インフィニット・ゲスエロス
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2話→中学2年①
前書き
主人公と、織斑家
中学2年、それは男女関係なく、黒歴史的なものを量産する時期。
中学2年、それは男子も女子も『異性』というものを意識する時期。
というわけで、ええ、今日も私、山田太郎は絶賛二週目人生を満喫しております。
人生二週目のチート的な立場を存分に使い、文武両道、幼い内から資格を取りまくって人生イージーモードに向けて只今邁進しております。
え?なんだその気持ちの悪い言い方って?
しゃーないねん、目立ち過ぎると目をつけられやすいから、端から見てすぐ分かるくらいへりくだらないと敵つくるねん。
ちょうど今、目の前にいるしな。
「おいおいおい!なんだよ上なんか向いちゃって、早速降参ですかぁ?」
「ガタガタうるせーよ、女にやられた挙げ句に本人にリベンジ出来ない三下がほざくな」
いや、違うんだよ。俺は基本、平和主義者だから。
悪い事なんて精々、この顔に誘蛾灯のように寄ってきた軽い女達と一晩のアバンチュール決めただけだから。
大して悪い事してないから。
これはアレです。『俺より強い奴に会いに行く』と言わんばかりに、ゴリラ千冬が喧嘩ふっかけまくった結果だから。
チンピラに先に手を出させて喧嘩してー。
チンピラ全員ボコボコにされてー。
本人にリベンジは怖いから、小学生からの付き合いで、中学からメガネかけて弱そうに見える俺に対してリベンジをする←イマココだから。
全く千冬も気がきかない。
せめて『スケバン』とかなら、倒した後で色々楽しめたのに。
あ、なんだかんだ考えてたら、もうこんな近くにいるわ。
顔を真っ赤にしたチンピラの一人がバットを振り上げている。
なんで、こいつら俺が弱いとか勝手に勘違いするかな。
間合いに入った瞬間、遠慮なく前蹴りをみぞおちに当てて、後ろの仲間に押し付ける。
ぶっ飛んだ一人目の後ろで、慌てて殴る準備をする二人目。
その顔面に向けて、先ほど片手に握りこんでいたものを離す。
チャラララ、たーだーの石。
某青狸のBGMを脳内で流しながら、勢いをつけてさっき拾った石を顔面スローイング。
鼻に当たった石のせいで、辺りに散らばる結構な量の血潮。
あまりの惨状に引きはじめたら、もう後は消化試合である。
山田太郎、中学2年生徒会長&文学部所属。備考、篠ノ之道場所属。
学校内では大人しい印象の強い彼は、割りと武闘派だった。
路地に転がるチンピラ達を尻目に、彼は意気揚々とその場を立ち去る。
鼻歌を唄いながら、彼は目的地へと向かった。
10分後。
目的地である一軒家に着くと、彼はインターホンを押した。
『織斑』と書かれた名札の下にあるそれは、さほど待つことなく、返答を返す。
『もしもし、織斑ですが?』
幼いその声に、太郎は笑みを浮かべながら答える。
『俺だよ、俺。タロー兄ちゃんさ』
その答えに直ぐに扉が開き、男の子が飛び出す。
織斑一夏。
織斑千冬の実弟にして、ゴリラ千冬の血を引いてるとは思えないピュアボーイである。
え、なんで女じゃないのに優しいのかって?
いや、別に獲物(女)がかち合ったならともかく、理由もなく、この子を邪険にする意味ねーし。
しかもこの子、マジでピュアだから、俺の言う事基本的に聞いてくれるし。
まあ、一部の女子がかなり邪悪な目で見てくるのはガチで勘弁だが、被害はそれくらいだしな。
出てきた一夏を抱き上げながら、織斑家に向かう。
「千冬は?」
「えーと、お風呂です」
ちょっと首を傾げた後、答える一夏。
「よーし、じゃあその間に飯でも一緒に作るか!」
そう提案した俺に、一夏は首を何度も振って答えた。
豚バラ肉に、刻んだキャベツとモヤシを加えて、しんなりしてきたらほぐした麺をソースと一緒に炒める。
シンプルかつ、皿が一つで済む焼きそばを作っていると、タオルを肩にかけてパンティ一枚の千冬が出てきた。
「おーい、一夏、私のブラジャーは……」
言いかけた千冬の顔が、驚愕と共にこちらに向けられる。
(くくく、その顔が見たかった。後、裸も)
太郎は一夏に聞いて知っていた。
千冬が自宅ではだらしなく、注意しても下着一枚で家の中を歩いていると。
太郎は篠ノ之神社から聞いて、道場で千冬が稽古している時間を知っていた。
そこから導きだされる、真実は一つ。
(来たぜ……ぬるりと)
驚愕に染まった顔が徐々に赤く染まっていく。
あ、そろそろヤバイな。
千冬に近寄ると、わざわざ買ってきたバスローブを肩越しにかける。
同時に、耳元で囁いた。
「いやあ、良いもん見せてもらったわ」
返事は言葉ではなく、ビンタだった。
「駄目だよ、おねーちゃん。タロー兄ちゃんは料理してただけなのに」
リビングで三人で食事をしながら一夏は千冬にそう、文句を言った。
(ふふふ、流石一夏、期待通りの言葉を言ってくれる)
そう、客観的に見ると、一夏の言う事が正しい。真実はどうあれ。
千冬もそれが分かっているから、先ほどのビンタはかなり手加減されていた。
「いや、こいつの事だ。私のシャワー後の姿を見るために、わざとこの時間に来たに違いない」
相変わらず千冬の勘は鋭い。まあ、ぶっちゃけその通りなのだが。
「覗きにいったならともかく、考えすぎだよ。そもそも半裸で出なきゃ済んだ話だし」
いやあ、一夏くんはやっぱり最高だな(再確認)
「いや、良いよ一夏、俺も気が利かなかったしな」
そうやって鷹揚な男を演じる俺を、羨望の眼差しで見る一夏。
良いぞぉ、もっと誉めてくれ。
こうして、俺と織斑家の団欒の時間は過ぎていった。
後書き
(一夏にとっては)良い兄貴分、山田太郎
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