FAIRY TAIL~水の滅竜魔導士~
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帰ってきたマグノリア
前書き
寒波がすごいですね、私の住んでるところも雪で毎日雪かきが大変ですorz
それから数日後、俺たちは妖精の尻尾再建のため、以前ギルドのあったマグノリアへと戻ってきていた。
「うぉー、懐かしいなー」
「見てー、カルディア大聖堂が直ってるよー」
冥府の門との戦いで壊れてしまった街は1年の歳月を経て元通り直っていた。
「1年前はひどい有り様だったのに」
「この街はたくましいわね」
ウェンディとシャルルの言う通り、この街は本当に強い。クロッカスもそうだけど、このフィオーレ王国はみんな心が強いと思う。あれだけ荒れ果てた土地を元に戻すのは容易いことではないはずだ。
「グレイさんたちはもう来てるのかな?」
「さ~?もっと遅くなるんじゃない~?」
今この場にいるのは俺、ウェンディ、シャルル、セシリー、ルーシィさん、ナツさん、ハッピー。他の皆さんはそれぞれ報告やら身辺整理やらがあるようで一旦戻り、このマグノリアで落ち合うことになった。
「でもゼレフを呼び寄せるために人を殺す・・・ね」
「うん。そんなことできるはずないのにね」
逮捕された黒魔術教団の目的は黒魔導士ゼレフを呼び寄せるために街の人たちを皆殺しにすることだったんだって。そんなことしても出てくるはずないと思うけど・・・
「・・・」
そんなことを話ながら歩を進めていると、ルーシィさんが何やら遠い目をしていることに気が付く。
「ルーシィさん大丈夫ですか?」
「え?」
「なんか元気ないですよ」
「具合悪いんですか?」
せっかくマグノリアに帰ってきたのにここまで彼女は無言を決めていた。体調でも悪いのかと声をかけると、彼女は笑顔を作る。
「ううん、何でもない。久しぶりでちょっと思い出に浸ってた」
無理矢理作られた笑顔であることはすぐにわかった。だけど、話したくないから彼女はそう答えたのだろうから、これ以上追及するのはやめた方がいいか。
「あまり触れない方がいいわ」
「うん。久しぶりだしね」
ウェンディと俺にそれぞれ抱えられているシャルルとセシリーの言葉に賛同し、ナツさんの横へと並んでこの先にあったギルドの跡地へと向かう。もうまもなくというところで、後ろを歩く少女の足が止まったことに気が付き、俺たちは振り返った。
「どうしたの?ルーシィ」
「ギルドはもうこの先だぞ」
キョトンとした顔のハッピーとナツさんがそう言うと、彼女は顔を俯かせる。
「あたし、この先へ行くのが怖い」
突然の弱気な発言に俺とウェンディは顔を見合わせる。
「ギルドが残ってないからか?」
「・・・」
「建物なんかどーとでもなる。ここから始めるんだ」
ギルドが解散したことで冥府の門に破壊された建物は何も手をつけていない。それがルーシィさんの不安材料なのかと思っていたが、どうやら違うらしい。
「残ってるか不安なのはみんなの心・・・突然ナツが現れて妖精の尻尾復活だーっていう話になって、あたしちょっと舞い上がっちゃって・・・
1年間1回も連絡取ってなかった仲間たちに手紙を送ったの、所在がわかる人だけだけど・・・妖精の尻尾を復活させるためにマグノリアに集まろうって」
裏で彼女がそんな風に動いていたとは知らなかった俺たちは驚きを隠せない。しかし、それゆえに彼女の顔が暗い理由は想像できる。
「冷静に考えれば、みんなそれぞれ自分の道を進んでる。あたしたちの想いがみんな一緒かはわからない。みんな・・・もうギルドのことなんか忘れてるかもしれないし・・・あたし・・・」
「1年くれーで忘れるかよってんだ」
小刻みに震え、今にも泣き出しそうになっていた彼女の後ろから腕を回した女性。そこには酒瓶を片手に1年前とは服装も髪型も変わっているカナさんがいた。
