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レーヴァティン

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第三十七話 極寒の地その七

「吹雪は酷くしかも一旦そうなれば」
「三日位は普通にか」
「続くのでしょう」
「ったくよ、朝までって思ったらな」
「それが三日ですから」
「厄介だったな、その間な」
「はい、テントの中にいましたね」
「こいつ等用の餌も飼っておいてよかったな」
 馬や驢馬達を見ても言った、彼等は今も黙々と白い息を吐きつつ荷物を背負って久志達と共に歩いている。
「本当に」
「はい、保存用の」
「そうしたものも売ってるんだな、この世界は」
「それも魔術と錬金術で生み出したんだよ」
 源三が久志に話した。
「凄いよね」
「ああ、お陰で助かったぜ」
「とはいっても丸薬だけれどね」
 馬や驢馬に飲ませるそれだというのだ。
「ほんの数粒でもね」
「飲むと腹の中で一気に膨れてだな」
「お腹一杯になるんだ」
「人間用のもあるしな」
「そっちは僕達用ので買ったしね」
「いざって時はな」
「それを飲もうね」
 そうして腹を一気に膨らませようというのだ。
「高いけれど買えるならね」
「買っておいて損はないよな」
「飲み込むだけで味気ないにしても」
 この辺りは薬と同じだ、味わうことなぞ何もない。正はこのことを残念に思いつつもそれでも言った。
「それでもな」
「あると助かるな」
「正直餓えるのと味気ないもの口にするのとどっちがいいか」
「食う方がいいな」
「そうなんだよな」
 正もこう久志に返した。
「結局のところは」
「しかもあの丸薬栄養もあるからな」
「人間の場合は一粒飲むとな」
 それでというのだ。
「一食分だからな」
「いいな」
「味気なくて高くてもな」
「いざって時は助かるぜ」
 満腹になり栄養も充分摂取出来るからだ。
「人はやっぱり食わないとな」
「死ぬでござるよ」
 進太もこう言う。
「やはり」
「そうだよな、どうしても」
「だからでござる」
「丸薬も買っておいて正解だったな」
「馬や驢馬達は実際にそれで助かったでござる」
 外に餌なぞない雪原地帯のど真ん中で三日三晩テントの中で動くことが出来ない窮状だったがというのだ。
「だからでござる」
「俺が今言った通りか」
「買っておいて正解だったでござる」
「まだかなりあるからな」
 その丸薬はとだ、久志は自分の背中に背負っている袋その中にある丸薬を見ながらそのうえで進太に答えた。
「また吹雪になったりしてここでの旅が長引いてもな」
「大丈夫でござるな」
「ああ、いけるぜ」
 今回の旅の間までの分はあるというのだ、丸薬は。
「俺達の分もな」
「では」
「ああ、ああしたことがあってもな」 
 三日三晩続いた吹雪である。
「大丈夫だぜ」
「それは何よりでござる」
「ただな」
「それでもでござるな」
「もう出来るだけな」
 歩き周りの今は晴れた空も見つつだ、久志は苦笑いで話した。 
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