艦隊これくしょん~男艦娘 木曾~
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第四十六話
前書き
どうも、遅くなりましたが、龍田さんに村雨。改二おめでとう。
(因みに、この作品で改二なのは、北上に大井、時雨と夕立だけです。)
私―夕立こと、園崎 冬華は鼻歌を歌いながらスキップしていた。
理由は明白。拓海くんが久し振りにここに来てくれるからだ。
「ふんふんふーん、ふんふんふーん、ふんふんふーんふふーん。ふんふんふーん、ふふっふんふーん、ふんふんふんふんふーんっぽーい!」
サンタさんがやってきそうだけど、そんなことはどうでもいい。
前に来てからだいたい一ヶ月ぶりくらいっぽい?明日が待ち遠しくて仕方ない。
一ヶ月も(自主規制)や(自主規制)とか、全くできなかったからもう(自主規制)が(自主規制)で(自主規制)っぽい…………。明日まで我慢しないと…………。
「ラーラーランランララーラーン、ラーラーランランララーラーン、ラーラーラーンランランラーンラーンラーーーンっぽい!」
なんか、サードインパクトが起こりそうだ。
さて、私は今、お風呂に入るために着替えを自分の部屋に取りに行っているところだ。
いつもなら春雨も一緒なんだけど…………今日は晩御飯にすら来なかった。体調でも悪いっぽい?一回声を掛けてみよう。
私は軽い足取りのまま角を曲がって、自分の部屋のある廊下に差し掛かった。
そのまま私の部屋の一個前、時雨と春雨の部屋の扉をノックする。
「春雨ー?大丈夫?」
「…………夕立かい。入ってきて。」
すると、若干暗いトーンの時雨の声が聞こえてきた。
不思議に思いながら扉を開ける。
そこには、若干ピリピリした雰囲気を醸し出している時雨と、ボロ泣きしている春雨がいた。
「…………えっと、ケンカでもしたっぽい?」
一番あり得そうなパターンを言ってみる。実際、この二人がケンカしたらこんな結果になりそうだ。
「いや―むしろ、ケンカより厄介だけどね。」
時雨は吐き捨てるようにそう言ったりどうやら、時雨はあくまで部外者っぽい。
「ひっぐ…………えっぐ…………ぐすっ…………~っ!!」
春雨は、なにかを話そうとしているが、とてもじゃないけどそんなことはできそうにない。
その代わりに、時雨が口を開いた。
「…………木曾がさ、千尋に春雨が『始祖』なんだって話したんだってさ。」
…………言ったんだ。
多分、木曾なりに気を使っての事なのだろう。しかし、それならなぜ春雨は泣いてるっぽい?聞かれたくなかったとか?
しかし、実際はそんな生易しい理由じゃなかった。
「そしたら、千尋はさ……『だからどうした』って言ったらしいんだよね。」
それは、私たちからは出てこなかった言葉だった。
私たちと同じ姿。でも、人間じゃない。限りなくあいつらと似たような、化け物とも言われる存在。
心のどこかで、『違うもの』と思ってしまう。
異質。異端。異常。
例えば、よく春雨や千尋は潜って海の中道から奇襲を仕掛ける。
だけど、普通は艤装を装着した状態で潜ることなんてできるはずがない。
なのに…………千尋は。
「それがさ…………嬉しかったんだってさ。解放された、みたいな?」
時雨は苦虫を噛み潰したような顔でそう締めた。
…………私は、なんで時雨がイライラしているのかわかった気がした。私も、恐らく時雨と同じ理由でイライラしているから。
常に一緒にいるのに、春雨にそう言って励ませなかったこと。
人によっては無責任にも感じる千尋のセリフ。
ただ―時雨がイライラしているのは、それだけじゃ無いっぽい。
多分―春雨に腹を立ててるっぽい。
ほら、春雨って正直じゃない?『何があったの?』って聞けばあっさり話しちゃう。
で、時雨に話した。わざわざ誰にも話さずにベッドの中に居たのに…………。
春雨よ。そんなこと考えて無いだろうけどさ。それじゃ私たちへの当て付けにも聞こえるよ。そこまで気を回せるなら黙っとけよ…………。
時雨も、そんな意味でいってる訳じゃないってわかってるとは思うけど…………まぁ、うん。
「…………ほ、ほら!お風呂でも行くっぽい!そしたら全部、水に流せるっぽい!」
あ、いけないこと言ったっぽい。
重くて暗い雰囲気を嫌って言ったけど…………絶対やらかした。
予想通り、ピリピリした雰囲気を先ほどの三倍くらいに膨らました時雨。もはやオーラが見えてきそうだ。
「…………ごめん、私は、後にっ、しとく…………ぐすっ。」
春雨は、無理矢理笑顔を作ってそう言った。痛々しい笑顔だった。
…………ごめん、春雨。
「…………僕も後にしとく。それと、今日は夏樹のところに泊まる約束してたから。それじゃ。」
時雨はそう言うと、そばにおいてあった着替えやらタオルやらを手にとって立ち上がる。そのまま私たちの方を見向きもせず、外に出ていった。
…………ヤバイっぽい。本気でイライラしてる。木曾の本名言っちゃう位だ。過去最高レベルだろう。
「…………そ、それじゃあ、また明日!おやすみっぽい!」
「…………うん、おやすみなさい。」
私と春雨は、どこかぎこちない感じで挨拶を交わした。
そのまま私は、後ろ髪を引かれるような思いで部屋を出た。
―自室―
「―ということがあって!時雨は部屋に戻らないし、イライラしっぱなしだし、春雨はずっと落ち込んでるし、木曾は様子が変だし!どうしてくれるっぽい!!」
冬華はちゃぶ台をバンバン叩きながらプンスコ怒っていた。
…………え、これって俺が悪い…………のかな?
ぶっちゃけ、木曾以外は俺、全く関与してないよ?木曾なら自分一人で抱え込むだろうと狙ったのに…………。
春雨は事故だし。時雨に至っては俺にどうしろと。まぁ、原因が俺なのは認めるけどさ。
「しかもそんなこと言った次の日に寝坊で謹慎って!なんかもう色々最悪っぽい!」
「…………おう。それはうん、自分でも思った。」
でもさ、珍しい長門さんからの誘いだったしさ。断れねぇよ。
「どうにか皆のフォローをしてよね!案がなかったらそこのドラム缶に入れてコンクリで固めて沈めるっぽい!それじゃあ!」
夕立はそう言うと、部屋から勢いよく飛び出していった。
「…………おう。」
俺は一回立ち上がると、窓のそばに移動して外を見る。
…………ほんと、俺にどうしろと。
そんな感じで悩んでいると、窓にコツン、となにかが当たった。
「…………?」
俺は窓の下を見渡す。
窓の外には、神妙な面持ちの木曾が腕組みしていた。
後書き
読んでくれてありがとうございます。今週もなかなか忙しかったため、今回はこの一作だけです。来週には全部更新できる…………はず。
それでは、また次回。
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