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ソードアート・オンライン〜Another story〜

作者:じーくw
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マザーズ・ロザリオ編
  第252話 見つけてくれる。見つけてくれた。

 
前書き
~一言~

………遅れました!!! すいませーーーんっっ!!!  おまけにまた短い……。

うぅぅ…… この冬最強寒波のせいですよぉ……。インフル~ にこそかからなかったですが、風邪引いた上に 仕事休めなくて……………。はい。くたばってました。


はぁぁ リューキ君の様に自宅で仕事をしたいなぁ…… 楽しくてやりがいもあって それで熱中出来て、更に更にお金もがっぽがっぽ……… は、無理ですねー。はい。変な夢は見ない様に現実と向き合います……。

そ、それは兎も角 物語も結構佳境なのに 全然進めてなくてすみません! 一話一話が短くなっちゃいそうですが、それでも 休止~ なんて事はしないので どうかよろしくお願いします!



そして 最後にこの小説を読んでくださってありがとうございます! これからもがんばります!


                                      じーくw 

 

 ユウキ、そしてラン。
 2人の本名

紺野(こんの) 木綿季(ゆうき)
紺野(こんの) 藍子(あいこ)

 そして、紺野姉妹とメデュキボイドとの出会い。

 運命と言う名の糸が 紡ぎ、結び、軈て絡まり合いながら導かれ誘われた。

 その始まりこそが、この病院で出会った1人の少女。
 全ての始まりがその出会いだとも言える事だろう。


 大きな病に侵され、心身共に蝕まれていった紺野家。気丈に、時には明るく振る舞い家族を、親さえも支えようと奮起していた姉妹だったが、それでもその小さな身体で戦い続けるには負担が大き過ぎたと言えた。
 そして その傷口を大きく抉る様な自体にも見舞われ、本当に疲れ切っていた時期でもあった。

 そんな時に――1人の少女。……彼女(サニー)と出会った

 出会いの時。2人とも表情こそ笑顔だったが、心は徐々に陰り続けていた。日中時間関係なく暗闇を感じ出していたその時に出会ったサニー……春香は まるで太陽の様な笑顔を見せてくれた。


『こんにちは。今日は天気が良くて 何だか気分がとっても良いですねー』


 屈託のない笑顔とはこの事を言うのだろう、と幼いなりにも理解し 一瞬で思えた。人見知り……と言う訳ではないが、それでもある一件から、正直な所 他人との接触。関わり合う事を何処か怖がる様になってしまっていたのだが、それでも彼女とはすぐに仲良くなる事が出来たんだ。

『あははっ! 日向さんって、ほんとーにその名の通りの人ですねっ? 太陽が大好きだしー、とっても温かく感じるよっ』
『ゆうっ? あんまりはしゃがないの。ここは病院なんだからね?』
『あ、大丈夫ですよ。今この辺りは私しかいませんし。お外ですしね? ふふっ それに笑顔が素敵なのは木綿季さんも、ですよ? あ、もちろん 藍子さんもです。お2人共素敵です』
『あ、あぅ…… それは何だか恥ずかしいですね……』
『えへへっ』

 この頃……本当に毎日が楽しかったんだと思う。

 病院に来る事。それが楽しいなんてどうして思えるだろうか。
 今まで泣き言1つ言わず、頑張り続けてきた。皆で前を進もうと努力して、力を尽くそうと努力して、信じる事にしていた。それでも、やっぱりこの場所、病院ははあまり好きにはなれそうに無かった場所でもある。
 嫌でも病気の事が頭から離れない様になってしまうから。難しい説明を全て理解する事は出来ない。でも、両親の悲しそうな顔を見てしまうのも病院でだったから。

 でも、彼女と出会って笑顔が格段に増えた。それは両親にも言える事だった。

『紺野さん。どうでしょう? ここにはおいしいカフェもありますから、一度皆でいきませんか? おススメを紹介しますよ。何なら御馳走しましょう』
『い、いえいえ。御馳走だなんて、そんな悪いですよ』
『ええ。寧ろ私達が御馳走したいです。……2人のあんな笑顔。随分と久しぶりに見られた気がしますから。本当に感謝しています。勿論、春香ちゃんにもです。ありがとう』
『お互い様……と言う事にしましょう。私達も感謝しています。あの子に友達が出来たんですから……』

