいかないので、俺と桐条は揃って椅子に座る。
それを見計らったかのように、俺達をここまで案内してきたメイドが、俺の前にウーロン茶の入ったコップを置く。
俺が紅茶なりウーロン茶なりを好んで飲むと、知っているからこその行動だろう。
そして同じウーロン茶を桐条の前に置くと、頭を下げて部屋を出ていく。
話の邪魔をしないようにとの行動だろうが、随分手慣れていると言ってもいい。
そうしてメイドが出ていってから数秒、最初に沈黙を破ったのは桐条の父親だった。
「さて、ではまずは改めて自己紹介と行こうか。私が君と親しい美鶴の父親にして、桐条宗家の当主……君に分かりやすく言えば、桐条グループの総帥、桐条武治だ」
「アクセル・アルマーだ。よろしく」
肩書きを名乗ってきた向こうには悪いが、まさかシャドウミラーという名前をここで出す訳にもいかないしな。
「君の事は美鶴や幾月からも色々と聞いている。正直なところ、シャドウを相手にしてペルソナ以外の戦力で対抗出来るとは思わなかったが」
そう言いながらも、どこか疲れた溜息を吐く。
まぁ、桐条にしてみれば俺の存在は完全にイレギュラーだったのだろうから、そうなってもおかしくはない。
「そうだな。正直なところ、俺もシャドウなんて存在がいるとは、思っていなかったよ」
「……では、君はシャドウに関してはこの地に来るまでは知らなかったと?」
「そうなるな。……まぁ、俺がここに来たのも、ある意味偶然に近いものだったが」
実際、俺がこの世界に来たのは本当に偶然だ。
ゲートが妙な具合に反応した結果なのだから、偶然以外の何物でもないだろう。
敢えて言うのであれば、運命の悪戯といったところか?
「ふむ、偶然か。……だが、影時間については? シャドウに関しては、この地にいなければそう会う事もないだろう。だが、影時間については……この地にいないくても、存在した筈だと思うが」
「そうなんだろうな。ただ、俺が影時間について認識出来るようになったのは、ここに来てからだ」
「……偶然この地にやってきて、偶然影時間への適性を手に入れた、と?」
「そうなるな」
偶然が3つ重なれば必然と言うが、幸い今はまだ2つだ。
……偶然魔法を使える俺が、という要素を加えれば3つになってしまうのだが。
「……そうか」
まだ何か言いたそうだったが、ここで無理に何かを言っても意味はないと判断したのか、追求はない。
実際、俺が怪しいというのは、俺自身が一番知ってるしな。
そう思っていると、部屋の扉がノックされる。
「失礼します。お料理の方をお持ちしましたが……構わないでしょうか?」
「ん? ああ、頼む」
一瞬こちらに向けられた視線に頷きを返すと、すぐに桐条の父親は扉の外に向かってそう告げる。
すると先程のメイドと、それ以外にも何人かのメイドが姿を現し、ターンテーブルの上に料理を置いていく。
そこにはエビチリ、酢豚、麻婆豆腐、青椒肉絲 回鍋肉、フカヒレの姿煮……といったように、俺でも知ってるような中華料理から、名前も知らないような中華料理も含めて幾つも並べられていく。
続いて一羽分の鳥の焼かれた物が出てくると、それを最初に俺たちをここに案内したメイドが切っていく。……ああ、北京ダックか。
北京ダックを切ったり、それを餃子の皮よりも薄い生地に他の具と共に包むといった手法は、ある程度専門性が必要となる。
だが、メイドは特に苦労することなく、それを行っていた。
……メイドって凄いな。
ちなみに、北京ダックそのものは、以前四葉に食べさせて貰った事があるので、これが初めてという訳ではない。
「どうぞ」
メイドに促され、北京ダックを口に運ぶ。
薄い生地の感触の後に、北京ダックの濃厚な味付けが広がり、それを次の瞬間には一緒に生地に包まれている野菜が和らげる。
ちなみに、普通北京ダックといえば皮だけをこうして食うのだが、今回に限っては俺の食欲を考えてか、皮と一緒に肉もそれなりに切り取られていた。
これまでの手際を見る限り、技量不足で皮だけを切り取る事が出来なかったというのは考えられない以上、最初からそのつもりだったのだろう。
そして、俺にとってはそっちの方が嬉しいのも事実だ。
水餃子やシュウマイ、中華まんといった点心の類も、ターンテーブルの上に乗せられていき、取り皿や箸、レンゲ、各種タレを置いて行くと、メイド達は再び部屋から出ていく。
そうしてまた部屋の中に3人になったところで、再び桐条の父親が口を開く。
「さて、折角の料理だし、冷めないうちに食べてしまおう。北京ダック以外の料理もお勧めだぞ。アルマー君はかなりの健啖家だという話を聞いているし、喜んで貰えるといいのだが」
そうして、食事が始まる。
最初の会話から堅苦しい食事会になるのかと思っていたが、実際に食事が始まってしまえばそんな事はない。
……まぁ、向こうだって別に俺を不機嫌にさせたいって訳じゃないんだから、それも当然だろうが。
「あ、桐条、そのタレを取ってくれ」
「うん? これか?」
「何だ?」
……俺の呼び掛けに、父親と娘の2人が揃って反応する。
「あー……悪い。娘の方だ。けど、こうなるとちょっと困ったな。同じ名字が2人いるとなると……」
「では、私の事は美鶴と呼んでくれ。私もアルマーではなく、アクセルと呼ぶからな」
俺の言葉に、桐条――娘の方――がそう言ってくる。
父親の方に視線を向けても、特に何も思っている様子はない。
「いいのか?」
「構わない。私は色々とアルマーに……いや、アクセルに助けられている身だからな。名前で呼ぶくらいなら何も問題はないさ」
という訳で、俺はこれから桐条の事を美鶴と呼び、美鶴からはアクセルと呼ばれる事になるのだった。
後書き
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1435
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.10
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1389
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