「カナ!!」
「カナさん!!」
「お久しぶりです!!」
懐かしい顔にやはり喜ぶ気持ちを抑えられない。ほろ酔い気味のカナさんは俺たちに手を振る。
「よぉーっ、ナツ、ハッピー、シャルル、セシリー。あ!シリルとウェンディ、ちょっと大きくなったんじゃない?」
「いや・・・その・・・」
「特に変わりは・・・」
みんなから大きくなったか聞かれる度に答えなければならないのが辛い。なんで身長伸びないのかな?本当にイヤな予感がしてならないんだけど・・・
「相変わらずチチでけーな」
「カナ・・・」
ルーシィさんの胸を揉みしだいているカナさん。ルーシィさんはその手を払うと、1年ぶりの再会に感慨深そうな顔をする。
「いやー、この1年は私にとつても充実してたねー。とりあえずギルダーツでも探そうと思って旅してたんだ。手紙を受け取れたのは運がよかったよ」
お父さんであるギルダーツさんを探して旅をしていたため、ルーシィさんの手紙が受け取れるかどうかはかなり微妙だったようだが、彼女はそれを見せながら歯を見せて笑う。
「みんな似たようなもんだろ?」
「!?」
意味ありげな彼女の言葉にルーシィさんは戸惑っている。カナさんは半分ほどしか入ってない瓶に口を付けると、それを一気に飲み干していく。
「特に私はガキの頃からギルドにいたからね。突然解散なんて言われても意味わかんねーっつーか、どうやって食っていくのかさえよくわからなかった。まぁ、いい人生経験にはなったよ」
酒を飲み終えて一息付く。その顔は茶化そうというものではなく、優しげな、お姉さんのような顔だった。
「みんな違和感みたいなのは持ってたんだ。だから連絡する勇気もなかった。それをお前が打ち破ってくれたんだ、ルーシィ」
恥ずかしいような顔をしているルーシィさんと楽しそうに笑顔を溢すナツさん。カナさんは酒瓶を右手から左手に持ち変えると、ルーシィさんの手を取る。
「来いよ!!みんな待ってる!!」
「みんな?」
走り出してギルドの跡地へと駆け出す2人。その後ろを付いていくと、そこにはかつての仲間たちが大集合していた。
「おー、久しぶりー!!」
「髪伸びたなー、ルーシィ」
「ナツたちが帰って来たゾー!!」
「ルーシィ、手紙受け取ったぜー」
「王都じゃ派手に暴れたんだってなー」
「シリル、ウェンディ、元気ー?」
「ハッピーにシャルルにセシリーも」
一瞬何がなんだかわからず固まる金髪の少女。しかし、すぐに正気に戻ると全員の顔を見回す。
「ウォーレン!!」
「小型通信魔水晶作ったのは俺よ」
「ナブ!!」
「週ソラ読んだよ」
「実はジュビアも」
「ウィ」
「元気かよー」
「リーダス!!マックス!!アルザック!!ビスカ!!アスカちゃん!!」
「また会えるなんて夢みたいだよ」
「アスカ少し大きくなったよ」
「エルザさん、お久しぶり」
「元気そうだな、家族揃って」
「ジェット!!ドロイ!!」
「チームシャドウ・ギア再結成!!」
「あはは、評議院抜けてきちゃった」
「ギヒ」
「「「評議院にいたのかー!?」」」
「マカオ!!ワカバ!!ロメオ!!ラキ!!ビジター!!」
「髪切ったか?」
「うん、バッサリ切断した」
「再会の舞~」
「私も魔法覚えたんだよ」
「キナナ!!」
高まってくる気持ちにどんどん震えが止まらなくなって来ていると、それに追い討ちをかけるようにあの三きょうだいが現れる。
「漢の再会だー!!」
「ナツー、ルーシィ、ハッピー、久しぶりー」
「リサーナ・・・エルフマン」
懐かしそうに迫ってくる2人に涙目になっていると、目の前には優しい笑顔を見せる銀髪の女性の姿。
「ミラ・・・さん」
「おかえりなさい」
塞き止められていたものが壊れたようにボロボロと涙を溢すルーシィさん。
「ただ・・・いま・・・」
彼女はやっとのことでそう言うと、手で顔を覆い大声を上げる。