 藍子や木綿季の目には 春香の母親に見えた。自分達の両親と話をしている内に笑顔が増えた。相乗効果と言うのだろうか、笑顔の質が変わった、と思えるほどだったんだ。


 出会いがあり、世界の色さえも変わった気がした。


 心から温かくなれた。
 そして、更に嬉しい事が起こり始めた。病院で検査をした家族の結果。……前回判明していた減少を続けていたとある数値が留まりをみせた。一番危険な場所の一歩手前ではある事は変わりないかもしれないが、希望の兆しが間違いなく見えた。
 その切っ掛けが 日向 春香との出会いからだと 信じて疑わなかった。




「………」

 少しだけ違和感があった。
 風に当たって靡く自身の髪。最近では長く……長く 旅を続けていたからなのだろう。あの仮想世界(VRMMO)での姿。仮の姿ではあるが長らく共にし続けてきたもう1人の自分。僅かではあるが、今の自分とは違う部位。そう、髪の長さだってその1つだ。長さが違うから風の感じ方ひとつが違う様に感じる。

 普段は、そんな事わざわざ考えたりはしないのに…… 今は何故だか考えてしまう様になっていた。 いや違う――。わざと無理でも深く考えようとしていたんだ。まるで 紛らわせる様に。
 
「どうすれば……良い、かな。サニー……。私は 逃げてしまいました……。貴女が想っていた相手を、心から会いたいって願っていた人と、私が出会えたのに……」

 この時ズキリと心に鈍い痛みを感じた。見えない刃物で身体を貫かれる様な、そんな痛みも続けて……。

「なん……で、かな……? なんで……なの……? なんで、サニー……あなたじゃ、なかったの……? なんで、サニーが……」

 目に自然と涙が溜まる。
 溜まった涙が溢れ流れだす。

 そして、もう今はいない人に。いつもこの場所にいた彼女に 座って笑顔を向けてくれていた彼女に語り掛ける様に、ランは続けた。

「わたしは…… ドキドキ、しちゃってた。本当にサニーの言った通り、でした。サニーが想ってた人は、とても格好良くって ……どこか可愛い所もあって。ほんとに全てが魅力的でした。……それも全部全部、サニーの言った通り……で」


 ランの脳裏に 二度とは戻らない日々の思い出が蘇ってくる。
 大切な人の思い出を、記憶の断片を必死に探って、組み立てて 思い出しながら話すその姿を。


「わたし、わたしはサニーのこと、何も考えないで……。なんにも、考えないで……。舞い上がって……。だって、だって あなたが、いちばん会いたかった……はず、なのに……っ」


 ランが全てを知ったあの時。
 

 今までは、シウネーがあの時に言った通りだった。確かに彼と出会う度に、話をする度に心が温かくなる気持ちになった。頬が紅潮していった。心音も高鳴った。

 全部が初めての事だった。そして舞い上がってしまっていた。

 シウネーに言われて、自分の気持ちにもはっきりと気づいて、そして 気にしないで良いとも言われた。
 

 きっと、サニーも同じ様に言っただろう。


 頭では判っていても。それでも、ランはこうも思ってしまったんだ。






―――………裏切ってしまったんじゃないだろうか。


 


 と。













「姉ちゃん……」
「………あっ、ユウ。 なに? どうしたの……?」

 ランは、後ろにユウキが来た事を察し 素早く目元を拭って涙を払った。
 ユウキに涙を流していた所を、泣いていた事を隠す様に 素早く拭って振り返った。

「いつ……以来かなってさ。ここにこれだけ長くいるのって……」
「ん? あー そうだね。もうずっとVRMMOの中だったから。そう言えば 随分久しぶりに感じるよ。……この場所にいるのって」

