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レーヴァティン

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第三十八話 オーロラの下でその一

               第三十八話  オーロラの下で
 一行はさらに北に進んでいった、すると大きな湖対岸が全く見えない位の巨大な湖のほとりに出た。その湖のほとりに着いてだ。淳二が言った。
「バレンツ海だよ」
「海かよ」
「そう、海っていうけれどね」
「実はだよな」
「湖だよ、その北の方だよ」
「そうか、そういえばこの湖にもだよな」
「仲間の話があるね」
「バイキングのな、けれどな」
「バイキングは後だね」
「まずは六人目のな」
「斧を持っている仲間をね」
「探さないとな」
 そちらの者をというのだ。
「折角手掛かりだって聞いてるしな」
「手掛かりのある方を優先だね」
「優先順位はしっかりさせないとな」
「何もわかっていない仲間かもわからない人を探すよりはね」
「そっちだろ」
 手掛かりのある者の方をというのだ。
「探すべきだろ」
「おいらもそうだと思うよ」
「だったらな」
「今からだね」
「ああ、探そうな」
 斧を使うという六人目の仲間らしき者をというのだ。
「まだな」
「それじゃあ湖はだね」
「後回しだ、じゃあとりあえずはな」
「あの村に入りましょう」
 順一は彼等から見て左手にある湖の岸辺の村を指差してそのうえで久志に言った、銀世界の中にツンドラを背にしてある小さな村を。
「あちらの村に」
「あそこで情報を集めるか」
「そうもしましょう、小さな村ですが」
 それでもというのだ。
「人がいますと」
「情報が聞ける可能性があるからな」
「しかもあの村は漁村の様です」
 見れば村の岸辺には波止場がある、そこには結構な数の小舟が停泊している。
「小舟達も手入れされているので」
「人がいるのは間違いないか」
「ですから」 
 それ故にというのだ。
「今はあの村に入って」
「そうしてか」
「人から何かとお話を聞きましょう」
「六人目のこと以外にもな」
「この辺りのことも、そして」
「そして?」
「後ろから感じますね」
 ここで剣呑な顔になって囁いた順一だった。
「近頃全く遭遇していませんでしたが」
「ああ、奴等だな」
「この気配間違いありません」 
 久志だけでなく他の仲間達にも囁いた。
「巨人です」
「この冷気凄いな」
 正は後ろから迫るこの感触を言った。
「ってことはな」
「巨人は巨人でもね」
 源三も笑っているが目は警戒しているものだ。
「霜の巨人だね」
「その噂のな、じゃあな」
「そのこと注意して戦おうか」
「そうするか、じゃあ今からはじめるか」
 正は久志に尋ねた。
「振り向き様にな」
「ああ、それでやるからな」
 久志もこう正に答えた。
「全員でだ」
「振り向き様に一撃浴びせるか」
「それで機先を制してな」
 戦いのそれをだ。
「一気に攻めていこうな」
「そのやり方でな」
 こう話してだった、一行は実際に振り向き様に一撃を放った、そうして青白い氷の身体を持っている全高二十メートルはある巨人達をだった。 
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