「ただいまぁ!!」
響き渡る彼女の泣き声。それに俺とウェンディも感動し、もらい泣きしそうになる。
「お!あったあった」
その最中、ギルドの跡地を漁っていたナツさんが目的の物を発見したらしくそれを引き上げる。
「ボロボロだけどいっか。ギルドここに復活!俺たちが妖精の尻尾だ!!」
ついに成し得たギルドの復活。感動の再会に俺たちはその日、大いに盛り上がったのだった。
ギルド復活から5日後、俺たちは大きなクレーターになったままのギルドの跡地に集まっていた。
「仕事ってこれぇぇぇ?」
「文句言うなよ」
「早くギルド造らなきゃね」
巨大な丸太をフラフラしながら運ぶルーシィさんが愚痴ると、ナツさんとハッピーは重労働にも関わらず楽しそうに作業を進めていく。
「みんなで手分けすればその分早く完成する。マスターが帰ってきた時立派なギルドだとほめてもらうんだ」
設計を担当していると思われるエルザさんはこれまた生き生きとしておりなんだか楽しそう。でも、中には不安を抱えている人も多いようで・・・
「マスター・・・帰ってくるのかな?」
ラキさんが不安そうにそう呟く。ここに集まったのは以前までの妖精の尻尾メンバー全員という訳ではない。いない人も数人いるが、1番心配なのは全く連絡が取れないマスターだ。
「そのうち帰ってくるよ」
「帰ってこなきゃ探しに行けばいい」
「指名手配」
「犯罪者かよ!!つーか安いな」
だがそのことを楽観視している人も大勢いるのも事実なんだよね。リーダスさんなんか500Jを懸賞金に捜しだそうもしてるみたいだけど・・・
「ジュビア、そこの釘取ってくれ」
「はい、グレイ様」
「濡らすなよ・・・」
釘を打っていたグレイさんが下にいたジュビアさんに追加の釘をもらおうとすると、彼女は魔法でそれを彼の元まで上げる。でも、釘は鉄だから錆びるとダメなので、あの釘はもう使えないかもしれないな・・・
「おい、あの2人同棲してたって本当かよ」
「違うよ、結婚してたんだよ」
仲良さげな2人を見てそんなことを言っていたのはジェットさんと1年前より倍以上大きくなったドロイさん。それが聞こえたのか、違うところでも2人のことが話題に上がり始めた。
「子供もいるらしいぜ」
「俺の聞いた話じゃ愛人はルーシィなんだって」
「愛人!?」
「エルザとも密かに・・・」
「どんだけ尾ヒレついてんだよ!!」
根も葉もない話に思わず突っ込むグレイさん。エルザさんはともかくなぜルーシィさんまでそんなことになっているのか、どこから聞いたのか非常に気になるところだ。
「それに、一緒に暮らしてたってより住み着かれてたという方が・・・」
「フフフ」
「そ・・・そうか」
暗い話題になりそうな気がしたので別のところに目を向けてみる。そこではリサーナさんがかばんにたくさん入ったジュースを差し入れとして皆さんに配っていた。
「なんかこなれてるな」
「うん!!1年間ミラ姉とウェイトレスやってたからね」
ミラさんとリサーナさんはウェイトレスなんてやってたのか。彼女はボトルを指先で回しながらナツさんに得意気に話している。
「エルフマンも一緒に!?」
するとハッピーがとんでもないことに気が付いた。3人きょうだいであるリサーナさんたちの中にはエルフマンさんもいる。彼もウェイターとして働いていたのでは心配した彼はそう聞くが、リサーナさんは目をそらしながら答えた。
「エルフ兄ちゃん『漢の修行だ~!!』ってどこかに行ってたよ」
「ほう。後で手合わせしてみるか」
「なんなら今すぐでもいいんだぜ?」
「エルフ兄ちゃん」
指をボキボキ鳴らしながらナツさんの前に現れるエルフマンさん。それに答えるようにナツさんも勝負の体勢に入った。
「レビィさん、何してるんですか?」
「すごい悩んでるみたいですけど・・・」