 此処は、そう。彼女(サニー)と初めて出会った場所。
 明るく太陽の光を一番浴びる事が出来る場所。 一番、この病院で温かい場所。

「ボク、やっぱり思うんだ」
「ん?」
「ボク達が……ここでこうやっていられるのだって、全部、全部 サニーがくれた。命を、ボク達にくれた」

 ニコリと笑うユウキ。その目にはランの時と同じく 涙が流れていた。

「サニーはボク達にとって、かけがえの無いひとだったよね。……ボク達の、ここでの全てだった……よね」

 涙を流しながらも、決して笑みを絶やす事なく、ユウキは続けた。

「ボクは、サニーの事大好きだった。……姉ちゃんもそうだよね?」

 訴えかける様に言うユウキ。その返答は直ぐにランはした。間髪入れずに。

「当たり前……だよ」

 嘘偽りのない想いだ。
 何も考えず、いや 考える前に口に出せる程に。息をする。そんな当たり前の事の様に。

 それを見たユウキは続けて言う。


「姉ちゃん。……もう 自分を許してあげて。姉ちゃんは何も悪くないから。……サニーだって、そう言う筈だもん。ぜったい……ぜったいっ!」


 そして、ユウキはランに駆け寄って、まだわずかにだが震えているランの身体を抱きしめた。

「……バレてたんだ。……はは。ユウには隠せなかった、かな」
「あったり前だよっ! ボクは、姉ちゃんの妹。双子の妹だもんっ! 姉ちゃんの事、一番判ってる。それだけはサニーにも負けないんだからねっ!」

 ユウキはぐっ と抱きしめる力を上げた。
 ランは 抱きしめ返した。

「ゴメンね。ユウ。ユウまで私と一緒に……」

 ALO内から姿を消す切っ掛けは間違いなくラン自身だ。彼女の葛藤も、気持ちも 血を分かつ姉妹だからこそ、それも双子の姉妹だからこそ。 そして サニーの事をよく知る者だからこそ、辿りつく事が出来た。 あのALOでキリトがユウキと戦い、ユウキの事を知る事が出来たそれに少し似ている。

「ふふんっ 今の姉ちゃんをほっといて、ALOに戻れるほど ボクはハクジョーじゃないからねっ! たまには 頼れるトコ、見せないとだもんっ」
「……ユウ。でも 皆の事」

 突然出て行ってしまった事。それに付き合う形にさせてしまった事。最愛の妹にも悲しい事をさせてしまった事。それらが頭の中を駆け巡る。

「ギルドの皆には…… またさ いっぱいいっぱい謝るよ! だってボク達がリーダーなのにさ、なんにも言わず出て行っちゃったんだから。 ほら、どんな理由があっても 放棄しちゃったのには変わりないもんね」
「……うん。勿論それもあるよ。特にシウネーには凄く心配を賭けちゃってそうだし、他の皆も。………でも、皆…… アスナさんやレイナさん、リュウキさんとの事」
「それも大丈夫!」
「え……?」

 ギルドの仲間達は知っているからこそ、(勿論 それでも申し訳なさは心から想っているが)理解してくれる……と言うのは判る。
 でも、何も知らないアスナ、レイナ、……そして リュウキ。3人の事を思うと ランはどうしても……。

 だが ユウキはそんなランの気持ちを拭う様にはっきりと言い続けた。

「あー、確かに 混乱しちゃって 驚いちゃって、……それでいて悲しくなって 突然別れちゃった事はギルドの皆以上に謝るよ? もっちろん」
「い、いや。でも……わ、私は まだ……」
「うん。……それも判るよ。まだ ボクだって心の準備が済んでないもん。こーやって強がってるケド、まだまだダメダメなんだ」

 ユウキは ぐっ と力こぶを作った後に、へなへなへな~ と身体をくねらせて 肩を落とした。
 でもその顔は笑顔だった。涙はもう流れてなかった。

「ん。どうしてかなー。 大丈夫だってすっごく思うんだよ。アスナやレイナ。リュウキは、ボク達がいかなくても、逆にボク達の所に来てくれるって思うんだ。……何にも言わなくても、何も知らされてなくても。……ボク達を見つけてくれるって。ほんとは ボク達の方が リュウキに言わなきゃいけないとはボクだって思うけど……」

