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男艦娘 木曾 前日談~提督 大輝と秘書艦 唯~

作者:V・B
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第二話

 
前書き
どうも、間が空きすぎてどんな話しか忘れてしまうというハプニングに見舞われました(こら)。 

 

「…………えっと、どちら様ですか?」
 
突然の訪問者に驚く僕達。
 
僕らの目の前にいる男の人は、今まで一回も来たことのない人だった。地味な色のスーツにネクタイをキッチリとした、堅そうな印象を受けた。
 
「私は、防衛省の高倉と申します。この度は、あなたにお話しがあってきました。」
 
とても十歳位の子供に話すような口調では無かった。大人たちってのは皆こんな感じなのだろうか。
 
「…………えっと、外で待ってるね。」
 
唯ちゃんはそう言いながら立ち上り、部屋から出ていった。
 
ここには、僕と高倉と言う人だけ。
 
「…………それで、お話しって?」
 
僕は余所余所しい感じで聞いた。どうにも大人は苦手だ。自分達を下にしか見ないから。
 
高倉さんは少し溜めて、話し始めた。
 
 
 
 
 
 
「…………深海棲艦を知っていますか?」
 
 
 
 
 
 
深海棲艦。
 
「えっと…………ここ数年で現れたっていう、世界中の海を占拠した化け物…………でしたっけ?」
 
数年前、奴等は突然現れた。
 
人類の作った兵器では傷つけることすらできず、圧倒的な力で世界中の海を占拠。
 
そのせいで、各国は船を使うことができずどうのこうのというらしい。ニュースなんか全く見ないけど、このくらいは知っている。
 
「はい。当然ながら私たち防衛省は深海棲艦を倒そうと戦ったのですが、私たちでは奴等には傷つけることすらできません。」
 
…………なんか、違和感。
 
「『私たちでは』って、どういうこと?」
 
世界中の人々が通用しないと言う意味なら使うまでもないはずだ。どこかの国で対抗兵器ができたのだろうか。
 
「そのままの意味です。人類はあいつらには勝てません。」
 
「…………人類は?」
 
一々気になる言い方をする人だ。
 
「と言うことはあれですか、クジラ辺りがあいつらを食ってくれるんですか?」
 
そうなると、クジラさんと仲良くなる方法を探さないといけないな。
 
「残念ながら、クジラが深海棲艦に殺されたという例があります。しかし、居るんですよ。」
 
高倉さんはそう言うと、手に持っていた鞄から写真のようなものを取り出した。
 
そのままそれを僕に渡した。僕はそれを受けとると、何が写ってるのか見た。
 
 
 
 
 
 
 
 
そこには、何やらごちゃごちゃした機械を背中に付けた女の子が、海の上に立ちながら、銃のようなものを撃っている光景が写っていた。
 
 
 
 
 
 
 
 
「『艦娘』と、我々は呼んでいます。」
 
驚いて固まってしまった僕に、高倉さんは話を続けた。
 
「深海棲艦が現れたおよそ半年後に、彼女らも海の上に現れました。彼女らは自分達のことを、『吹雪』や『電』などと名乗りました。これは、第二次世界大戦で大日本帝国海軍が用いてた軍艦の名前でした。」
 
…………もう何から突っ込んだらいいのか分からない。
 
「彼女らは深海棲艦と敵対していて、我々と協力することになりました。こちらからは拠点や燃料などの提供及び指揮官。彼女らからは戦力を提供というかたちで。」
 
頭が痛くなってきた。
 
「我々は彼女らを徹底的に研究して、一般人の中にも艦娘になることのできる人が居ること、彼女らが付ける『艤装』の開発をしました。今では、『鎮守府』と言う拠点があちこちにあります。」
 
「…………それで、僕にその話をしてどうするんですか?」
 
僕は写真を眺めたまま、話を遮るように質問した。
 
「まぁ、ざっくり言えば取引をしに来ました。」
 
高倉さんはそう言うと、こちらの顔をじっと見て言った。
 
 
 
 
 
 
 
「あなたの病気を治す代わりに、『鎮守府』で提督をやってもらいたいのです。」
 
 
 
 
 
 
 
「………………………………は?」
 
思わずそんな声を出してしまった。
 
「因みに、あなたのお父さんは、『それは僕が決めることじゃない。』と言っていました。とことん、いい父親ですね。」
 
「……………………治るの?」

僕は一番肝心なことを聞いた。
 
「えぇ。保証します。」
 
「……………………提督になったら、どうなるの?」
 
その次に肝心なことを聞いた。
 
「ある鎮守府の提督にあなたを預けます。そこで、その提督から鎮守府の運営を習って貰います。その後、実際に提督になって、鎮守府を運営して貰います。」
 
「……………………。」
 
「と言うのも、我々が調査した中では、提督の素質のある人間が殆ど居ないんですよ。あなたは素質のあった五人の中の一人です。」
 
「………………………………この町に、戻ってくることは?」
 
最後に、そう聞いた。頭の中には、外で待っているであろう唯ちゃんの顔が浮かんだ。
 
「…………殆ど、できないでしょうね。」
 
「…………………………………………。」
 
僕は、考えた。この話が本当なのか、受けるべきか、断るべきか。
 
…………結論を出すのに、時間は掛からなかった。
 
 
 
僕が結論を言うと、高倉さんは注射器のようなものを取り出した。
 
 
 
生まれ変わった、気がした。
 
 

 
後書き
読んでくれてありがとうございます。いやー、二週間ぶりでして。若干のブランクというか、かなり苦しみました。メリークルシミマスとでも言いましょうか。地獄でした。どうにかしないと…………。

それでは、また次回。 
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