みんな忙しなく動いている中1人座って何か紙とにらめっこしているレビィさんにウェンディと共に声をかける。
「ちょっと書類の整理をね。ギルド復活っていっても実は言葉だけじゃどうにもならないの。評議院認可されなきゃ闇ギルドと同じだからね」
彼女はどうやら評議院に提出する書類の整理に追われていたらしく、難しい顔をしていたようだ。
「ま・・・その点に関しては俺たちが1年かけて根回ししておいたからな」
「気が利くじゃない」
「さすがリリ~!!」
「だから表向きにも妖精の尻尾は完全復活といえる」
「ありがとうございます、レビィさん」
「え?泣いてる?」
あまりにも準備が良かったことに感動したのかウェンディが涙を流しながら喜んでいる。でも、順調なはずの復活なのにレビィさんの顔はなかなか晴れない。
「後は・・・この欄を埋めるだけなんだけど・・・」
「迷うわね」
「迷う?」
「何がですか?」
一体何に迷っているのかわからずにいると、レビィさんからその理由を聞かされ納得した。
「7代目ギルドマスターを誰にするか」
「あぁ、なるほど」
「7代目ギルドマスター」
まだマスターがいないこともありその欄に誰かを入れなければならない。しかし誰がいいのか悩んでいたらしく、なかなか作業が思ったようにいかないようだ。
「別に俺は・・・どうしてもっていうなら・・・」
「父ちゃんはやめてくれ!!」
「ギルダーツでいいじゃねぇか」
「あんなどこほっつき歩いてるかわからねー奴をマスターにできるか!!」
後ろでは以前マスターを務めていた2人の名前が上がっているがそれはすぐさま却下。どちらも適任とは言いがたいし、仕方ないだろう。
「6代目が帰ってくるまでの暫定でしょ?誰でもいいじゃない」
「賛成~!!」
「俺も同意見だ」
シャルルのもっともな意見。俺もそれに賛同しようとしたけど、他のメンバーは納得できていない。
「でも・・・今回は今までのギルドとは違う。6代目がいないこいつらを誰がまとめられるのかって話さ」
荒くれ者の集団である妖精の尻尾はいつでもどこでも乱闘が起こる。現にナツさんとエルフマンさんの戦いが始まったと同時に回りは歓声をあげ、どんどん人が参加していく。
ゴンッ
「ミラさーん!!」
「きゃああああ!!」
それを微笑ましそうに見ていたミラさんの頭部にビンが直撃!!そろそろヤバイかもと思い始めていたところで、強烈な渇が入った。
「仕事しろ」
「「「「「・・・」」」」」
あまりの威圧感に大騒ぎだったナツさんたちも押し黙る。それを見てぽかーんとしていた俺たちとは反対に、レビィさんの頭の中ではある結論に至っていた。
「やっぱりこれしかないよね。7代目ギルドマスター、エルザ・スカーレット」
その判断には皆賛成しないわけがない。この荒くれ集団を手懐けられるのは彼女くらいのものだ。
「ちょ・・・ちょっと待て・・・私がマスターだと?それは・・・」
「お前しか適任者はいねーだろ」
突然の任命にあわてふためいていたエルザさんにそう声をかける1人の男性。
「お前は・・・」
「えーと・・・あれ?」
「どこかで見たような・・・」
「誰でしょうか?」
「いや・・・うちのメンバーだ・・・だが名前が思い出せない?」
謎の男の登場に皆困惑している。彼はそんなことなど気にするそぶりも見せずに話を続ける。
「この時を待っていた。みんなが再び集うこの時を。6代目マスターマカロフを助けられるのはお前たちしかいない」
そういった彼は以前評議院にいたドランバルトさんだった。
後書き
いかがだったでしょうか。
かなり早いテンポで進む今ストーリー。アルバレス編の戦いに早く入りたい気持ちが強すぎる(笑)
原作と変わらないところははしょりながら進みます。ご注意ください。
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