 ユウキは、頭を掻きながら 苦笑いをして言った。

「ぜーんぶ リュウキの方が早い気がするんだよね。……こーやって、ボクが頑張って立ち直って、それで姉ちゃんの事も助けて、ぜーんぶ完全装備する前に、ちゃちゃーっとボク達の前に来てくれる……ってさ? そこで思いっきり謝ろーって決めてるんだ。流石にここではログアウトなんてボタン無いしさ? 逃げる訳にはいかないでしょ? 力いっぱい謝らないと!」
「………」
「ね? あるって思わない? なんでもやっちゃう人だーって思うし。ボク、姉ちゃんをリュウキが倒しちゃったときからずーっとそう思ってるんだ。姉ちゃんもそう思わない?」
「そう、だね。……うん。リュウキさんだもの」

 ここで漸くランは笑みを見せる事が出来た。

「あっはは。だよねだよねー? リュウキってば凄いんだよ。ちょこっとここの回線からネットに繋いで調べてみたんだけどー。『リュウキ』って調べただけですーぐ見つかってさ? 全部が全部あのリュウキじゃないとは思うんだけど、『白銀』って追加検索したら、これまた凄いんだー。ほんと伝説だよ伝説。あ、キリトも同じくらい沢山あったよ? あの2人が組んじゃったら凄い! ってたくさん聞いてるけど……、これは ボク達も負けてられないよね! 今度、勝負してみようよ!」

 子供の様にはしゃぐユウキ。そして、それを黙って微笑みながら見守るラン。その構図が常だった。
 でも、事はリュウキ。 ラン自身もただ黙っているだけではない。

「ふふ。キリトさんも確かに。それにリュウキさんもそう。……本当凄い人たち だものね。……ふふ。リュウキさんの事、サニーから沢山聞いてたのが 全部が本当だって、簡単にわかっちゃったから」
「だーよねー? そう言えば、あのフロアボスを倒せたのだってさ! ひょっとしたら リュウキ1人でやっちゃえたのかもしれないしねー! 『白銀のオレに不可能など無い! また、つまらぬものを斬ってしまった』って感じでばしーーっ! っと、たーーっ! って感じでさ」

 あはははっ! と陽気な笑い声が響く。ランも含めたその笑いの中で もう1つの声が小さく響いてきた。



「……そんな訳ないだろ。あの日の戦いは大変だったぞ。普通、ボス戦はレイドパーティー上限ギリギリで組まれるものだ。全員がいなかったら無理だったって」

 

 聞き覚えのある声。
 それを意識した瞬間、ランは身体が固まってしまっていた。
 それはユウキも同じだ。更に、声が続く。


「あはは……。でもさ、リュウキ君はそう言う事さらっ とやっちゃうんだーってやっぱり皆思っちゃうんだよー。だってリュウキ君だもん」
「だね? ここにキリト君が加わったらって考えたらさー……」
「あはははっ 何だか相手がかわいそーって思うかもっ!?」
「「あははははっ」」


 そう、これも知っている。
 知っている人の声だった。


「「えっ……!?」」


 ランとユウキの2人は ほぼ同時に振り返る。
 この中庭の入り口の扉が左右に分かれ、その中心には3人の男女が立っていた。

「見つけたよ。ユウキ。ランさん」
「うん! それに、謝らないで下さいね。……2人とは 笑顔で再会したい、って思ってたから」

 目元を拭いながら それでも笑顔を見せる2人。よく似ている顔立ちの2人はユウキ、ランと同じく姉妹。ALOで出会った大切な仲間のアスナとレイナ。
 そして、その横で佇む男の子。 淡い銀色の髪が太陽の光に照らされて、まるで後光がさしている様にも感じてしまう立ち姿。とても申し訳なくて 合わせる顔が無くて、それでも 会いたかった人。……リュウキだ。

「オレの方が謝ろう、って思ってたんだけど……な」
「ほーら。そんな事無いって言った通りでしょ? レイも私もそう言ったし」
「わっ、あ、アスナ。押すなって……」
「はーい! リュウキくん。行こう!」

 アスナに背中を押されて、そしてレイナには手を引かれ、3人で奥へと進んだ。
 

 ランとユウキの2人が待つ場所へ。



 
  
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