儚き想い、されど永遠の想い
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173部分:第十三話 運命の告白その十六
第十三話 運命の告白その十六
「末っ子です」
「妹さんがおられたのですか」
「そうだったのですか」
「今は両親と共にいて」
八条兄弟の両親、即ち八条家の総帥である。
「それでこの舞踏会にはいませんが」
「しかし。妹さんがおられるとは」
「初耳でした」
「両親が可愛がっていまして」
義智もだ。微笑んで話すのだった。
「いつも手元に置いていまして。秘書の様なものをしております」
「秘書ですか」
「西洋のあれですね」
「それを真似ています」
そうしているというのだ。
「父は女性の社会進出の話を聞いて少し思うところがあったらしく」
「またそれは先進的ですね」
「そうしたことまで考えられているのですか」
「変わり者でして」
父についてだ。義智は少し気恥ずかしそうに話した。
「それそうしたこともです」
「いえ、それはかなりです」
「凄いことだと思います」
真美も真子もだ。驚いて言うのであった。
そしてそのうえでだ。二人で義智に言うのであった。
「あの、宜しければですが」
「今度機会があれば妹さんに」
「はい、共に御会いしましょう」
交流を深める為にもとだ。義智も微笑んで応えた。
「そうしましょう」
「真理さんの妹さんにもなられるのでしたら」
「私達の妹にもなりますね」
ここでこんなことも言う二人であった。
「それなら是非です」
「御会いしたいです」
「そうですね。貴女達にとってもですね」
「ではその時は」
「御願いします」
彼等もだ。その中は急激によいものになっていっていた。
それは舞踏会の場全体にも拡がりだ。全てが和やかになっていっていた。
伊上はそうしたもの全てを見てから白杜家の方から離れてだ。そしてだった。
こうだ。また佐藤に話した。
「全てはここからはじまるな」
「終わりではなくですね」
「はじまりだ」
微笑みそして話すのだった。
「幸せなはじまりだ」
「はじまりですね。御二人の」
「さて。はじまりの話は終わった」
それからだった。
「後はだ」
「後はですね」
「その通り。後は歩いていくのだ」
はじまりだからだ。そうだと話す伊上だった。
その話をして彼は微笑んでいた。その微笑みでだ。
また佐藤に話す。そのことは。
「全てにはじまりがあり終わりがある」
「その二つがですね」
「そう、あるのじゃ」
その通りだというのだ。
「ただ。何かが終わっても全ては終わりではない」
「そこからですね」
「また新たな話がはじまる」
そうだというのだ。その深い人生経験からの言葉だった。
そうした話をしながらだ。再びだった。
音楽がはじまる。今度の曲もまただった。
舞踏会の曲とは少し違う、婚礼を祝福する様な曲だった。その曲を聴きながらだ。
伊上はだ。この話をした。
「ただ。一つ気になるな」
「気になる?」
「真理さんだが」
話すのはだ。彼女のことだった。
「顔が白い」
「お顔がですか」
「妙に白い気がする」
義正と二人で踊る彼女の顔を見てだ。こんなことを話すのだった。
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